○水ノ上委員 おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上です。きょうは2点にわたってご質問をさせていただきます。
先日の大綱質疑におきまして教育問題を取り上げました。そのとき私は、人はなぜ学ばなければならないという問いかけに教育長みずからお答えをいただきまし
た。また、ちょうど経済協力開発機構・OECDの学力調査により、日本の学生の学力低下が明らかになったことから、学力低下の原因及び対策についてお伺い
いたしました。また、けさの新聞ですが、これは産経新聞ですが、1面で、皆さんよくご存じだと思いますけれども、小・中学生対象の国際数学・理科教育動向
調査で日本の小・中学生の数学及び理科の基礎学力の低下が明らかになりました。前回のOECDでは読解力及び数学的応用力がもはや日本はトップレベルでは
ない、陥落したという文科省の発言がありましたけれども、今回は理科も学力が落ちていると、これもゆとり教育が原因だというふうに分析されております。
このような2つの学力調査の結果を受けまして、中山文部科学大臣は、歴代の大臣で初めて日本の学生の学力低下を認めた上で、ゆとり教育の見直しを打ち出し
ました。現在進めております教育が、ゆとり教育が導入当初より多くの方が懸念したとおり、学力を低下させただけでなく、学ぶ意欲すら減退させたことがこれ
ではっきりとされたと思います。
学力低下の原因といたしまして、大綱質疑の際の教育次長のご答弁では、学校教育における基礎的・基本的な事項が必ずしも定着していないこと及びゲーム機の
普及や長時間のテレビ視聴による活字離れなどを例に挙げられました。けさの新聞によれば、日本の子どもたちはテレビやビデオを見る時間が他の国より長く、
宿題にかける時間は短いことが書かれております。次長のおっしゃったとおり、テレビなどの視聴により活字離れが進み学力低下の一因となっております。
私は、前回の大綱質疑で学力低下の根本的な原因を4点挙げました。1つは学ぶ意欲の低下、2つ目が学ぶ環境が悪化していること、3つ目は学習時間の減少、4つ目が教師の質の低下ということです。
学ぶ意欲の低下は、これは一番大事なことだとは思います。学ぶ目的が明確でないこと、また学ぶ喜びが伝わっていないことなどが挙げられると思います。学ぶ
環境の悪化は、学校崩壊また学級崩壊、校内暴力等、昨今一時沈静化しておりましたけれども、徐々に広がって、ふえているような気がいたします。学習時間の
減少は、ゆとり教育の実施により平成14年度の学習指導要領により大幅に削減されたことはよくご存じのことだと思います。
教師の質の低下は、これも最近の新聞報道ですが、これは12月11日の朝日新聞ですが、平成15年度全国の公立学校教員で懲戒処分を受けた教員の数は、わ
いせつ行為等が155人、体罰が173人で、いずれも過去最高だったとしております。一方、精神性疾患のため病気療養した教員は、前年度より507人ふえ
3,194人と、こちらも過去最高で、教師が疲労困憊状態。これは学ぶ環境が悪化していることと影響があると思いますけれども、教師の心が病んでいる、こ
のように思います。
この4点の中で学習時間の確保という点につきましては、実はこれこそゆとり教育の導入により最も影響を受けたことではございますが、9月の文教委員会で取り上げましたので本日は省かせていただきます。まず、学ぶ意欲の低下についてお伺いしてまいります。
けさの新聞でも日本の学生は、調査の中では学ぶ自信や意欲も調査の中では最下位というふうになっておりました。意欲が最下位であれば、学んだ結果の学力も
伴わないというのは当たり前でございます。学ぶ意欲というものはどんなときに出てくるんでしょうか。私は、学ぶ目的がはっきりしていること、また学ぶ喜
び、達成感と言いかえてもいいかもわかりませんが、みずから努力することにより報われることを知ること、こういうことが学ぶ意欲につながると思っておりま
す。
昨今、子どもたちの学力低下の根本理由は学ぶ意欲の低下ということは言われておりますが、人間、学ぶ意欲さえあれば、どんな劣悪な環境にあっても学ぶこと
