○6番(水ノ上成彰君)(登壇) おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上でございます。会派を代表いたしまして大綱質疑を行います。理事者の皆様方におかれましては、明快なるご答弁をよろしくお願いをいたします。
大綱質疑に入る前に、北朝鮮による日本人拉致事件について一言申し上げたい。11月にピョンヤンで開かれました第3回実務者協議では、北朝鮮は、いまだ
に安否不明の10人の日本人について、8人死亡、2人未入国と従来の主張を繰り返し、死亡とされた8人全員の死亡診断書の捏造など、さらなる不誠実な対応
も明らかになりました。また、12月8日の報道では、北朝鮮側が横田めぐみさんの遺骨と称して我が国に提供した骨がDNA鑑定の結果、めぐみさん本人のも
のでないことが判明いたしました。拉致事件の解決に率先して活動してきました我々プロジェクト堺は激しい怒りをもって、このような不誠実な北朝鮮の対応に
抗議いたします。
昨年の12月議会において、「日本人拉致問題の抜本的解決に向け政府に北朝鮮への経済制裁措置等を求める意見書」が賛成多数で採択されましたが、そのと
き賛意を示された議員の皆様は等しく憤りを持っていると推察いたします。北朝鮮に拉致された日本人の同胞は、横田めぐみさん、有本恵子さんを初め、1人の
漏れもなく全員救出しなければなりません。拉致された同胞奪還という邦人保護の義務を果たさずして、国家は本当の国家であり得ません。また、我々政治家も
政治家たり得ません。特に横田めぐみさんは昭和39年生まれであり、ことしちょうど40歳、私よりも1歳年下であり、その無念は到底他人事ではありませ
ん。死亡を偽造するのは生きているしか考えられません。今でも我々同胞の助けを待っていると思います。
北朝鮮に拉致された日本人は、少なくとも100数十名に上り、北朝鮮に拉致された可能性を排除できない不特定失踪者を入れると400名を超える可能性す
らあります。日本人として、これらの同胞の無念の思いに痛恨の涙とともに、1人残らず奪還する決意を改めて申し上げたいと思います。
それでは大綱質疑に入ります。
我が国は政治、経済、外交、防衛、文化、治安、福祉などさまざまな難問が横たわっているのは周知のとおりであります。これらの問題は、ある1点で共通し
ています。それはこれらの問題は人の力によってしか解決できないという点です。ここで言う人とは、当然日本人であり、他の国の人に頼って問題を解決できる
はずはありません。すべての問題の根本は、人を育てる教育にあると思います。
大綱質疑初日で榎本議員は、堺市にとって大事なのは人であり、ホイットマンの何よりもまず偉大な人間をつくることという言葉を引用し、人づくりの大切さ
を強調されました。私も全く同感です。それでは、偉大な人間もしくは世界じゅうで尊敬される人間とはどんな人間でしょうか。私は、二つの共通する要点があ
ると思います。まず、公のために尽くした人、もう一つは祖国に対して限りない愛情を持った人、祖国をののしり、歴史や文化を足げにしている人間で世界で尊
敬されている人間は恐らくだれもいないでしょう。その国の未来を見たければ、その国の若者の姿を見ればいいと言われています。現在の日本の教育では、公の
ために尽くすたっとさを教えているでしょうか。祖国に対する愛を教えているでしょうか。今の日本の教育で世界の人々から尊敬される偉大な人間が生まれるで
しょうか。現在の若者の姿、いや、若者に限りません。小学生、中学生、高校生、大学生などの現状を見て、この国の将来を憂うのは私一人ではないと思いま
す。教育の大切は今さら申し上げるまでもありません。
さて、髙橋教育長が教育長に就任されて、はや2カ月がたちました。行政畑から教育長に就任されたということで、その手腕に大きな期待をしておりますが、
一方、教育に対してどのようなご見識をお持ちか、大いに興味のあるところでございます。現在の教育の現状は、学力の低下、いじめ、少年犯罪及びその凶悪
化、性犯罪、学級崩壊、校内暴力、不登校、引きこもり、問題教員の増加など、これほど荒廃している時代はかつてなかったと思います。堺市も決して例外では
ありません。多くの方の努力にもかかわらず、改善に向かっているとは思えません。現在の教育を取り巻く危機的状況は決して局所的なものではなく、体に例え
れば、死に至る病気にむしばまれている状況と言えます。教育を立て直さなければならないとだれもが思い、ありとあらゆる議論がなされ、多種多様の改革がな
されてきましたが、すべてが対症療法であり、根本治療に至っていないため、改革が成功したとは聞いておりません。私は、親や教師やそればかりでなく、多く
