◆水ノ上 委員 プロジェクト堺市の水ノ上でございます。初めて文教委員会における質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
私は政治家として教育に対して、まず明確な理念を示さなければならないと思います。一体、日本はいかなる国をめざすのか、そのために国民はどうあるべき
か、それを受けて教育に求められるものは何かを考えていかなければなりません。教育行政も権力行使の一つであり、教育は国家百年の大計と言われております
ので、その意味で、政治家には大きな責任があり、その理念を国民、市民の前に明確に示し、慎重に進めていかなければならないと私は思っております。私は、
公教育、すなわち公の教育の使命とは、立派な国民を育てる国民教育と美しく豊かな心をはぐくむ人間教育の2つにあると考えております。私の考える国民教育
とは、祖先の栄光も艱難も成功も失敗もすべてを偉大なる過去として崇敬し、現在の子どもたちに対して、現在と現在に至る過去とを確実に相続するようにはぐ
くみ、次代のすぐれた大人として、それ相当に高い知識と能力が身につくように享受することであると思います。また、人間教育とは、2000年来受け継がれ
てきました日本の伝統と文化を体内に取り入れ、おおらかな美徳を体得することであると思っております。
現在の教育は大きな危機にあります。少年犯罪、非行の激増、いわゆる援助交際などの性風俗の乱れ、学級崩壊、学力低下など、今日教育の荒廃は多くの国民
が身近で感じるほど深刻なものとなっております。多くの人がこのままでは日本の将来はどうなるかと危惧し、だれもが、このままでいいとは思っておりませ
ん。私は、自分の理念に基づきまして、これらの危機に対処してまいりたい、このように思います。本日の委員会におきましては3点を質問させていただきま
す。理事者におかれましては、明確なるお答えをいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
《学力低下について》
まず最初に、学力低下問題についてお聞きいたします。平成14年4月に新学習指導要領により、いわゆるゆとり教育が導入されました。また、それに伴い総
合学習の時間を取り入れました。背景には、読み書き、計算を徹底反復させることは、子どもの個性を否定するという考えがあったように聞いております。しか
し、現在耳にするのは、学力低下不安の解消のため、5日制を返上してでも学力の向上をという声でございます。私も教科を横断して考えてる総合学習は必要だ
と考えておりますが、総合学習をより高めるためには、基礎学習を充実していかなければならない、このように思っております。そこで、読み書き、計算に代表
される子どもの基本的な学力充実の重要性について、どうお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 知識や技能のみならず、学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力等を含めた力としての学力の向上を図る上で、委員ご
指摘の読み書き、計算などの基礎的、基本的な内容の確実な定着は私どもも極めて重要な課題であるととらえております。学力の基礎として、すべての子どもに
確実に定着させることが不可欠であると考えております。そのために、学習の確実な定着のための繰り返し指導の時間を確保すること、子どもが意欲的に学習に
取り組み、学ぶことの楽しさや成就感を味わえることができるよう、指導方法の工夫改善を行うことなどが重要であると考えております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 基礎学力の向上のために具体的な施策についてどのようなことが行われているか、お答えください。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 指導方法の工夫改善を行い、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るために、現在、小・中学校におきまして、
教職員定数の第七次改善計画に基づいた加配教員、定数以上に配置されている教員でございますけれども、それを活用いたしまして、子どもたちの習熟度に応じ
た少人数指導とか、そういうきめ細やかな指導を行っております。また、放課後などに大学生が児童・生徒の学習支援を行うまなびングサポート事業、これは府
の事業でございますけれども、本年度導入の予定でございます。さらに、地域人材を活用し、学習指導の充実を図る学校教育アシスタント活用事業、それから特
別非常勤講師配置事業等を実施して、学校の支援を進めております。また、各学校教職員の資質向上を目的とした教育課程研修推進事業を実施するなど、校内研