ができますし、学校の授業時間が短くなっても自分で時間をつくってでも勉学に励むでしょう。また、たとえ教師のレベルが低くても独学でそれをカバーすると
思います。
大綱質疑の折、今の小・中学生がまずお手本とすべきは二宮金次郎であると私は申し上げた。これは学ぶ意欲という点でも最も手本になると思います。学ぶ意欲
を生涯持ち続けました。よくご存じだと思いますけれども、二宮金次郎は、両親を早くに亡くし、一家離散いたします。おじに雇われますが農民の子は学問する
必要がないと夜の読書をとがめられます。が、寝る時間を削って隠れて勉強を続けた。勉強の時間がないので、薪を背負いながら道すがら大学などの書物を大き
な声を出して読み歩いた。こういうことはよくご存じだと思います。また、生涯学問の先生はいなく、独学で勉強をし続けたなどですけれども、学ぶ意欲さえあ
れば、どんな境遇でも学ぶことが続けられるという、これ以上ないお手本だというふうに思います。このような理由から私は大綱質疑でも、特に小学生には二宮
金次郎を学べと、このように申し上げたわけです。
そこで質問をいたします。学力低下の最も大きな原因、それは学ぶ意欲が低下していることですが、この理由についてどのようにお考えですか、お答えください。
○石井学校指導課長 委員ご指摘の子どもたちの学ぶ意欲の低下につきましては、経済協力開発機構・OECDの学力調査における読解力の低下、また昨年度本
市が実施しました堺市学力実態調査で、書くということが不十分であったことなどから大変懸念されておるというふうにとらえております。
その原因を考えるとき、学校教育におきましては、生きる力をはぐくむ指導方法のあり方や子ども理解のあり方が本当に子どもの学ぶ意欲を引き出すものになっ
ていたのかどうかという視点をもって、まず原因を考えていく必要があると考えております。さらに学校・家庭・地域の連携による教育力の向上をめざして取り
組んでおりますが、そのあり方など、さまざまな視点からこの原因については検討をし、探っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。以
上です。
○水ノ上委員 今のご答弁の中で生きる力という言葉が出てまいりました。この生きる力という言葉は、現在教育を論じるとき、最近よく出てまいります。特に
ゆとり教育の目的は、子どもたちの生きる力をつけるというものでございました。今の答弁でも生きる力が学ぶ意欲を引き出すということをおっしゃいました。
実は、この生きる力というのが私はよくわからない。犬や猫にでもあるような生命力みたいなもんだろうかと考えてしまいますし、昨今、若者は自分の命を余り
にも粗末にして集団自殺などを簡単にするような報道がされております。これこそ生きる力がなくなっている証拠だと、このようにも思います。そこでお伺いい
たしますが、生きる力というのは一体どういうものなんでしょうか、お答え願えますでしょうか。
○石井学校指導課長 生きる力につきましては、私どもは、確かな学力をまず持つということ、そして豊かな人間性を持つということ、さらに健康・体力につい
ての力を持つというふうなことが大切と思っております。さらに、その根底としては、今後、激動する社会を生きようとする力、その中味は自分自身を肯定的に
とらえて前向きに生きていこうとする自信でありますとか、自尊的な感情でありますとか、そういうものが根底として非常に大事だろうというふうに考えており
ます。以上です。
○水ノ上委員 私は、生きる力というのは、心の問題だと思うんですね、心の持ち方。それは公に奉仕することに対する喜びとか、人に優しくしたときの喜び、
そういう喜びという面もあると思います。また、生きる力というのは他者と比べてよく生きるという意味もあると思うんですね。よく生きるということはどうい
うことか、それは世の中、人のために役に立つということだと定義してもいいと思うんですけれども、このように私は思います。そういう他に対する優しさ、奉
仕の精神、そういうのがなくなったから、生きる力がなくなっているんだと、このように私は思うんですけれども。
それはさておきまして、この学ぶ意欲の低下について、どのように対処していくことが効果があると考えておられますか、お答えください。
