1番水ノ上成彰議員
○議員(水ノ上成彰君)(登壇) 堺市議会議員会派プロジェクト堺の水ノ上でございます。
通告に従い、議案に関連して質問を行います。よろしくお願いいたします。
堺市高石市両市民合わせて86万人余りは、堺市高石市消防組合の消防及び救急隊員890人の方々の不断の努力により、安全が守られております。私をは
じめ多くの市民は、消防、救急隊員に感謝し、安心して堺市高石市で生活を送っております。また、我が堺市高石市消防組合の消防隊員の勇敢さは比類がなく、
救急隊員の対応の迅速さ、適切さにおいても、非常にレベルが高いということもお聞きいたしております。
本日は、年々増加しつつある救急需要に対する対応についてご質問いたします。
まず、初めに、現在の救急体制についてお聞かせいただきたい。
堺市高石市両市における救急件数は年々増加していると聞いております。救急件数の増加の原因はさまざまあると思いますが、年々増加している救急件数の推移及び今後の予想についてお答えください。
堺市高石市消防組合は、現在救急車は12台、予備の車を4台所有しております。ただし、4台の予備車は大災害などが起こったときに、隊員を呼び出して
から稼働するものであり、通常の救急業務には対応できていないことから、実質的な稼働は救急車12台を中心とした12隊でございます。堺市高石市消防組合
の消防力の基準では、救急隊17隊が必要とされております。救急車1台につきおよそ10名の隊員が配置され、24時間体制で救急に当たっていただいており
ます。
私は個人的に現役の救急隊員の方と親交があるのですが、彼らは例外なく消防や救急の仕事についていることに誇りを持ち、大阪府の中で最もモチベーショ
ンが高いと自信を持って話します。私は、彼らの話や表情を見て、そのとおりだと思いますし、堺市高石市の消防や救急が、このような隊員たちによって守られ
ているということを誇りに思うと同時に、安心しているわけであります。しかし、半面、現場の優秀さに頼る余り、現場に過度な負担をかけ、ゆくゆくは現場の
モチベーションが下がり、事故等が多発する事例はよくあります。
救急件数が増加する中、現状の救急車の台数及び隊員の数で足りているのでしょうか。現在、堺市高石市の人口の合計は約86万人ですから、救急隊1隊当
たりでカバーする市民の人数は約7万1,800人となります。他の市と比べてどうかといいますと、手元の資料によりますと、千葉市が91万4,000人の
人口ですが、救急隊を25隊持っており、救急隊1隊当たりの人口は3万6,000人と、堺市の約半分です。静岡市は、71万人の人口に対して救急隊は14
隊あり、1隊当たりの人口は約5万人。熊本市は66万人の人口に対して救急隊の数は17隊あり、1隊当たりの人口は約3万8,000人です。政令指定都市
と比べましても、救急隊1隊当たりの人口が7万人台を超えているところはなく、このことから、数字上は他の市と比べて明らかに堺市は低数であると言えま
す。しかし、肝心なことは、人口に対する救急車の割合ではなくて、実際救急患者が発生したときの現場までの到着時間がどのくらいかかるかということでござ
います。その点、堺市高石市消防組合は、現場到着平均時間は5分50秒と、5分以内が理想とは言われておりますが、他の市の多くが6分台であるのに対し、
比較的速い時間を確保しております。救急隊1隊あたりの人口が多いにもかかわらず、他の市に比べて比較的救急車の到着時間が短いということは、それだけ隊
員たちのモチベーションが高く、優秀であるということの証だとは思いますが、隊員の優秀さに頼り、現場に過度の負担をかけていないか心配いたします。
現状では、現場に相当の負担がかかっており、また、市民の生命を守るに足るもう一歩の到着時間の短縮が臨まれますが、そうかといって、堺市及び高石市の財政を考えた場合、単純に救急隊を増やせばよいというわけにもいかないのも実情でございます。
そこで、もし、救急隊を1隊増やしたとした場合、どのくらいのコスト増が予想されるのかお聞かせください。
また、現在の救急隊数、救急隊員数で足りているのか、何か対策をお考えなのか、あわせてお聞かせください。
次に、美原町との合併に伴い、東消防署が開署される予定だと聞いております。
現在は救急では登美丘出張所があり、消防では日置荘出張所がありますが、東消防署の建設に伴い、二つの出張所がどのように取り扱われることになるのかお答えください。
次に、美原町の救急体制に関連してお伺いいたします。
美原町消防本部は、救急隊1隊を擁し、救急車1台、予備の車1台を所有しておりますが、常備救急車が出場している場合は、消防隊が乗りかえとして救急
車を運用し、実質2隊で救急業務を行っているようですが、堺市高石市消防組合では、救急件数の増加に対処するため、同じような対応がとれないのでしょう
か。この点もお答えください。
以上で、一回目の質問を終わります。
○議長(西村昭三君) 救急救助課長。