修の充実のための支援を行っております。なお、5月には本市学力実態調査を実施しておりまして、その結果を踏まえながら、施策の充実を今後図ってまいりた
いと考えております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 今、課長が話された中で、習熟度に応じた少人数授業というのがありました。私は、ゆとり教育による学力低下の歯どめのためには、習熟度
に応じた少人数授業は有効であるというふうに考えておりますが、現在行われております習熟度別授業は、どのような形で行われておられますか。お答えくださ
い。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 年間通してではございませんけども、教科とか時期によりまして、現在、小学校で習熟度別として60校実施して
おります。その中心は算数でございます。60校のうち49校が算数で取り組んでおります。それから、中学校の方は習熟度別が26校、そのうちの半数以上が
14校はもう数学で実施しております。今の現状はそういったところでございます。
◆水ノ上 委員 習熟度別学習につきまして、今のところ、算数、数学だけということですが、それは何か理由があるんでしょうか。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 いえ、算数、数学だけではございません。ほかに理科とか英語、国語、社会等もやっております。中心が算数、数
学ということで、積み重ねの教科でもありますし、一定基礎的なところが不十分でありますと、差がつきやすいということで、習熟度別できめ細やかな指導を
図っていこうと、そういう趣旨でございます。
◆水ノ上 委員 学力低下問題につきましては、続きましての不登校問題とあわせまして、後で要望等をお話ししたいと思います。
《登校拒否について》
続きまして不登校問題についてお尋ねいたします。不登校の増加といいますのは、過酷な受験体制や管理教育が子どもたちをそれに追いやっている結果だと言
われてまいりました。そこで、ゆとり教育が必要だというふうに思われて導入されたり、また、厳しい生徒指導もすっかりなくなってしまいました。しかし、今
のところ、不登校は減っておりません。そこで、本市における不登校児童・生徒の過去3年間の現状につきましてお答えください。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 不登校の方は、文部科学省の定義によりまして、何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因背景等によ
りまして、児童・生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあって、年間30日以上欠席した児童・生徒のうち、病気や経済的理由その他を除くと
いうふうにしております。その不登校児童・生徒数でございますけれども、過去3年間の推移を申し上げますと、小学校では、平成12年度が250人、平成
13年度が255人、昨年度は221人でございます。中学校では平成12年度961人、平成13年度が1,072人、平成14年度、昨年度は967人と
なっております。昨年度の不登校児童・生徒数は13年度に比べまして、調査以来初めてでございますけれども、小学校で34人、中学校で105人減少いたし
ました。以上でございます。
◆水ノ上 委員 全生徒に対する不登校児の割合は、全国平均及び大阪府の平均を堺は上回っております。大阪は全国の中でもトップクラスの悪い成績で、そ
の中で堺がさらにその割合を上げているというような不名誉な状況になっておるわけですけれども、本市における不登校の要因についてどのようにお考えか、お
答えください。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 不登校の要因は、さまざまな要因が絡み合っているわけでございますけれども、文部科学省の方で調査がございまして、その項目の分類に従いまして要因についてお答えいたします。
平成14年度、昨年度の本市における不登校となった子どもたちの直接のきっかけは、小学校では本人の問題によるものが36.2%、家庭生活によるものが
35.7%、学校生活によるものが18.1%、中学校では本人の問題によるものが49.5%、学校生活によるものが32.7%、家庭生活によるものが
13.1%となっております。さらに、不登校が継続している主な要因といいますか、原因でございますけども、小学校では無気力と不安などの情緒的困難要因
が合計で44.8%、中学校では遊び、非行と無気力の合計が52.4%となっております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 今、無気力という言葉を使われましたが、非常に今の時代を象徴しているというふうに思います。小学校、中学校を見ますと、子どもたちに