の人々が学ぶ理由を見失っているからじゃないのかと思います。なぜ人は学ばなければならないのか、このことを真剣に考え、子どもたちに問うてこなかったこ
とがこのような状況をつくり出したのではないでしょうか。
今はとにかく学校に行こう、友達がたくさんいるよ、学校は楽しいところだ、人は生涯、学習をするけれども、自分の好きなことだけやって、気に入らないこ
とはしなくていいんだよ、このような空気が学校のみならず世間にあふれています。しかし、学ぶということは我慢が伴うことであり、我慢してでも学ばなけれ
ばならないことをまず教えなければなりません。豊かな時代だからこそ、親や教師は我慢力をつけさせるために、子どもに厳しくあたるときも必要です。しか
し、今や子どもと友達関係になり果て、甘やかし放題です。そこで、教育長にお伺いいたします。なぜ人は学ばなければならないのか、非常に根源的な問いかけ
とは思いますが、教育長の率直なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、学力低下についてお伺いをいたします。
かつて我が国は教育大国であり、資源が乏しいゆえに、人こそ最大の資源であるとのことから、教育に最も力を入れてきました。資源に乏しい日本は、現在も
将来も高度な教育に支えられた科学技術立国をめざす以外生きる道はありません。しかし、現在日本の学生は小学校から大学まで世界で最も勉強しない子どもた
ちと言われています。ちょうど12月7日の報道によりますと、経済協力開発機構・OECDは、加盟国41カ国の15歳男女27万6,000人を対象に実施
した2003年国際学習到達度調査の結果を発表いたしました。それによれば、2000年に続く二度目の調査で、日本は前回の8位の読解力が14位に落ち込
み、1位だった数学的応用力も6位に順位を下げたということでした。この結果を受けて文部科学省は、これまで日本の学力を世界のトップ水準としてきました
が、今回、我が国の学力は国際的に見て上位にはあるが、読解力の低下など、世界のトップレベルとは言えない状況と初めて学力の低下を認め、世界のトップレ
ベルから陥落したことを認める分析結果を公表いたしました。学力の低下は、国際競争力の低下につながるのは目に見えています。
そこでお伺いいたします。全国的に学力が低下しており、堺市も例外ではないと思いますが、原因はどこにあるとお考えでしょうか。また、学力低下をとめるためには、どのような取り組みが必要と考えますか、お答えください。
続きまして行財政運営における行政評価についてお伺いをいたします。
堺市は、平成15年2月に行財政改革計画を策定し、行財政改革を推進してきました。特に、まず市役所内部のスリム化から手をつけ、職員数や人件費を大幅
に削減することにより、市民の理解を得、また同時に業務の外部委託や民営化、遊休の公有財産を積極売却するなど、財政的に大きな効果を上げてきました。こ
のことについては評価するところであります。しかし、税収の落ち込みと民生費等の増加は予想以上であり、行革が財政的に大きな効果を上げてきたとしまして
も追いつかない状況になっています。財政調整用基金もすべて取り崩してしまいました。本市が掲げてきた行財政改革は、その目標の第1を平成18年度当初予
算までに収支の均衡を達成することに置いてきた関係上、財政健全化のためのコスト削減に多くを割かれてきました。しかし、税収の落ち込みと民生費等の増加
の現状に対して、もはや財政規模の縮小、すなわちコスト削減だけでは限界が見えてまいりました。このような状況をかんがみて、効果的・効率的な行財政運営
を行っていく必要がありますが、現在の行財政運営において大きな懸念は、予算執行後の公平で正確な行政評価システムが構築されていないということです。限
られた資源を有効に行政に投入するためには、評価・点検のシステムとして行政評価、外部監査、バランスシートなどの財務諸表の整備などの各方策を総合的に
活用すべきであると考えます。この点、堺市としてはどのように対処していくのかお聞かせください。
行政評価、外部監査、バランスシートなどの財務諸表は、これらの行政運営に必要不可欠な方策であり、いわば三位一体として同時に進めていくことが行財政
運営上必要と考えております。このうち、外部監査については、包括外部監査が既に実施されており、効果を上げています。しかし、行政評価及び財務諸表の整
備は、他の市に比べておくれているところがあるのではないかと懸念しております。
そこでお尋ねいたしますが、有効な行財政運営を進める上で、行政評価の必要性をどのように認識されていますか。また、その進捗状況についてお答えくださ
い。あわせてバランスシート、行政コスト計算書などの各種行政財務諸表の作成・公表が重要と考えますが、本市の取り組み状況についてお答えをください。
