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水ノ上成彰は堺市西区選出の堺市議会議員。

TEL. 072-263-0333

〒592-8348 堺市西区浜寺諏訪森町中3丁272-2

堺市議会報告 議会発言集CONCEPT

平成17年3月24日 文教委員会

1.国を愛する心と歴史教育
2.中学校の教科書採択

○水ノ上委員 おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上です。きょうは2項目にわたってご質問をいたします。
 まず1点が国を愛する心と歴史教育、そしてそれに関連いたしまして中学校の教科書採択についてご質問いたします。
 きょうは、まず最初に一つの言葉を引用したいと思います。大正時代、フランス駐日大使として活躍されたポール・クローデルの言葉ですが、私が決して滅ぼ されることのないように希う一つの民族がある、それは日本民族だ。彼らは貧乏だが、しかし彼らは高貴だ。我々日本人の先祖は、特に戦前の日本人は、世界の 人から尊敬される高貴な人々でした。さきの言葉のほかに、世界じゅうの人が過去の日本人を褒めたたえる言葉は枚挙にいとまがありません。しかし、現在を生 きる我々日本人を見て、世界じゅうのだれも高貴だとたたえることはもうありません。あえて申し上げるまでもなく、人心の荒廃、社会の混乱は、この国の衰退 を予感させざるを得ません。なぜ、これほどまでに日本はみっともない国になったのか。たった一つ、その理由を挙げてみろと言われれば、私は日本人の心に国 を愛する心がなくなったことだろうと思います。国を愛する心は教育によってのみ育てることができます。日本の再興は教育にかかっている、私はこのことを今 まで何度も申し上げてきましたが、本日もこのような観点から議論を進めてまいりたいと思います。
 まず最初に、小・中学校で社会科を学ぶわけですけれども、まず全体的な話として、小・中学校で社会科を学ぶ目的及びその意義についてお答えください。

○石井学校指導課長 小・中学校で社会科を学ぶ目的・意義としましては、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め、公民としての基礎的な教養を培い、 国際社会に生きる民主的・平和的な国家社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養うことにあるというようにとらえてございます。以上です。

○水ノ上委員 社会科を学ぶ目的として、歴史に対する理解と愛情を深め、認識されているのでありますけれども、念のために、学習指導要領には、歴史を学ぶ 目標をどのように書いているのか。また、歴史教育とは、そもそもどういうものであるべきか、市教委のお考えもあわせてお答えください。

○石井学校指導課長 学習指導要領にどう目標が示されておるかということですが、中学校社会科の歴史的分野の目標についてご説明させていただきます。
1番目の目標が歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ、それを通して我が国の文化と伝統の 特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる、これが基本ともいえる目標でございますが、その ほか、歴史上の人物や文化遺産を尊重する態度、国際協調を養うというようなこと、公正に判断をしていくということ、適切に表現する能力や態度を育てるなど の内容で4つの目標が示されてございます。
 教育委員会としての歴史教育の認識という点でございますけれども、私ども教育委員会としましては、歴史学習におきましては、時間的な系列の中で、先人の 営みから学び、国際的視野から幅広く物事を考えさせるとともに、我が国の文化伝統を継承し、地域社会、国家及び国際社会の中で自覚と責任のある日本人を育 成しようとしていくものというように認識をしてございます。以上です。

○水ノ上委員 ご答弁ありがとうございます。子どもたちが日本を愛し、日本に生まれたことに誇りを持つためには、日本の歴史と文化の伝統を重んじる教育が 必要だと思います。とりわけ、歴史教育は最も重要だと考えられます。私は、歴史教育は、よき日本人をつくる教育でなければならない。これは世界じゅうの国 で共通だと思います。例えばアメリカではよきアメリカ人、韓国ではよき韓国人、つくるための歴史教育がなされているでしょう。この場合のよきとは、みずか らの国を愛し、誇りを持つということにほかなりません。つまり、簡単に申し上げれば、歴史教育の目的は、自分の生まれた国を愛することということだと思い ます。このように世界じゅうのいずれの国も教育において、子どもたちに自国の歴史や文化に誇りを持たせるべく、粉骨砕身しています。中には真実、事実をわ い曲してまでも自国の歴史を正当化している国さえあります。それは行き過ぎだとしても、世界じゅうの国と比べたとき、我が国の教育は国を愛する心を養うの に十分と考えられるか、この点について市教委のお考えを問いたいと思います。