○石井学校指導課長 子どもたちの学ぶ意欲を育てるためには、まず一人一人がわかった、できたという喜びや充実感を感じられる授業、さらに子どもが主体的
に取り組む教育活動を実践していくということが必要であろうというふうに考えております。子どもたちにこのような学習体験や体験活動に目標を持って取り組
ませることによって、自己を肯定する感情がはぐくまれていくと考えております。
本市におきましては、各学校における授業の改善や少人数指導の充実に努めるとともに、学校・家庭・地域の協働により家庭での自学・自習の力を高めるための
取り組みを進めております。また、基礎・基本をしっかり身につけさせるために、よりきめ細かく個に応じた指導を推進するとともに、総合的な学習と他の教科
の関連を図るなど、教育課程の一層の創意工夫を凝らし、子どもたちが学ぶことの楽しさに気づき、みずから学び、みずから考える力の育成をめざしてまいりた
いというふうに考えております。以上です。
○水ノ上委員 今のご答弁を聞いておりますと、余り具体的な方策というのがないような気がいたします。具体的にどういうことをすれば学ぶ意欲が向上するとお考えですか、もしも具体的な考えがあればお聞かせください。
○石井学校指導課長 今申し上げましたのは、主として学校における指導の改善という点ですが、一つ具体的な例ということでございますと、例えば読書という
ことは非常に大事であるというふうに考えております。読書を通して学ぶことの大切さを理解していくことができるというふうにとらえております。読書につき
ましては、人類が獲得した文化そのものでありまして、考える力を育てる上で非常に重要な役割を持っておる。さらに多様な、いろんな人の生き方を学ぶという
ことで自分の生き方を考えるということもできる、学ぶことの基盤にもなると思っております。
本市においては、そういう点から読書教育の充実を図るため、平成16年3月に堺市子ども読書活動推進計画を策定しまして、学校においては朝の読書活動、教
育課程全般にわたる学校図書館の活用を推進しておるところでございます。また、来る2月には夢をはぐくむ堺っ子読書フォーラムを開催して、堺市における読
書活動の推進状況について発信をしていくということで、読書などに力を入れていきたいというふうに考えております。以上です。
○水ノ上委員 私も読書に対する重要性というのはよく認識しております。読書、すなわち国語力の向上こそ学力低下に歯どめをかける一番の特効薬とは思います。すべての知的活動の基礎は国語ですから、これを学ぶことは何よりも先決だと思います。
ただ、学ぶ意欲をという点ではちょっと観点が違うんですけど、私は、子どもたちがどういうときに目が一番輝くか、これ2点あると思うんですね。それは1点
は、人と競争しているとき。小さいときは素直に勝ち負けにこだわります。負けたことはかわいそうだという人もいらっしゃるかもわかりませんけれども、ゲー
ムでもスポーツでも、その競争して勝つことにすごい執念を燃やす。勝ったら喜んで、また頑張る、負けたら悔しくて次に期する。
こういう態度こそ子どもの意欲を向上させていくんだと、これは学校でも学ぶことでも一緒だと思うんですね。今では余り競争、入試以外で競争ということは余
りしませんけれども、これを競争の原理というのを入れていただいて、例えば全員の成績を出すのはいろいろ問題があるでしょうけれども、上位10人まで出す
とか、そういう学力の向上を図るような、競争の原理を生かしたような学力の向上をめざすようなことをしていただきたい。
それに関連いたしまして、今の学校教育の中で競争というところで何か取り組んでいることはございますでしょうか、お答え願えますか。
○石井学校指導課長 競争という点ですが、現に学校ではスポーツなどでは当然のように勝ち負けということがございまして、体育大会などでは順位がついてお
るところでございます。その他いろんな特別活動であるとかの中で順位をつけて、そのことが学ぶことの楽しさを、活動することの楽しさを知るという点には
なっておろうかと思います。
学習においての競争という点でございますけれども、学習についての意欲という点を考えますと、1つは学習することそのものに興味・関心があるとか、わかっ