続きまして国民保護法と危機管理についてお伺いいたします。
平成16年6月14日国会において、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法が成立しました。国民保護法では、我
が国が武力攻撃を受けた場合や大規模テロが発生した場合に、国民の生命、身体及び財産を保護し、武力攻撃に伴う被害を最少にすることができるよう、国や地
方公共団体等の役割分担や、その具体的な措置を規定しております。堺市は、平成15年5月に堺市危機管理ガイドラインを策定し、危機管理の重要性を認識さ
れたことにつき、昨年の5月議会本会議において質問をいたしました。その中で、堺市は危機事象を広くとらえ、他の自治体に先駆けて、テロや侵略についても
考慮して、危機管理ガイドラインを策定されたことを高く評価いたしましたが、それとともに具体的にマニュアル作成を要望いたしました。国が今回国民保護法
を成立させたことを受けて、堺市はテロや侵略についても考慮した危機管理ガイドラインを策定した関係上、他の地方自治体に先駆けて国民保護計画及び避難マ
ニュアル等を早期に作成する必要があると思います。
想定される武力攻撃の危機は数多くあるでしょうが、ミサイル攻撃を考えれば、例えば北朝鮮の保有するノドンミサイルは、対日本用に開発された弾道ミサイ
ルであり、現在相当の数が日本に向けて実践配備されていると言われております。また、核開発も行われており、万が一、大阪に着弾すれば、被害の大きさは広
島の原爆以上とも言われております。そのほかにも細菌テロなどが考えられます。堺市はO-157という未曽有の細菌の被害に見舞われました。もし、テロリ
ストが人為的に毒性の強い細菌をばらまいた場合、その被害は比べ物にならないくらい大きなものとなります。このような危機はいつどのような形で我々に襲い
かかってくるか予測不可能です。平時にこそ、有事の安全対策を細部まで検討しておく必要があります。市民の生命を守るためにマニュアルづくりを急ぎ、実効
力あるものにしておかなければなりません。
そこでお伺いをいたします。国民保護法の成立により、市民の生命、身体、財産を保護するという立場から、今後の取り組みについてお聞かせください。
最後に、少子化対策と保育行政についてお伺いをいたします。
我が国の少子化は予想を超えて進み、合計特殊出生率、すなわち女性が生涯に産む子どもの数は、平成15年度は1.29人まで落ち込みました。堺市も少子化
が進み、合計特殊出生率は、人口置換水準、すなわち人口が今の水準を維持できる水準の2.08人を大きく割り込み、平成14年度は全国平均並みの1.28
人まで落ち込んでいます。少子化の原因は未婚者の増加と既婚者の出生力の持続的低下であると言われています。とするならば、少子化をとめるためには、未婚
者を減らし、既婚者が安心して子どもを産み育てる環境をつくることであるということは自明のことであります。堺市においてさまざまな少子化対策が講じられ
ていますが、まず、全体的な話として、本市の少子化対策にはどのようなものがあるか、お聞かせください。
少子化問題及びその対策については、議会において何度か取り上げられておりますので、今回は保育行政との関係から議論を進めていきたいと思います。
保育行政の充実は、既婚者が安心して子どもを産み育てる環境をつくるという意味で、少子化に歯どめをかけると信じられ、多くの自治体で推進されていま
す。保育行政の充実とは、多くの場合、保育施設を拡充し、待機児童を解消することに重点が置かれております。すなわち待機児童を解消することが少子化に歯
どめをかけると期待されています。私はこの発想に疑問を持っております。待機児童を解消しても少子化はとまらないのではないかと思うのです。我が国で他の
自治体に先駆けて保育所増設に取り組んできたのは山口県の岩国市ですが、その結果は一向に子どもの数はふえませんでしたし、子どもを産みたいという意識的
な変化は認められなかったと聞いております。
一方、私は先日、東京都の江戸川区に視察に行ってまいりました。東京都は特殊出生率は極端に低く、東京23区の特殊出生率は0.97人と1を割り込んで
おります。その中にあって江戸川区は1.34人と全国平均をも上回って、東京23区の中でダントツに高く、平成14年度が1.31人だった特殊出生率は上
昇し、出生人口もふえております。なぜ、江戸川区は少子化が進む東京都の中で子どもの出生人口が多く、特殊出生率は上昇するのか、その理由を探ろうと視察
に行ったのですが、驚いたのが、公立保育所におけるゼロ歳児保育をしておらず、保育所の拡充も特に躍起になっているようには見えませんでした。岩国市のよ