○石井学校指導課長 昨年ですね、日本、アメリカ、中国の3カ国の高校生を対象にして財団法人日本青少年研究所が実施した意識調査によりますと、自分の国 に誇りを持っているかという設問に、つよく持っている、やや持っているというように回答した日本の高校生は51%ということでございまして、これはアメリ カや中国に比べますと、2割以上、そういうふうな意識が低いということの結果でございます。郷土や国を愛する心の涵養を図っていくということにつきまして は、中央教育審議会の答申にも指摘されておることでございますが、今日の社会状況のあり方ともかかわりまして、学校教育に対しても今日的な要請となってお ります。現状としましては、他国と比較して十分とは言いがたい結果であるというように考えてございます。以上です。

○水ノ上委員 私も全く同感でございます。この調査結果は私も拝見いたしましたが、その調査によれば、日本の高校生の3人に1人しか国歌君が代が歌えない ということも報告されていました。まことに嘆かわしい状況で、恐らく小学校・中学校で教わらなかったのでしょう。このような日本の高校生が他の国に比べて 極端に国を愛する気持ちが希薄である状況は市教委もよくご存じのことと思いますし、これに対し危機感をお持ちとは思いますけれども、このような状況はなか なか改善されておりません。
 ちょっと視点を変えてみまして、今度、子どもの視点から歴史教育はどういうようにあるべきかお答え願いたいのですが、子どもたちは歴史を学ぶ上で、どん な授業を受けたいと思っているのか、なかなか想像するのは難しいとは思いますが、子どもの視点に立ってお答え願えませんでしょうか。

○石井学校指導課長 どのような授業を受けたいと思っているのかという点でございますけども、今回の学習指導要領の社会科歴史分野につきましては、歴史的 な事象に対する関心を深めというような語句が新たにつけ加えられております。これは学習の課程を重視して、網羅的な知識偏重の学習ではなくて、子どもの興 味関心を喚起するとともに、学び方や調べ方を身につけ、作業的・体験的な学習や問題解決的な学習など、子どもの主体的な学習を一層重視していくことを意図 しております。子どもたちにとりまして、細かな知識を記憶するだけではなくて、具体的に理解できるような内容を精選して、興味関心を持って主体的に学習に 取り組めるような授業を望んでおるというように考えています。以上でございます。

○水ノ上委員 子どもたちの視点からお答えをいただきたかったんですが、なかなか難しいとは思います。学校で歴史を勉強した子どもたちの口から、日本は悪 い国だと思う。日本が嫌いになった。日本人に生まれて恥ずかしい。君が代も日の丸も好きになれないなどの報告も聞いております。これは必ずしも堺市ではあ りませんが、このような状況が好ましいとは思わないでしょう、皆さん。また、このような教育を子どもたちが望んでいるとも思えません。逆に歴史を学ぶこと により、日本人に生まれてよかった。日本であることを誇らしく思える。私たちの先祖は立派だと子どもたちはそう思いたいんだと私はそう思っておりますし、 またそう願ってやみません。それこそが本来あるべき歴史教育だと私は思っております。日本のことを嫌いになるための歴史教育があるわけがないと思います。
 そこで、国を愛する心の教育についてですが、何度もお聞きしていますけれども、ここで改めて市教委の見解を問いたいと思います。