たとか、できたという子どもたちの心の働きによって意欲を高めていくということが内的に動機づけていくことだろうと思います。
その学ぶことそのものではなくて、例えば競争でというふうなことも、例えば現に学校ではございます。例えば小学校であれば、人より速く計算ができたとか、
たくさん問題を同じ時間にできたということで、子どもたちが張り切ってやるという場面も実際はございます。ですから、その内的な動機づけと外の動機づけ、
これはいずれも重要であろうと思っておるところですけど、基本に置いてございますのは、私どもは、子どもたちのわかる喜び、できたという達成感というふう
に考えておるところでございます。以上です。
○水ノ上委員 今のご答弁の内的動機、外的動機というのは、私も大変大事だと思います。ある学校で、習熟度別授業をやっておりまして、私、見に行きまし
た。子どもたちは算数の授業でしたけれども、人よりも1枚でも多くしようと必死でやります、目の色が変わる。それこそもうわき目も振らず頑張ってます。あ
の姿を見たときに、その学校というのは小学校の中でもずば抜けて算数ができる学校なんですけれども、そのおかげで。やっぱりこういうやる気を起こすのは、
人よりも何とか頑張ろうという意欲だなと、このように思いました。そういう点をどんどん伸ばしていただきたい、このように思います。
2番目は、私は、なりたい人間というのを具体的に教える、このことが大事だと。目標をきちっと定めてやる。それは具体的には偉人伝をしっかり小さいときに
学ばせる。それは日本に限りません、世界じゅうにたくさん偉い人はいます。こういう方の伝記を読ませて、自分の感性に合うような偉人を見つけて、そういう
方に近づきたい、このような教育を一生懸命やれば、それが自分の規範となって子どもの心に続くだろうと、こういうときは、この方やったらどうしただろう
か、こういうことはあの人だったらしないだろうかと、そういう規範を持つことは非常に大事です。日本では宗教教育とかはあんまりしませんけれども、それは
たくさんの偉人の伝記を読むことによって、してはいけないこと、すべきこと、勇気を持ってすべきこと、こういうことを学ぶこと、このように思います。ぜひ
こういう点も考慮いただきまして、学ぶ意欲の向上に努めていただきたい、このように思います。
続きまして、学力低下の2つ目の原因といたしまして、学校現場、教育現場の荒れというものがございます。先ほど申し上げたように、学級崩壊、学校崩壊、学
校崩壊まではまだ行っていませんけれども、学級崩壊しているところは多々あるように聞いております。私も幾つかの小学校、中学校に視察に行って、学校が荒
れている状態を見てまいりました。学級崩壊といいますのは、小学校、中学校で子どもたちが教師の指示に従わず、私語や立ち歩きをして授業が成立しない状
況、このように定義できると思います。
どんな状況かといいますと、ある学校に行きましたら、授業中にかかわらず3クラス、4クラスで人が平気で行ったり来たりしてます。授業を受けているのは前
に、先生の直前にいる10人か、せいぜい十五、六名、この方だけが先生の話を聞いてて、それ以外の人は後ろで携帯のメールをしてるか、ゲームをしてるかわ
かりませんけど、ぺちゃくちゃ私語はしてる。平気でほかのクラスに行ってしゃべってる。先生は必ずそのほかの担任以外に廊下にいてるんですけれども、注意
をしても全く知らん顔で何食わぬ顔で行き来、平気でしてる。このような状況がありました。
私、もちろんそこに行って、何人かのそのPTAの人とも行ったんですけど、ちょうどそこはオープンスクールのときでしてね、保護者の方も来てました。そう
いうオープンスクールで、その保護者の方、私が行ってるときでも、そういうような状況が平然とされる。これ普通、教師だけの場合はどんなことになっている
んだろうかと、このように非常に不安に思った。
1つ、2つじゃないだろうと思います。そういうのがしんどい学校というのはたくさんあると思います。そういう学校、学級におる学生、勉学をしたいという学
生は、これは絶対に学力がつきません。先生は、一部聞く人にだけやっておりますけれども、それでも満足な授業はできない。で、最後学期の期末になって、慌