○救急救助課長(奥野佳秀君) まず、ご質問いただきました救急体制につきましては、救急車に乗務する救急隊員資格者95名と救急救命士59名を各拠点に分散配置し、高度な資機材を積載しました高規格救急車12隊で活動する体制となっております。
また、当消防組合におけます昨年の救急出場件数は3万8,515件、10年前の平成6年の救急出場件数2万4,397件と比較いたしますと、58%もの増加となっております。
近年におきましては、毎年約2,000件の増加を示しております。さらに、高齢化や1世帯当たりの人口構成の少数化により、救急件数は増加することが予想されます。
続きまして、救急隊1隊増加に要する経費につきましては、高規格救急車が約3,000万円、24時間2交代で乗務する救急隊員が、休暇要員も含めまして12名が必要でございます。これらの人件費、さらには服装等の経費が必要となります。
なお、隊員の疲労増大等を勘案しまして、あわせて救急件数の増加対策と救急業務の高度化への対応策について、本年6月に内部の関係所属長によります救急業務体制検討委員会を設置し、検討を進めております。
また、救急件数の増加は、全国的な傾向であることから、国をはじめ関係機関においても抜本的な対応策について検討されている大きな課題であります。その動向も踏まえ検討を進める所存でございます。
次に、東消防署の設置に伴いまして、現在の日置荘出張所は消防出張所としての機能を停止し、防災倉庫等として活用する予定でございます。登美丘出張所は存続いたします。東支所区域の消防体制につきましては、現在鋭意検討中でございます。
3点目の美原町の救急体制でございますが、美原町消防本部は常備救急車1隊で運用されております。この車両が救急出場時の救急の補完体制として、非常用車両1台、消防隊員が乗りかえて救急隊を編成する体制となっております。
当消防組合では、先ほど申し上げましたように、12隊の救急隊を配置しておりまして、救急事案発生場所に最も近い救急隊が出場するシステムとなっており、仮に1隊の救急隊が出場であっても、他の11隊でカバーする体制をとっております。
消防隊が救急車に乗りかえる運用につきましては、火災等の他の災害発生時の対応も考慮し、総合的に考えてまいりたいと存じます。
以上でございます。
○議長(西村昭三君) 1番水ノ上成彰議員。
○議員(水ノ上成彰君) ご答弁ありがとうございました。
救急体制についてですが、救急出場件数は予想を超えて増加しており、ご答弁にありましたように、平成15年度で3万8,515回ですが、平成16年度
は4万回を超えることは確実とされております。救急車1台当たり1日平均9回から10回出場するという激務を続けております。救急隊は平成2年に1隊増や
し、最近では平成13年に1隊を増やし、現12隊制になっているわけですが、平成13年度と比べましても、平成16年度は救急の出場回数が約5,000件
は増加する見込みであり、救急隊の増設を考えなくてはならない時期がきていると思います。
市民の立場からいたしますと、救急車の到着時間が市民の生命を守るに足る時間内を確保しているかについて、最も関心のあるところでございます。先ほど
の私の質問では、堺市高石市消防組合の救急隊の到着時間は、平均5分50秒と他の市に比べて速い方だと申し上げましたが、この到着時間はあくまでも平均で
あり、救急隊員にお聞きいたしますと、場所によっては幾ら頑張っても8分以上要する場所もあるということです。理想はすべての地域に5分以内に到着すると
いうことですが、現体制では難しいということをお聞きしております。
例えば、心肺停止から蘇生できるのは、3分以内に適切な処置をした場合70%の人の命が助かり、心肺停止から5分以内に適切な処置をした場合は、社会
復帰まで回復できるのは50%だそうです。それならば、救急車は通報を受けてから少なくとも5分以内には患者のもとに到着しなければならないということに
なります。
このような問題を解決する最も速い方法は救急隊を増設することですが、救急隊を増設するには巨額のランニングコストがかかります。救急隊1隊を新たに
増設した場合の経費は、ご答弁では高規格救急車が約3,000万円で、加えて救急隊員の人件費が必要ということで、人件費の金額は明らかにはされませんで
したが、1人1,000万円と仮定した場合、12名で1億2,000万円の経費増となるということです。
そこで、現在、美原町で対応されている乗りかえシステムを利用すればいかがということをご提案したい。ご答弁では、現在12隊の救急隊で相互補完をし
て運用しているということでしたが、現在の救急件数の増加傾向を考えますと、限界が来るように思います。救急隊を増設した場合の経費の多くは人件費であ
り、この人件費を押さえる意味で、救急の資格を持つ消防隊員を効率よく活用する乗りかえシステムを活用すれば、それほど経費を増加させることなく救急隊を
増やすことができ、大きな効果が出ると思います。ぜひ、ご検討いただきたい。