○石井学校指導課長 中学校学習指導要領の社会科、歴史的分野の目標にはですね、我が国の歴史に対する愛情を深めというふうに示されております。教育委員 会といたしましては、地域社会、国家及び国際社会の中で自覚と責任のある日本人を育成するというふうな観点から、国を愛する心を育てる教育が大切であると 考えて推進しているところでございます。歴史教育におきましては、身近な文化遺産、また地域の発展に尽くした先人の営みなどを学習を通してですね、郷土に 対する愛情を深めていくことが国を愛する心を育てる教育につながっていくものであるというように考えてございます。以上です。

○水ノ上委員 我が会派の大綱質疑に対するご答弁でも、国を愛する心を育てる教育は、今後ますます重要ない身を持つとお答えをいただきました。また、国を 愛する心を醸成していくために、あらゆる教育活動を通して具体的な指導をしていくともご答弁をいただいておりました。あらゆる教育活動の中でも国を愛する 心を養うために最も大切なのが歴史教育であり、歴史教育を進める上で重要なのが、よい歴史教科書の採択であり、子どもたちにそれを届けることにあると思い ます。
 そこで、国を愛する心を教育するにあたり、歴史教科書の位置づけを問いたいと思います。

○石井学校指導課長 委員お示しのとおり、国を愛する心というのは歴史だけではありませんので、社会科初め国語・道徳など、さまざまな分野で指導している ところでございますけれども、特に歴史的分野におきましては、直接的に歴史を取り上げることから、我が国の歴史に対する理解と愛情を深めるための学習とし て、その教科書というのは、主たる教材としての役割を担うものというように認識をしています。以上です。

○水ノ上委員 今のご答弁では、市教委も子どもたちに国を愛する心を養うためにも、歴史教科書が主たる教材として重要との認識と理解をいたします。
 それでは、歴史教科書はどのような教科書が望ましいとお考えでしょうか、お答えください。

○石井学校指導課長 今回の学習指導要領の改訂された趣旨でございますが、この歴史的な分野につきましては3点ございまして、1つが、自己を精選して重点 化を図るとともに、我が国の歴史の大きな流れが理解できるようになっていること。2つ目が、学び方や調べ方を身につけ、多面的・多角的な見方ができるよう になっておること。3つ目が、先人が築いてきた文化と伝統を尊重する態度を養い、我が国の歴史に対する理解と愛情を深めるような工夫がなされているという ようなことで、そういう趣旨で改訂をされたわけでございますので、その趣旨を大切にして、本市の地域性や子どもの実態等を十分検討をしていくことで採択さ れていくものというように考えています。以上です。

○水ノ上委員 学習指導要領の趣旨どおりということで、なかなかその内容までは、ちょっと踏み込んだ所まではなかったんですけれども、私は歴史教科書とい うのは、人物が生き生きと描かれていて、子どもたちがわくわくするような教科書がいいと思っております。歴史というのは、結局人がつくっていくものだから ですけれども、事実の羅列、単なる事実の流れの説明だけでは、ただの暗記のための教科書になります。これは現在の歴史教科書で勉強している子どもたちの生 の声を聞いたんですが、教科書が全くおもしろくないそうです。なぜか、それは歴史教科書が連続した物語になっておらず、ばらばらの事実の集積にすぎない と、単に丸暗記をするということで、かえって子どもたちに暗記に走らせ、歴史の流れや積み重ねてという本当の楽しみを、今の教科書は伝えてない。そういう ところから歴史嫌いがふえてるというような感じを受けています。
 さて、ことしは中学校の教科書の採択の年なんですけれども、前回、4年前の教科書の採択のときに、扶桑社の新しい歴史教科書が大きな話題となりました。 全国的にも混乱がありました。検定を通過した以上、他の教科書と同列に並べて議論されるところ、一部のマスコミにより、一方的な中傷や批判が行われたり、 暴力的な妨害活動があったり、採択決定者である教育委員会の委員に対して、恫喝や脅迫などがあったり、また自宅に脅迫の電話がかかってきたなどの報告もあ りました。堺市ではそのような動きがあったかどうかわかりませんけれども、4年前のこのような事態に対し、教育委員会はどのような感想をお持ちか、改めて お聞きしたいんですが、どうですか。