ててもう詰め込みをやるから、テストはいつもどおりやりますから全然できない、このような状況が繰り返しされているというふうに聞いております。ですか
ら、学校の秩序の安定ということが何よりも学力を高めるための一つだろうと、このように思います。
そこであえて質問をいたしますけれども、まず学力低下と学校の荒れは相当因果関係があると思います。この点について改めて見解をお聞かせ願えますでしょうか。
○石井学校指導課長 一部の学校におきましては、委員ご指摘のように、一部の児童や生徒が教室に入らない、校内を徘徊して教師に従わないで問題行動を起こ
したり、授業が成立しにくい状況ということがございます。このような状況では、学習内容の理解、定着は図りづらく、学ぶ意欲の育成も困難であるというふう
に考えております。落ちついた雰囲気の中で学習に集中することは、子どもたちの学ぶ意欲の育成にはなくてはならないものでありまして、各学校が関係者、関
係機関とも一体になって、そういう環境の構築について進めていかなければならないものというふうに考えております。以上です。
○水ノ上委員 落ちついた雰囲気の中で学習に集中することは、本当に子どもたちに大切なことです。子どもたちは、言うまでもなく日本じゅうでどこでも平等
に学ぶ権利があります。あえて申し上げるまでもなく、子どもたちが小学校や中学校で学ぶのは一生に一度限りです。やり直しはききません。校区が決まってい
るため行きたい小学校、中学校は選べません。荒れている学校でも入学をしなければなりません。今、通っている学校がすべてです。粘り強くという言葉がよく
ありますけれども、この子たちにとっては、今すぐにでも学校を改善して秩序を保ってもらわなければならない、このように思っているのはご理解いただけると
思います。
それでは、学校の荒れの現状とその原因について、特に最近増加傾向にあるというふうに私は感じておりますけれども、そのあたりについてもお答え願えますでしょうか。
○石井学校指導課長 学校における生徒指導上の課題につきましては、学級がうまく機能しない状況でありますとか、いじめであるとか校内暴力というふうなことがございます。その状況についてご説明させていただきます。
本市におきましては、平成15年度、一時的にでも学級がうまく機能しない状況に陥った学級は、小学校で16学級、中学校で7学級ございました。いじめにつ
いては小学校で101件、中学校で139件発生しております。同じく15年度ですが、校内暴力は小学校で73件、中学校で721件となっておりまして、い
じめ・暴力とも発生率は全国よりも高いという状況になってございます。その原因につきましては、学校の指導体制、あるいは子どもの忍耐力の低下やコミュニ
ケーション能力の低下、家庭や地域の教育力の低下、社会の環境の変化等さまざまな要因が複雑に絡み合ってきておるというふうにとらえております。以上で
す。
○水ノ上委員 今のご答弁にありましたように、中学校において特に荒れが目立っているような気がいたします。中学校は大体1学年200人ぐらいですけれど
も、私が見ましたところ、わずか10人足らずの、いわゆるしんどい子によって1学年の授業自体が崩壊しているところもあります。
個性の尊重などという甘やかしがこのような状況を招いているのではないかと、このように思うわけです。野放しにされた子どもが発揮する個性とは、一体どん
なものなのか、親や教師の言うことを聞かない、親の手伝いはしない、本人は見向きもしない、気に入らない人間は殴る、弱い者いじめをする、授業中に私語を
やめない、宿題はしてこない、このような態度を本来、親や教師は自信を持って毅然とした態度でしかり飛ばすべきですけれども、現在の親や教師はそれができ
ない人が多い。個の尊厳や個の価値といったものをうたい上げて、単なる子どものわがままが大層な個性として尊重されてきて、手がつけられないような状況に
なってしまったのではないかと、私はこのように思います。
現場に立ってみて、目に余るものがあります。堺市の学校は荒れていて、学習に支障が出ているとして、まじめに勉強に励みたい生徒は、堺市のある地域に生ま