うな保育所を拡充し、待機児童の解消に努めているところが少子化が改善されず、逆にゼロ歳児保育をしていない江戸川区が出生率が上昇し、人口も増加してい
る。待機児童の解消が少子化対策として有効なのか疑問とするところがおわかりになっていただけると思います。
そこでお伺いをいたします。堺市の保育施策はどのようになっていますか。保育施設を拡充し、待機児童を解消すれば、少子化が解消されるとお考えでしょうか、お聞かせをください。
以上で第1回目の質問を終わります。
○議長(髙岸利之君) これより答弁を求めます。
○市長(木原敬介君)(登壇) プロジェクト堺代表水ノ上成彰議員のご質問のうち、行財政運営における評価・点検の手法の活用につきまして、本市の考え方をお答えいたします。
景気に回復の兆しが見られるものの、国・地方を問わず、依然として財政状況は極めて厳しく、国においては自治体との役割分担のあり方の検討や地方分権の
推進、三位一体の改革などを進められておりまして、我々地方自治体にとりましては、自己責任が一層増していくのではないかというふうに思っております。
このような状況のもとで、本市におきましては、行財政の改革の断行に全庁挙げて鋭意取り組んできたところでございますが、行財政運営を効果的・効率的に
推進するためには、限られた資源を最大限に活用するとともに、市民に対する説明責任を十分果たすことが非常に重要であると考えております。本市といたしま
しては、既に実施している包括外部監査やバランスシートの作成とともに、ご指摘の行政評価などを総合的に活用して、今後とも適正かつ効果的・効率的な行財
政運営の推進に努めてまいる所存でございます。
なお、その他のご質問につきましては関係局長からご答弁申し上げます。
○教育長(髙橋保君) 人はなぜ学ばなければならないのか、換言すれば、教育の目的をどう考えるかというお尋ねにつきまして率直に私の考えを申し述べたいと思います。
激変する社会にありまして、従前の価値観が今問い返されている。現実の社会にどう向かい合うべきか、世界じゅうが模索をしている、これが今日、私たちの
置かれた状況ではないかと考えます。20世紀が理念の普遍性を信じた世紀だったとすれば、この21世紀は改めて自分のよってきたるところ、自分を自分たら
しめているものは何かを深く認識し直すところから、世界を見つめ直そうという世紀になるように思われます。
今、世界のどこで起こった出来事も瞬時にして、だれもがその情報を共有できる社会、また、経済はますます世界を緊密に結びつけ、環境問題を初めとする諸
課題の解決を図る上でも、地球規模での対応が求められています。こうして世界が一つの運命共同体になればなるほど、その一方で地域性や個別性の持つ意味、
比重も増してきます。人は、どんな世にありましても、あすをよりよく生きる力をつけるために、さまざまな困難を乗り越え、学ぶことを大切にしてきました
が、今こそ、教育を通して私たちは先人から受け継いだ知恵を文化を継承し、それを我がものとしつつ、また新しくすぐれた文化をめざし、次の世代の人々に伝
達するとともに、さらにはそれらの営みが異なる文化や価値観を有する人々にも理解され、共感を得られるよう、不断に努力する必要があると考えます。
学校教育の場におきましても、知・徳・情・体の健やかな発達を促し、子どもたち一人一人の状況に応じた指導の一層の推進を図り、もって他者を受容し、み
ずからを表現するところから始めて、教育の目的であります人格の陶冶をめざしてまいりたい、このように考えてございます。以上です。
○教育次長(亀井靖夫君) 子どもたちの学力問題についてお答えを申し上げます。
この件につきましては、先ほど議員さんのご質問の中にもございましたが、OECDの結果が先般発表されました。それによりますと、我が国は参加41カ国
中、科学的活用力、数学的活用力は2位、6位と上位になっておりますが、ご指摘どおり、読解力につきましては前回の調査の8位から14位となっておりま
す。また、国の教育課程実施状況調査や、平成15年度の府及び本市における学力実態調査によりますと、直ちに全般的な学力低下が生じているという結果では
ございませんが、学ぶ意欲の低下や粘り強く文章にあらわす力については課題があるということがわかってきております。これらの結果につきましては、学校教
育における基礎的・基本的な事項の定着、ゲーム機の普及や長時間のテレビ視聴による活字離れなど、さまざまな要因が考えられます。教育委員会といたしまし
ては、子どもたちの学力低下の懸念に対しましては、学力実態の研究をさらに進めるとともに、基礎・基本を確実に身につけ、よりよく問題を解決する資質や能
力を育成する必要があると認識しております。そのために、少人数指導等の授業の充実や、幅広く本を読む喜びや楽しさを味わわせる読書活動の推進など、子ど