○石井学校指導課長 教科書採択ということでございますが、本市におきましては、これまでも適正かつ公正な採択が確保されておるというふうに認識をしてお ります。文部科学省や大阪府教育委員会の指導助言のもと、静謐な採択環境、静かな採択環境ですね、制度にのっとって、円滑な採択事務の実施ということで、 今後も努めてまいりたいというように考えてございます。以上です。

○水ノ上委員 堺市ではそうなのでしょうけれども、なかなか議論がかみ合わないような気がいたします。このことにつきましては、後で一言申し上げたいと思います。
 さて、現在、堺市の中学校で使用されている歴史教科書は、東京書籍のものであります。今手元に持っています。この東京書籍の中学校歴史教科書は、全国の 採択率が51.2%で、日本の中学生の2人に1人がこの教科書で歴史を勉強しています。堺市の中学生は、1学年の総数は約6,500人ということですか ら、採択までの4年間で約2万6,000人の生徒がこの教科書を利用して歴史を学んだことになります。この東京書籍の教科書、私も熟読いたしました。
 そこでご質問をいたしますが、この教科書のどこを読んだら、子どもたちが我が国の歴史に対する愛情が深まるのか、この点について具体的にお示しいただけませんでしょうか。

○石井学校指導課長 この東京書籍の教科書ということですが、この場所で国を愛する心というふうにですね、そういうものではないのかなというように考えて おります。この東京書籍の教科書でございますけど、日本のさまざまな文化財でございますとか、芸術作品など、大変ビジュアル的に美しく表現されています。 そういうふうな、各時代のいろんなものがたくさん掲載されています。そういうのも見ることも我が国に誇りを持っていくようなことにもつながっていくだろう と思っています。さらに、例えば堺市との関係でありますと、風土記の丘・古墳からわかることというふうなことが4ページでありまして、古墳を調べるような 探検隊といいますか、調べ学習のやり方などの指導もその中には掲載されてございます。こういうものを学んで、そこから私ども堺市の誇りであります百舌鳥古 墳群などに関心を持って調べていくということは、国を愛する心にも通じていくものではないかなというように考えています。以上です。

○水ノ上委員 先ほど歴史教科書はどのようなものが望ましいかとの質問に、我が国の歴史に対する理解と愛情を深めるようなというお答えでしたので、具体的 にこの教科書のどこがそこにあたるのか、お示ししていただきたかったんですけれども、それは仕方がないといたしまして、この東京書籍の教科書を読んでみま して、生徒たちが果たして日本の国を愛し、日本の国の役に立ちたいという気持ちになるだろうか、このような観点から私も読んでみましたが、もちろん検定は 合格した教科書ということはわかっておりますけれども、正直申し上げて、私はそのような箇所がなかなか見あたらなかった。例えば、この教科書を読んでみま して、指摘したいところは幾つもあるのですが、時間の制限がありますので、1つだけ取り上げます。
 この教科書で英雄、つまりヒーローとして紹介されている歴史上の人物が1人だけいます。だれかご存じですか。どなたでも結構ですので、お答えください。

○石井学校指導課長 そのような視点から、その教科書全部目を通したことはないのですが、英雄というのがどうかはあれですけれども、89ページには、アイ ヌの大地からシャモを追い出すのだというふうな感じで、シャクシャインという銅像を扱っておるようなところがあって、日本の国の英雄というようなことでは ございませんが、そういうようなところは記載されてございますが、全体として、この人を日本の英雄というふうなことでは承知をいたしておりません。以上で す。