対して、危ないからこれをしちゃいけない。また、けがをするようなことはしちゃいけない。つらいことはしなくてもいいというような雰囲気が学校の中に漂っ
ているような気がいたします。あえて責任や負荷をかけることにより、何かを乗り越えさせるという教育手法が薄れているように思います。教育界全体が、より
優しく、子どもに負担をかけずになっておりまして、そのような感じがしておりまして、そのため鍛練の欠如から来るエネルギー不足で、学ぶ意欲及び生きる
力、迫力というものが本当に薄れてきた。その結果、無気力感が漂って、小学校、中学校への不登校がふえている、このように思います。教育というのは、子ど
もたちを鍛えるという観点から、もう一度見直すべきではないかと思うんですが、各学校に続きまして質問いたしますが、各学校における不登校の対応について
お答えいただけますでしょうか。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 学校における不登校の取り組みでございますけども、まず、不登校児童・生徒をいかに学校に目を向けさせるかと
いうことでありますので、何よりも不登校児童・生徒を出さない取り組みが重要であると考えております。各学校では、魅力ある、よりよい学校づくり、あるい
はわかる授業で基礎・基本の確実な定着を図り、委員、今ご指摘ございました学ぶ意欲をはぐくむ指導あるいは楽しく、安心できる学校づくり、仲間づくりなど
の取り組みが求められていると、こういうふうに認識しております。
不登校児童・生徒への指導といたしましては、例えば遊び、非行型の不登校児童・生徒に対しましては、保護者や関係機関と連携いたしまして、生活習慣の改
善を図る。また、いわゆる無気力型と言われる不登校児童・生徒には積極的な登校刺激を与えながら、学校復帰を促すなどの取り組みを進めているところでござ
います。また、学校だけでは対応できない場合もありますから、家庭や地域はもとより、子ども家庭支援センター、教育センター、医療機関などの関係機関との
連携を密にして多様な対応を今進めているところでございます。以上でございます。
◆水ノ上 委員 続きまして本市の不登校に対する施策について、よろしくお答えいただきます。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 本市の施策でございますけれども、まず、昨年度一定増加傾向に歯どめがかかったということで、それは我々もい
ろんな取り組み、あるいは学校の取り組みというのが一定功を奏したと、さらに、いわゆる無気力型と言われる子どもたちに対して、個々の生徒の実情に合わせ
た粘り強い登校刺激を与えた成果であると思っております。今後それをさらに充実してまいりたいと思います。
それと、現在不登校に対する施策としましては、小学校には学生等のボランティアとしてさわやかリーダーを全小学校に配置しております。中学校には、臨床
心理士の資格を有するスクールカウンセラーを19校に配置、それから、カウンセラーを配置してない中学校には教職経験者や地域の人材を活用した心の教室相
談員を配置するなどにより、不登校児童・生徒のケアに努めております。また、家庭訪問などの支援を要望する不登校生徒の多い中学校9校に対しましては、大
学生のボランティアの学生フレンドを配置しております。また、昨年度より中学校における生徒指導の補助を行うスクールサポーターを各校に配置いたしまし
て、家庭訪問等を通じて不登校生への対応を行っているところでございます。さらに、適応指導教室等により対応も進めているところでございます。以上でござ
います。
◆水ノ上 委員 続きまして、今お話ありました適応指導教室スプリングボードについいてお伺いいたします。不登校の中で原因の一つに引きこもりというの
がございまして、心的要因で不登校になった方がたくさんいらっしゃいます。それに対してスプリングボードという適応指導教室が1カ所設けられて対処されて
いるというふうにお聞きしておりますけれども、この実態等についてお答えいただけますでしょうか、お願いします。
◎中間 学校教育部副理事兼教育センター所長 適応指導教室のことについてお答えをいたします。
委員ご指摘のように、心的要因で不登校となった児童・生徒に対しまして、子どもたちに自分が表現できる環境の中で子どもたち自身が自立し、学校に復帰す
ることをめざして指導・援助を適応指導教室では行っております。入室の状況でございますが、平成13年度につきましては63名入室しております。平成14
年度は53名の入室がございました。現在、本年度につきましては59名の希望者がおり、現在、仮入室を含めて44名の入室となっております。
活動の状況でございますが、月曜日から金曜日までを開室日として、午前中は学習活動や集団になじみにくい子どもたちへの個別援助を行っております。午後