次に、東消防署の開設についてですが、住民から登美丘出張所も廃止され、東消防署に統合されるのではないかという不安の声を聞いております。ただいまのご答弁では、登美丘出張所は存続するということでしたので、ひとまず安堵いたしました。
よくご理解いただいていると思いますが、新しい署を開署することにより、現在の住民の福祉が低下しないよう配慮をよろしくお願いいたしたいと思います。
最後に、3点ご要望いたします。1点目は、ドクターカーの導入でございます。
現在、救急車には救命士が乗車しておりますが、救命士は原則医療行為はできません。その制限を克服するために導入されているシステムがメディカルコン
トロールシステムといって、救命士にもドクターの許可のもと、医療行為が行われるシステムです。しかし、先進的な自治体においては、ドクター自身を救急車
に乗車させて緊急を要する事態に対処しております。堺市高石市消防組合においても、12台の救急車のうち少なくとも1台はドクターカーとして使用すること
をぜひご検討いただきたい。1台ドクターカーがあるだけで、市民の安心は飛躍的に向上すると思います。
2点目は、三次救命救急センターの設立でございます。三次救命救急センターは、最重傷患者に対するセンターですが、残念ながら堺市にはありません。この問題については、当消防議会でご要望するものではないかもしれませんが、あえて申し上げます。
堺市の医療機関は内因性の病気に対しては十分対処できるそうですが、外傷、しかも死に至るような重症患者にはなかなか対処できていないそうです。すべ
て堺市外の救命救急センターへ搬送されております。政令市になるに当たって、三次救命救急センターがないのは致命的とまで一部言われております。もちろん
莫大な資金を要するものであり、国の基準では人口100万人に一か所程度の割合ということになっておりますから、すべて堺市で一から立ち上げるわけにはい
かないでしょうが、他の三次救命救急センターを補完する分野に特化し、総合的に市民の重度の外傷から生命を守ることには大きな意味があると思います。ぜひ
ご検討いただきたいと思います。
最後に、除細動器の充実活用についてご要望申し上げます。
除細動器の配置については、ちょうど昨日の新聞で、大阪府が府立学校の一部に配備することを決めたと報道されました。除細動器とは、まず字ですが、除
く細い動く器と書きますが、どういうものかといいますと、心臓停止した場合、心臓蘇生のために電気ショックを与える機械のことをいいます。現在堺市では、
除細動器は救急車に載せられております。しかし、先ほど申し上げましたとおり、心停止になった場合、5分以内に心臓を動かさないことには死ぬ確率が格段に
高くなり、例え助かったとしても脳死状態になり、社会復帰は望めません。
アメリカなどでは、人の集まる施設などに除細動器を設置し、すぐに対処できるようにしております。本年度も心停止で救急出場されたのが480件ほど
あったと聞いておりますが、そのほとんどの方が亡くなられているか、命が助かったとしても脳死状態であると聞いております。もし、近くに除細動器が設置さ
れ、すぐに使用されていた場合、命は助かった方も多かったと思います。
医師法の制約で、除細動器は基本的に医師や救命救急士らしか使えませんでしたが、厚生省が4月に、救命現場に居合わせた一般人の使用や、使用講習を受
けた非医療従事者による使用は医師法に違反しないとの見解を示したことから、全国の自治体などで配備が進んでおります。
先ほど申し上げた大阪府の例もこのような厚生省の見解を受けて決定されたものと聞いております。救急車に積んでいるだけでは間に合わない場合が多い
中、厚生省の見解によって一般の人にも講習さえ受ければ使用することができれば、命が助かる確率はさらに増加すると思います。ですから、救急隊員はもちろ
んのこと、市職員、一般の方を対象に講習を広く行い、あわせて体育館やプール、各支所や庁舎、その他の人の多く集まる場所には設置を積極的に行い、市民の
命を守っていただきたいと思います。ちなみに、除細動器は1台30万円ぐらいだそうですから、予算的には最も効果のある救急救命体制であると言えます。ぜ
ひ積極的に取り入れて実行していただきたい。以上、ご要望を申し上げます。
堺市は、来年2月に美原町と合併し、政令指定都市を目指しております。堺市高石市消防組合がこれを機にさらに充実し、大阪南地域のみならず、大阪府の中でも模範的、指導的な役割を果たしていくことを期待しております。
最後に、本日、高石市長が辞任されるということをお聞きいたしました。堺泉北臨海コンビナートを擁する堺市、高石市の現在の消防の体制は極めて重要で
あると、私は認識しているところであります。現美原町を含めた堺市高石市消防組合の堅持は両市市民の安全にとっても欠かすことのできないものであり、この
ような観点から、両市のさらなる密接な関係を維持していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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