れ育ったがために、日本で保障されている学習が受けられなかった、他の市、他の国に生まれればそうではなかったのになどということは絶対にあってはならな
い、このように思います。
そこでご質問いたしますが、学校の荒れを克服するために、どんな方法があるでしょうか。また、学校の荒れには教師の質というのが非常に重要な要素になってきます。そこで望まれる教師像について、どのようにお考えでしょうか、あわせてお答えください。
○石井学校指導課長 荒れを克服するための方法と教師の質というご質問でございますけれども、生徒指導上の課題を解決するためには、問題行動に対して毅然
と対応する、また学校の規律維持という指導が重要でございますが、一方、児童・生徒の心に寄り添い、心の揺れや悩み、不安を受けとめていくというふうな子
ども理解ということも一方で非常に重要であるというふうに考えております。
さらに、わかった喜びやできる喜びをわかるような授業づくり、児童・生徒に自己決定の場や自己肯定感を与えられるような授業の創造、または児童・生徒と教師の共感的な関係をはぐくまれるような、はぐくむことができるような教育活動をつくっていくということが重要です。
学校と家庭が信頼関係を築きながら、地域、関係諸機関の協力を得て、児童・生徒の健全育成を図ることが大事だと思っております。この連携という点では、あ
る中学校では、中学校を育てる会というのを結成して、現在、地域・保護者も一体となって朝のあいさつ運動、オープンスクール、生徒も一緒になった校内の美
化活動などに取り組んで成果を上げておるところでございます。
教員の質、教師像という点でございますが、まず、広い視野を持ち、教職員としての使命感、自覚に基づいて職務をきちっと行う、また子ども、保護者、地域と
信頼関係を築く力、さらに、わかる授業を進める専門的な知識や技能、そして指導力そのものが必要であると考えております。先ほども申しました問題行動に対
する毅然とした対応、そして子どもの心をしっかりと受けとめていく力というふうなことが今の教師には求められておるというふうに考えております。以上で
す。
○水ノ上委員 今、課長よりご答弁ありました中で、克服のための一つとして学校美化活動というのがありました。私が見た中で、荒れている学校は間違いなく
汚い、もうごみだらけ。中にはたばこの吸い殻が落ちてる。学校の先生が、教師が休み時間にたばこの吸い殻を拾って歩いている。こんな状況もあります。それ
が毅然とした態度かどうかわかりませんけれども、教師は掃除をしろということが言えない、掃除をしろと言うても絶対しない。ある学校では、もう地域挙げ
て、学校をまずきれいにしようというところから始めているところもあると聞いています。これは非常にいいことですし、きれいになることによって心のすさみ
がなくなって勉学が進むということがあると思いますので、こういう点をぜひ進めていっていただきたいと思います。
先ほど申し上げたように、一生に一度しかない学ぶチャンスを、子どもたちの学ぶチャンスを万全なものにするために、日々努力していただきたい。先生たちの毅然とした態度こそが子どもたちの信頼を得、学習に対する態度、前向きな態度に出てくると思います。
まじめな先生ほど悩み、非常に苦しい毎日を戦っていると思います。それが先ほど申し上げた、冒頭申し上げた精神性疾患の方だと思います。この方々は、みん
な正義感があって、何とかしようという方ばかりやと思います。だけれども思うように子どもたちがならない、荒れる、だから悩む、こういう繰り返しで心の病
がふえているんだと。それを何とかバックアップしてあげて、それは問題教師もあるかもわかりませんけど、ほとんどの方がそうではないと思います。教師のそ
の苦労というのは、現場に行って私はよくわかりました。こういう方はぜひバックアップして、一丸となってすばらしい教育現場をつくっていただきたいと思い
ます。
その市がこれから繁栄するかどうかというのは、市の学校の状況を見ればわかると思います。教育現場が正常に機能していれば、その市はこれから発展していく
でしょうし、教育現場が荒廃して手がつけられないような状況では、いずれ優秀な人材は流出して、市は活気がなくなると思います。