はスポーツや読書、絵画などの活動を行っております。また、子どもたち、人とのふれあう機会が少ないということもありまして、動物園の飼育担当者の話を聞
く機会とか、幼稚園を訪問し、園児の世話をする。交流をするなど体験活動も多く取り入れております。さらに、適応指導教室、学校に復帰させる、そういうこ
との目的が一番大きいですから、学級担任や生徒指導主事等との連携・連絡会を定期的に設けて、またはスタッフが学校を訪問し、学校復帰に向けた具体的な支
援策を話し合うなど、学校との連携を重視いたしております。
このような取り組みを通しまして、平成13年度、学校に復帰できるようになった生徒、これが30名、平成14年度では35名となっております。また、適
応指導教室に通いながら、今まで学校にも一切行けなかった子どもたちが少しずつ学校に通えるようになってきた児童・生徒、これは平成13年度で21名、平
成14年度で12名となっております。このような結果、適応指導教室で指導援助を受けて、学校との関係が深まったと考えられる児童・生徒、子どもたちの割
合でございますが、平成13年度は入室者に対しまして81%、それから平成14年度は89%、このようになっております。以上です。
◆水ノ上 委員 現在、心的要因で不登校になっている児童の方々がどのくらいいらっしゃるか。先ほどの不登校全員の人数は、中学生で967名、小学生で
221名とお聞きいたしましたが、心的要因を原因とする不登校の方はどのぐらいいらっしゃると思っておられますか、お答えください。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 昨年度、小学校で不安などの情緒的混乱ということで、小学校の場合は不登校児童の19.9%がそういう状況と
いうふうになっております。それと、中学校におきましては、不安などの情緒的混乱ということで、昨年度は不登校生徒の14.3%が情緒的混乱ということで
上がっております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 今のパーセントからいたしますと、100名から200名ぐらいの方がいらっしゃるということになりますけれども、先ほどお聞きした中で
は、50名ほどがスプリングボードの指導を受けて、その中で復帰した方はたくさんいらっしゃると、そのほかの方々に対するケアということは、今のところ、
どういうふうになっておるのでしょうか。お答えください。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 先ほど申し上げましたように、引きこもりがちな子どもに対しては、担任の家庭訪問はもちろんですけども、先ほ
ど申し上げた学生のボランティアとかですね、さらに中学校の場合ではスクールサポーターと、そういった形での対応、さらに子どもたちが出てこれないときに
は、カウンセラーが保護者の方に面談をしながら、その手だてを考えていくとか、あるいは教員がカウンセラーの方にアドバイスを受けるというような形で、そ
ういう引きこもりがちな子どもたちに対してのかかわりを深めている、そういう状況でございます。
◆水ノ上 委員 これも費用対効果ということがあるでしょうし、このスプリングボードを運営る上で、幾らかかっているのか。その効果として何名の方を戻
したかということがあるとは思いますけれども、今の現状では、堺の綾之町1カ所であって、泉北等々につきましても、そのような引きこもりとか心的要因を原
因とする児童に対してケアしていただきたいという声があるように聞いております。そちらの方も今後、ご検討いただいて、ご要望として上げさせていただきた
いというふうに思います。
1番目に質問いたしました学力低下と、そして今質問させていただきました不登校問題につきまして、1つご要望をさせていただきたいんですけれども、昨
日、6月15日にタウンミーティングがございまして、その中で鴻池大臣が、現在はA地域に暮らしているから、A小学校、A中学校に必ず行かなければならな
いという時代ではないというふうに申されました。私もそのように思っておりまして、選択の自由があれば、今のような学力の低下、また不登校につきまして
は、少なくとも対応できるのではないかというふうに思います。小学校、中学校につきましては、歩いて行ける範囲内で、例えば3校程度、どこの学校でも行け
るようにすれば、選択の自由があって、ここの学校は例えば勉強に力を入れているが、こっちではスポーツに力を入れていると。自分で選択して、どちら方に行
くか決める。そうすれば、自分の能力をさらに高めることができる。選択がないというのが今の教育を停滞させている一つの原因ではないかというふうに思うの
です。また、競争原理を入れることによりまして、学力の低下に歯どめをかけるとともに、教師の中でも、自分の学校が人気があるとなれば頑張れますし、他の