もみずからが学んだり考えたりする工夫を図り、学力の向上をめざしてまいりたいと考えております。以上でございます。
○総務局長(澤野哲也君) 行政評価の必要性についてでございますが、一般に行政評価とは事業評価のほか、政策評価や施策評価なども含めた総称でありまし
て、行財政改革を進める上で市民本位、成果重視の視点に立ち、効率的・効果的な行政運営を推進するための有効な手段であると考えております。限られた予算
や人材の中で行政運営をするには、事業の優先順位を考慮しながら、選択と集中により重点化を図る必要があります。また、これらの事業の利用者や市民の方々
に対して市としての説明責任を果たす観点からも行政評価は必要であると考えております。
本市におきましては、本年度より行革推進室を中心に事業評価の試行を進めておりますが、これは予算上の事務事業を単位として、市の関与の必要性と事業の
達成度やコスト測定による効率性の観点から評価を行い、今後の行政運営に活用しようとするもので、本年度は、その試行として内部管理事務や建設事業を除く
市単独事業を中心に啓発・相談事業など約70事業について実施しているところであります。なお、現に多くの自治体において事業評価制度を含め各種の行政評
価制度が導入されておりますが、それらの自治体の実態を見ますと、制度の修正や改良など試行錯誤が繰り返されており、今後、これら自治体の制度の内容や実
態について十分研究しながら、より適切な運用方法を検討してまいりたいと思います。以上でございます。
○財政局長(松藤保孝君) 本市の各種財務諸表の作成・公表の取り組みについてお答えいたします。
本市では、財政状況や財政健全化への取り組み状況などを市民の方などに積極的に公開し、行財政改革等への理解を深めていただく必要があると考えておりま
す。そこで、バランスシートにつきましては、総務省が公表した基準に基づきまして、平成12年度から作成・公表しており、過去から蓄積された資産の状況と
退職給与や施設の更新経費などの後年度に支払い義務が生じる経費をあらわすことによりまして、中・長期的な視点での財政状況を明らかにしております。
また、バランスシートが資産・負債の面から財政状況を見ているのに対しまして、市民の方々に行政サービスをどれくらいの費用で行っているかを示す行政コスト計算書につきましては、現在作成中でございまして、早期に公表してまいります。以上でございます。
○総務局長(澤野哲也君) 国民保護法と危機管理についてお答えいたします。
国におきましては、この武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律、いわゆる国民保護法に基づき、国民の保護の実施に関する基本的な方針
や指定行政機関、都道府県及び指定公共機関が作成する国民保護に関する計画等を今年度中に基本指針として定めることとされております。また、この基本指針
には、国民の保護に関する計画及び業務計画の作成並びに国民の保護措置の実施にあたって考慮すべき武力攻撃事態の想定を定めることとされ、その想定とし
て、航空機や船舶により地上部隊が上陸する攻撃、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、航空機による攻撃の四つの攻撃類型が考えられており、こ
れらに応じた避難措置の指示、被災者等の救援、武力攻撃災害への対処等の措置の内容が示されることとなっております。
都道府県においては、基本指針に基づき、平成17年度に市町村等の国民の保護に関する計画の基準となるべき事項などを定めた国民の保護に関する計画を作
成し、また、市町村においては、都道府県が作成した計画に基づき、平成18年度に当該市町村の地域に係る国民保護のための措置として総合的な推進に関する
事項、体制に関する事項、他機関との連携に関する事項を定めた国民の保護に関する計画を作成することとなります。本市におきましても、国民の保護に関する
計画の作成や施策の総合的な推進を図るため、国や大阪府の動向を注視し、資料収集等を行っているところであります。
堺市危機管理ガイドラインとの関係ということでは、同ガイドラインを作成した趣旨を踏まえ、マニュアル作成等より効果的なものとなるよう検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○健康福祉局長(向井健次君) 少子化対策と保育行政ということでお答えいたします。
まず、本市における少子化施策についてでございます。本市における少子化対策に資する施策といたしましては、堺市子育て支援総合ビジョンによりまして、6