私は、以前より教育こそ国を立て直す唯一の根本であり、国だけではありません、この堺の復活も教育の立て直しなくして絶対にうまくいかないと思います。一
時、経済を持ち直したとしても、持続させるためには高い教育を実施し、次の時代を担う人間をつくらなければならないと思います。どうか学力低下がはっきり
した今、この結果を率直に受けとめていただいて、学力向上のための教育行政に全力を尽くしていただきたい、この点をご要望いたしまして、この質問は終わり
ます。
続きまして、堺朝鮮初級学校への運営補助金についてご質問をいたします。
平成16年4月より休校しております堺朝鮮初級学校に対する補助金については、6月15日の文教委員会において質問をいたしました。ご記憶にあると思いま
す。休校している堺朝鮮初級学校に対して、従来どおり補助金を予算計上しているのはおかしいのではないかという観点でご質問をさせていただきました。そこ
でお尋ねをいたします。16年度予算の補助金224万円は、その後どのようになっておりますでしょうか、お答えください。
○石田教育委員会総務課長 委員お示しの6月の文教委員会におきましてご答弁させていただいておりますが、堺朝鮮初級学校につきましては、平成16年4月
から休校になっておりますので、現行の要綱で補助を行うことはできません。したがいまして、本年度の補助金につきましては、現在のところ未執行となってお
ります。以上でございます。
○水ノ上委員 現行の補助金交付要綱は、堺朝鮮初級学校が運営されている前提で作成されたものであり、すべて学校運営に関する経費の補助でございました。
現在、当該学校が休校している以上、現行の要綱は効力を失っていると言えますから、その要綱に基づいて計上された予算は執行されないのは当然だと、このよ
うに考えます。
次に、先日開かれました決算審査特別委員会の教育費の審議のところで、ある議員より朝鮮初級学校に対する経済的支援は必要と考えるとの立場から質問がなさ
れましたが、その質問に対し総務部長から、国際社会の中で教育の果たす役割は大きく、朝鮮初級学校に通う義務教育年齢の子どもたちの正しい学習を支援する
観点から、一定の年限を区切って教育の振興のための補助を行うことは意義があるものと考えており、今後具体化に向けた所要の検討を行う考えであるとのご答
弁がありました。このご答弁による具体化に向けた所要の検討とは、どのようなものなんでしょうか、総務部長、お答えください。
○池西教育委員会総務部長 この前の委員会でもご説明をさせていただきましたが、本市は、国際理解教育ということをモットーといたしております。その国際
理解教育の趣旨は、言葉や文化、あるいは習慣の違いをお互いに認め合いながら、ともに日本の社会で平和に暮らしていく、そういうことを目的としておるもの
でございます。
在日朝鮮・韓国人の子どもたちが通っております朝鮮学校は、民族教育ということを重視しながらも、特に義務教育年代の児童・生徒に対しましては、基礎的な
学力に力点を置いた教育がなされておるということを聞いております。義務教育に準じたものとして、堺市から朝鮮学校に通っておる子どもたちにつきまして、
学校教育事業にかかる経費の一部を補助するということを今具体に検討しておるところでございます。
民族学校に通う子どもたちも確かに国籍の違いはあるといたしましても、同じ日本の国に暮らす子どもたちでございます。好ましい教育環境を整備するための支援につきましては、一定の意義があるという理解をいたしておるところでございます。以上です。
○水ノ上委員 在日の朝鮮学校は、在日朝鮮人の師弟に朝鮮語や朝鮮の文化、歴史などを教え、朝鮮人としての民族精神を継承する役割を一定果たしてきたこと
は認めるものでありますし、このような教育自体は、日本においても彼らに保障されなければならない権利であると私は理解しております。また、今、総務部長
がおっしゃいました本市が進める国際理解教育もよく認識しております。
朝鮮学校は、学校教育法第1条に定められた教育基本法上の正規の学校、通常1条校と呼ばれますが、ではなくて、各種学校、すなわち学校教育法第83条にお