学校が人気があって自分の学校に人気がなければ、なぜ人気がないんだろうというふうに考えて、さらに自分たちで研さんすると、そのような状況が生まれるの
ではないかと、それによって自由都市・堺と言われました堺ですから、このような教育の中に自由な空気を入れることによって学力の向上を望めるのではないか
というふうに思います。
さらに、不登校問題につきましてですけれども、不登校で一たん人間関係で不登校になっていた。その後、学校に帰ったけれども、やっぱりその人間関係が
残っているので、その学校へ行ったけれども、またもう一回不登校になったと。その子に対しては、例えば3校自由に行けるということであれば、ここの学校で
あの子が嫌だった、この先生と合わなかった、この学校の雰囲気が悪かったということであれば、歩いて行ける範囲内で、学校を選択してもいいと、こういうこ
とを自由にすれば、不登校も減少するのではないか、私はこのように思います。このように考えておりますので、学力の低下と不登校をなくすという観点から、
歩いて行ける範囲内で小学校、中学校で選択の自由を認められるようなことも考えていただきたい、これをご要望として上げたいというふうに思います。
《男女平等教育について》
続きまして第3番目の質問に移ります。第3番目の質問は男女平等教育についてご質問いたします。
男女平等社会は達成されるべきであって、そのための教育、男女平等教育は推進されるべきだというふうに思います。しかし、昨今の男女平等教育という意味
の中には、昔、私たちが小さいころに聞いた男女平等という言葉ではあらわせないような、いろんな意味が加えられているような気がいたします。昔の男女平等
といいますのは、憲法に保障されている権利、例えば参政権が男女平等であるとか、雇用の均等が保障されておるとか、教育が、受ける教育の権利が男女ともに
平等であるという憲法に保障されているような権利の範囲で、それだけではないですけれども、およそそういう中で男女平等が言われておると、このように思い
ます。ただ、昨今、男女平等と、市教委でも言われている男女平等教育ということを言われておるんですけれども、昔とはちょっとニュアンスが違うなというふ
うに感じておりますので、そのことについて改めて男女平等教育とはどのような教育のことを示すのかについてお考えをお示しいただければというふうに思いま
す。よろしくお願いします。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 男女平等教育は、日本国憲法及び教育基本法の精神にのとっとり、基本的人権の尊重と両性の本質的平等の理念の
具現化をめざすものであり、平成11年度施行の男女共同参画社会基本法の趣旨を踏まえ、教育要領並びに学習指導要領に基づく男女共同参画社会の実現と男女
平等観の形成を促進する、あらゆる教育活動を包括するものと、そのようにとらえております。さらに、本市では平成14年の4月1日より堺市男女平等社会の
形成の推進に関する条例を施行しておりますが、その中では、男女平等社会は、すべての人が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮する機会が確保
されることにより、対等な社会の構成員としてのみずからの意思により、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野における活動に参画し、ともに責
任を担う社会であると定義づけられております。
学校教育におきましては、子ども一人一人の個性が尊重され、男女が相互に尊重し合い、ともに支え合う男女平等社会の実現をめざし、あらゆる教育活動の中で男女平等をめざした取り組みを進めることが大切であると考えております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 今、理事者が申されました堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例の中で、機会が確保される。この機会の均等こそ、男女平等の本質だ
と、私はこのように思っております。男女平等教育と、教育という名がついている限り、今現在、男女で不平等があるから、それを是正しよう。または過去に不
平等があったから、それを教えた上で、未来にそういうことがないように是正しようという考えで教育ということがあるとは思うんですけれども、そこでお聞き
いたします。市教委は、男女の不平等を認識しているから、男女平等教育を実施していると考えておりますけれども、どんな不平等があるために、それをまた是
正するために教育を必要とお考えになっておるのか、お答えいただけますでしょうか。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 男女平等に向けて、さまざまな施策が進められておりますけれども、男女間の社会を見ますと、男女間の賃金格差