○水ノ上委員 今お示しいただきましたシャクシャインも権力に対する反逆者というか、抵抗者ということで書かれております。この東京書籍の歴史教科書で英 雄として紹介されている人物は、実は79ページの朝鮮の李舜臣(リ・シュンシン)、ただ一人でございます。よくご存じだと思いますが、李舜臣とは、豊臣秀 吉の朝鮮出兵の際、秀吉の水軍を撃退した将軍です。教科書には写真入りで紹介されていまして、李舜臣は朝鮮を救った英雄として現在も各地に像が建てられて いますと書かれております。この各地というのは日本とか朝鮮とかいう限定とありません。
 さて、皆さんにお聞きしたい。我が国の中学生に教える歴史上の英雄は、李舜臣だけなんでしょうか。李舜臣以上の英雄は我が国の歴史上、だれもいないで しょうか。いかがですか、お答えは人によって違うとは思いますので、ご答弁は求めませんけれども、例えば、ことしは日露戦争勝利100周年にあたります。 しかし、多くの方がこのことを知りません。100年前の1905年1月1日には旅順要塞を陥落させ、3月10日には奉天会戦で奇跡的な逆転勝利をし、5月 27日には日本海会戦でバルチック艦隊を破って全滅させて日本が日露戦争を勝利いたしました。もし、日露戦争に負けていたら、万が一つにも独立国としての 日本はありませんでしたし、間違いなくロシアの植民地か属国となっていたでしょう。多くの歴史家の一致した見解ですが、それは見解です。
 1900年前後は西洋列強の植民地支配の絶頂期であり、また最後の仕上げのときでもありました。世界じゅうで有色人種の実質的な独立国はただ日本だけで ございました。最近発見されたロシアの資料によれば、ロシアの戦争目的は日本の殲滅、すなわち、この地球上から日本をなくすことにあるとされています。日 露戦争に勝てたのは、将兵の命をかけた献身があった上での奇跡であって、私たちが今こうして日本国民としていられるのは、紙一重のところであったというこ とでございます。
 日露戦争で最も有名な将軍は東郷平八郎と乃木希典であり、この2人がいなければ日本は勝てなかった。すなわち日本にとって李舜臣以上の救国の英雄である ことは間違いがないことです。しかし、この教科書には東郷平八郎や乃木希典は載っていません。東郷元帥や乃木大将がいなければ、日本はなく、我々はロシア 国民としてロシア語を話し、日本人としての記憶を奪われたまま、有色人種として圧政の中、今でも生きているでしょうし、有色人種の国は今でも等しく西洋列 強の植民地として 人種差別の中、苦しんでいることは間違いないと思います。
 ところで、お聞きいたしますけれども、乃木希典や東郷平八郎の載っていない歴史教科書をどのように評価されるか、できればで結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

○石井学校指導課長 歴史教科書に登場する人物につきましては、教科書会社によってもさまざま状況の違いがございます。特定の個人、これに載っているのが どうかというふうなことについて、教育委員会としてどういうように検討するかというようなことは答弁することはできませんので、この教科書については、前 回8社ほどございましたですけども、文科省の検定を通って学習指導要領の目標を達成するものというようにされているわけでございますから、目標に照らして 採択をされていくもので、これで適正に実施されているもというような認識しかございません。以上です。