いて認可されております。そのため私学助成などの国からの支援は一切ありません。ですから、財政的に厳しいのは確かでしょう。しかし、朝鮮学校はあえて1
条校を選択しておりません。それはなぜか、各種学校であれば、日本の文部科学省による教科書検定や教員採用試験などを受けず、自分たちの自由な教育ができ
るからだと言われております。
韓国には日本人学校が2校あります。ソウルとプサンですが、韓国政府及び地方自治体は2校の日本人学校に対して補助金を一切支給しておりません。日本人の
家族及び日本企業などがその運営費を全額負担しております。私は民族学校は、この日本人学校のように、その民族の負担において行うのが原則だと思います。
6月15日の文教委員会でこの問題を取り上げて以来、新聞やインターネットの掲示板などでこの問題が議論されるようになり、私のところへも500通を超え
るメールや手紙をいただきました。そのほとんどが私の主張を応援してくれるものでした。応援してくれるのは日本人だけではありません。在日韓国・朝鮮の方
からも何通かメールをいただきました。その内容は、在日朝鮮人が民族教育を受けるための機関として朝鮮学校があるのなら、助成金は北朝鮮や韓国政府から支
払われるべきであり、日本の自治体がこれを支払うのはおかしいと思います、このような内容のメールを何通かいただきました。
私は、6月の文教委員会で申し上げましたとおり、民族教育を否定するつもりはありません。しかし、民族教育に日本の、または日本の自治体から援助を受けるのは当然だとする態度、考え方には大いに疑問を持っております。
そこでご質問いたします。朝鮮学校に対する補助は戦中の償いや謝罪の意味があり、補助は国や自治体の義務であるとの一部の主張がありますけれども、果たし
てそうなのか、見解をお聞かせください。また在日朝鮮人の方々は、きちんと税金を納めているのだから、補助を受けるのは当然だという主張もあります。この
ような主張に対してもご見解がありましたら、あわせてお答えをいただけますでしょうか。
○池西教育委員会総務部長 委員ご指摘のようなご意見を私どもも聞いております。ただ、私どもが今回考えております朝鮮学校に対します補助の中味につきま
しては、そうした過去の歴史的な認識をもとにいたしました謝罪あるいは償いというような意図を全く持っておりません。そのような性格のものでは全くないと
いうぐあいに考えております。それから、税金を納めているからという、税の反対給付であるからというようなご意見も私どもも確かにお聞きはしておりますけ
れども、むしろ教育は税の反対給付であるべきではないと考えております。
今、考えております朝鮮学校に対する支援策につきましても、すべての子どもたちが等しく教育を受けられる環境を整備をしていくということがむしろ主たる目的でございますので、それに沿った施策として考えておるものでございます。以上です。
○水ノ上委員 今の総務部長のご答弁については、私も一定支持するところでございます。特に堺市にある朝鮮初級学校は休校になっております。教育委員会、
この点をよくお考えいただきまして、今の私の申し上げたこともよくご参考いただきまして、補助金のあり方につき、今後慎重に対処していただきたいと思いま
す。
最後に、予定をしておりませんでしたけれども、1つご質問させていただきたい。堺朝鮮初級学校の固定資産税はどうなっていますでしょうか。もしおわかりであれば、お答え願えますでしょうか。
○石田教育委員会総務課長 申しわけございません。把握しておりません。以上でございます。
○水ノ上委員 私も先ほど思いついた質問ですので、大変申しわけないです。私は税理士という立場ですので、どうなったかなと思ってお聞きしたんですが、今
後これにつきまして、学校法人である場合は免除をされているのかなと思うんですけれどもね、それが休校になったらどうなるかというあたりも含めまして、私
も一度研究したいと思いますので、ぜひそういうあたりも調査いただきますよう、その点もご要望いたしまして私の本日の質問を終了させていただきます。あり
がとうございました。
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