は依然として大きく、女性の就業形態は、パートなどの不安定就労が多く、また、政策決定の場の女性の参画率はまだ低い状況にあります。このような経済的・
社会的なアンバランスに加えまして、固定的な性別役割分担意識から来る偏見といいますか、思い込み、それから本市の市民の意識調査でも見られるような男女
の不平等感が今なお残り、男女が平等に参画できる社会が実現されてるとは言えない状況であるととらえております。本市学校園におきましては、これらのこと
踏まえまして、堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例に示されている男女平等社会の実現に向け、男女平等教育に取り組んでいると、そういう状況でござ
います。以上でございます。
◆水ノ上 委員 ジェンダーフリー教育という言葉がございまして、これは堺男女共同参画プランの中にも書いている言葉なんですけれども、市教委が予定し
ております男女平等教育とジェンダーフリー教育というものは同じかどうか、それについてお答えいただけますでしょうか。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 ちょっと不十分なお答えになるかもわかりませんけども、ジェンダーとは、生物学的な性差とは別に文化的・社会
的につくられた性差のことを指しておりまして、第3期堺男女共同参画プランにおいて、ジェンダーにとらわれない自由な意思や考え方をジェンダーフリーと記
されております。本市立学校園におきましては、男女が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野に参画できる社会の実現にむけて行動できる子どもの育
成をめざして男女平等教育に取り組んでおります。以上でございます。
◆水ノ上 委員 私は今、男女平等教育とジェンダーフリー教育が同じかどうかお聞きしたんでございまして、今の問いには全く答えておられないというふう
に思います。もう一度お聞きいたします。男女平等教育とジェンダーフリー教育とは同じでしょうか、違うのでしょうか。
◎辻村 学校教育部副理事兼学校指導課長 重なる部分はあると思います。ジェンダーにとらわれない生き方をするということで男女平等教育を進めております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 ここに平成12年に市教委がおつくりになられました男女平等教育指導資料、自分づくり、夢づくりというものがございます。男女平等教育
指導ですから、男女平等を推進するために、これを使いなさいというためにおつくりになったと思うんですけれども、この中には、ジェンダーフリーという言葉
が至るところに出てまいります。ということは、堺市教委といたしましては、男女平等はジェンダーフリーという社会を達成するためにめざすのではないかとい
うふうに私は思いまして、今、男女平等教育とジェンダーフリー教育は同じじゃないかというふうにお聞きしたのでございます。
先ほど、先日の大綱質疑でも申し上げましたように、私はジェンダーフリーという考え方に対していろいろ危惧を持っておりまして、その中でも教育現場に
ジェンダーフリー教育を用いるということは、子どもたちに日本の伝統や文化を継承することを断絶することになりかねない。このように思うわけでございま
す。最初、私は教育の理念ということを申し上げました。それは我々の祖先が数千年間綿々として伝統と文化という形で継承してきたものを、我々は次の世代に
伝えていかなければならない。これこそ、まず、我々は考えなければならない教育の基本だというふうに思います。過去の伝統や文化を否定して未来はない、こ
のように思います。ですから、私はあえて子どもたちにジェンダーフリー教育を入れることは、過去の伝統や文化との断絶になる可能性がある。ですから、私
は、ジェンダーフリーという言葉については、いろいろ解釈がありまして、今のところ可能性というふうに申し上げますけれども、それを突き詰めれば、将来、
日本の国が今までの伝統と文化を全然受け継がない日本になる可能性がある、そういうことを危惧いたしております。
本日の質問は以上で終了いたしますけれども、私の理念といたしましては、何度も申し上げますけれども、日本の国が綿々と伝えてきた伝統と文化を壊すこと
なく、次代に伝える、子どもたちがそのために担う大人になっていただく、そういうことを理念として、私はこれからも教育に携わる政治家として頑張ってまい
りたいと思います。まだまだたくさん問題意識はありますけれども、また、今後とも私も勉強して、直すべきは直し、伸ばすべきは伸ばす、このように思ってお
りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終了させていただきます。
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