○水ノ上委員 採択に関しましては適正に実施されていることは存じております。ただ、どのような、今後、教科書を選んでいただきたいかいう観点から私は きょうお話しているわけでございまして、東郷平八郎や乃木希典は今でも世界じゅうで尊敬をされています。例えばポーランドは大変親日的な国ですけれども、 加瀬元国連大使の話では、ポーランドである神父から聞いた話で、このあたりで乃木集まれ、東郷集まれといえば、この協会からはみ出すほどいっぱいになりま すよ。ポーランドは長年、ロシアの圧政に苦しんできました。そのロシアを打倒した英雄にちなんで、自分の子どもに名前をつけているんです。日本人は日本海 会戦がいつか知らないでしょう。しかし、ポーランドの子どもは日本海海戦や奉天会戦がいつだったかよく知っているのですよ、皮肉ですねというようなことを 載せています。
 フィンランドもロシアの圧政に苦しんだ国であり、今でも東郷ビールというものが売られているそうです。これが東郷ビールなんですけれども、東郷平八郎の イラストが入っておりまして、今でも売られてるそうです。つくってるのはオランダなんですけれども、こういうビールが売られている。日本人はそういうこと はしてません。
 また、トルコにはイスタンブールに東郷通りというのが今でも残っています。このほかにも世界じゅうの国で東郷元帥や乃木大将は英雄として尊敬されています。なぜなら、世界じゅうの教科書に東郷元帥や乃木大将が英雄として載っているからです。
 扶桑社の新しい歴史教科書には、東郷元帥、乃木大将が載っておりますし、また、日露戦争の内容を詳しく正当に書いているように思います。世界じゅうの子 どもたちが東郷平八郎を知っている。しかし、日本の子どもたちだけが東郷平八郎を知らない。日本の子どもたちが歴史教科書の上で知っている英雄は朝鮮の李 舜臣である。日本の歴史教育がこんな歴史教育でいいのか、このような教科書で日本を愛する心を持った子どもを育てることができるんでしょうか。もちろんこ れはごく一部のことをとっておりまして、それをもって全体的な評価はできないことはよく存じている上でお話ししておりますけれども、国際社会に出て、この ような歴史観で通用するのか、せめて東郷平八郎や乃木希典が載ってる教科書を選んでいただきたいなと、このように思うわけであります。
さて、話は変わりますが、歴史教科書の採択の話になれば、必ず持ち出されるのは南京大虐殺と従軍慰安婦でございます。これらは平和教育に必要だとして取り上げられます。一言、平和教育について申し上げておきたいと思います。
 まず、平和という言葉でありますけれども、この平和という言葉は、実は定義がありません。単に戦争がない状態ということだけで、これでは定義にならない ことはよくおわかりだと思います。戦争がない状態を平和というのなら、平和には2種類あります。1つは対等な関係における平和、もう一つは隷属的な関係に おける平和、小・中学校において平和教育として南京大虐殺や従軍慰安婦を教えるというのは、どちらの平和を前提にしているのか、隷属的な関係における平和 を前提にして平和教育を考えているのではないか、つまり日本の子どもたちに対して、朝鮮や中国に対する贖罪意識を植えつけ、頭が上がらないようにすること が平和を保つと主張する。つまり戦争がない状態を築こうとするために、日本の子どもたちに朝鮮や中国の子どもたちに対し、教育によって精神的な負い目を負 わせる。このような教育になってはならない、このように私は思います。また、子どもたちにこのような意識を植え込んでならない、このように思います。私は 本当の平和教育いうのは、世界のどの国とも対等な関係の中で築き上げる平和を見出すものでなければならないと思います。
 それでは、何をもって他の国と対等となるのか、それは、いかに自分の国を愛しているかということにおいて対等でなければならないと思います。まず、そこ から始めなければなりません。つまり真の平和教育とは、国を愛する心を養う教育にほかならないと思うわけであります。これが本日私が申し上げたいことであ ります。
 さて、南京大虐殺や従軍慰安婦についてもう少しお話をしたいと思いますけれども、といっても、そのことが歴史的な事実かどうかということではありませ ん。私は政治家であって歴史家ではありません。歴史的な出来事が真実かどうかは歴史家が決めることであって政治家が決めることではありません。政治家は、 自分の立場を正当化するために自分に都合のいい歴史的事象のみ取り上げて、歴史的真実とすることが往々にしてあります。そのことにより、歴史を誤った方向 に固定化する危険性もあります。私はそういうことはしたくないし、そういう傲慢な態度はとりたくない。歴史事実の真実は政治力をもってするのではなくて、 歴史家による事実の積み重ねによってのみ行う必要があります。幾ら国家の責任者たる政治家が謝罪したとしても、それをもって歴史的事実が確定するわけでは ありません。
 さて、ここで申し上げたいのは、南京大虐殺や従軍慰安婦については、長年歴史的事実とされ、教科書にも期待されてきました。しかし、歴史の研究が進むに つれ、疑問を呈する歴史家が多くなってきました。疑問にとどまらず、完全に否定する歴史家もいます。きょう、何点かその本をお持ちしたんですけれども、例 えば鈴木明氏の「新・南京大虐殺の幻」とか、最近出ました東中野修道氏の「南京事件『証拠写真』を検証する」、これは南京事件として証拠として挙げられた 写真がすべてにせ物であったということを証明する本だと、これがあるからといって南京事件がないという証明にはなりませんけれども、とりあえず、今まで あったものはすべてにせ物だったということが証明されつつある。また、「在日・強制連行の神話」、鄭大均という方も書いております。このような本が最近た くさん出ているわけでして、歴史家の中でも徐々にふえております。
 さて、そこで考えたいのは、このような歴史家の研究の成果を前にして、日本人としてどのような感想を持つだろうかということであります。今まで日本の軍 隊は残虐きわまりない戦争犯罪を犯してきたとされ、肩身の狭い思いをしてきましたが、多くの歴史家が言うように、それがもしかしたら冤罪ではないかという のであれば、日本人として、とてもうれしい気持ちになります。本当に罪が晴れれば、ああ、よかった、これで胸を張って堂々とできると、日本人なら、こうい う気になると思います。
 一方、南京大虐殺や従軍慰安婦に関して疑問の余地を挟むことすら許さない日本人もいます。学問上の研究にあるにもかかわらず、全く耳を傾けず、我々の先 祖は極悪非道であって、それに疑問を挟むことは許さないという立場の人がいます。どのような日本人かといいますと、反日教育を推し進める外国勢力と呼応 し、南京大虐殺や従軍慰安婦をもって歴史を糾弾し、今の地位や名誉を築いてきた政治家や歴史家たちです。この人たちは南京大虐殺や従軍慰安婦がなかったら 困る人であって、冤罪であったら困る人です。彼らは南京大虐殺や従軍慰安婦が冤罪であることが証明されれば、一夜にしてその地位や名誉を失います。だか ら、日本人が過去によいことをしたことに関心を示さず、また、日本人の罪が晴れるような研究にも興味を示せません。かえって反日教育をしている国から出て きた証言を何ら検証もせず、無批判に取り上げて、それを証拠として振りかざします。
 教育委員の皆さんには、まことに僣越ですが、どうか日本の祖先に対して、優しい歴史観を持っていただきたい。南京事件や従軍慰安婦は冤罪の可能性が多く の歴史家によって指摘されていることをご承知の上で、祖先を信じて対処していただきたい、このように思います。これから教育委員の皆様が採択に入る教科書 は今後4年間で実に2万6,000人の生徒がこの教科書で歴史を学ぶことになります。2万6,000人の生徒が、この日本を好きになるような、また日本に 生まれてよかった、日本を誇りに思うというような感想を持つのに最もふさわしい教科書を選んでいただきたい。また、賢明な教育委員の皆さんによって最もふ さわしい教科書が採択されると信じております。そして、その選んだ教科書が採択にあたり、4年前の採択のとき、他の地で起こったような恫喝や脅迫を受ける ようなものであったとしても、堺市の子どもたちのためにたじろぐことなく対処していただきたい、このように思います。万が一、このようなことがあった場合 は、私が命をかけて皆様方をお守りしたい、このように思うわけであります。
 冒頭申し上げましたように、高貴な日本人を教育によってつくる第一歩が教科書の採択にかかっているように思います。以上を強くご要望いたしまして、本日の私の質問を終了いたします。ありがとうございました。

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