項目の施策目標を設定をし、取り組んでまいりました。具体の例といたしましては、子育てと社会活動や仕事との両立支援といたしまして、多様な保育サービス
やファミリーサポートセンター事業などを、また、子どもの健やかな成長支援として子育てサークル支援や子育てフォーラムの開催など、多様な施策を展開して
まいりました。なお、今後は子育て支援総合ビジョンの理念を継承しつつ、今、素案としてお示しをさせていただいております次世代育成支援行動計画における
保育所入所待機児童の解消を初めとする施策をより一層推進してまいる所存でございます。
次に、保育施策の現状でございます。本市では、年々伸び続けております保育需要への対応といたしまして、平成11年度から平成16年度当初にかけまし
て、保育所の創設9カ所、増改築等16カ所の整備等によりまして、1,221人の定員増を図ってきたところであります。また、平成11年度からは、入所円
滑化による定員の弾力運用を行いまして、入所受け入れ枠の拡大を図っております。さらに、今年度より認証保育所を3カ所創設をしまして、低年齢児の受け入
れの拡大も行っておるところでございます。しかしながら、この保育所整備等を上回る保育需要の伸びがございまして、本年度当初におきましては、868人と
いう待機が生じてる状況でございます。待機児童につきましては、今年度に策定いたします次世代育成支援対策推進行動計画の中で、計画の前期計画の中で解消
を図ってまいります。
最後に、待機児が解消すれば少子化が解決するのかということでございますけれども、夫婦共働きの一般化や地域の子育て機能の低下など、子どもを取り巻く
環境が大きく変容しております。そういう中で、多様化し、増大する保育需要に適切に対応し、待機児童解消をすることは、安心して子育てができる環境の整備
につながるものでありまして、少子化対策の一翼を担うものであると考えておるものでございます。以上。
○6番(水ノ上成彰君) 議長。
○議長(髙岸利之君) 6番水ノ上成彰議員。
○6番(水ノ上成彰君) ご答弁ありがとうございました。まず、教育問題についてですが、なぜ人は学ばなければならないか、この質問に教育長みずから率直
にお答えをいただきました。教育長として立派な理念に感銘を受けました。同感とするところが多くございます。特に先人から受け継いだ知恵や文化を継承し、
というところは全くそのとおりだと思います。なぜ人は学ばなければならないのか、私はこの問いに対して2つ申し上げたい。
まず1つは、人が学ぶのは、それは使命だからと思うのです。我々は同じ日本人です。日本は約2000年の歴史を持った国です。我々はたまたま2000年
の歴史の先頭に立っているにすぎません。何も我々が偉いのではなく、過去の先人たちの努力の結果の上に乗っているにすぎません。日本人が日本人たるゆえん
は、2000年の長い間、綿々と培ってきた歴史・伝統・文化・言語を身につけるほかはありません。先人から歴史・伝統・文化・言語を受け継いで初めて日本
人となり、新しく次の時代に伝え、次の日本人を育てていかなければなりません。これは人の使命です。もちろんこれは日本人だけに当てはまるものではありま
せん。他の国の人々も誇りを持って自国の歴史・伝統・文化・言語を受け継いでおります。歴史・伝統・文化・言語を先人から受け継ぎ、伝えるのは学ぶという
行為をもってのみ可能となります。だから、人は学ばなければならないのは使命だと思います。これを必死になって子どもたちに教えていかなければなりませ
ん。君たちが学ぶのは、すばらしい日本人になるためだ。このすばらしい日本を次の時代に正しく伝えていくんだ。それは君たちの使命なんだ。だから、我々の
祖先が行ってきたように必死で学ばなければならないんだ。このような熱い思いを子どもたちに伝えていかなければならないと思います。
国際化の時代と言われ、もはや久しくなりました。日本のこれからの教育は国際人をつくるんだと言われることもあります。しかし、私には今の教育では無国
籍人、つまり根なし草の人間をつくっているだけの気がいたします。本当の国際人として活躍する人間をつくるには、まず、生まれた国の歴史・伝統・文化・言
語を正しく学んだ人間をつくることだと思います。
2点目は、学ぶことは喜びであるということです。人間は単なる動物ではありません。食欲や本能的な欲望を満たせば、それでよいというものではありませ
ん。人生の目的は何でしょうか。それは喜びを最大化することだと思います。知的活動の結果により得られる喜びは人間だけに備わっているものであり、一言で
言えば、成功することと言えるかもしれませんが、目標を設定して、それを克服したときの大きな喜びに人は歓喜をいたします。学ぶ喜びというものを私が知っ
たのは、昔、二宮金次郎の伝記を読んだときです。戦前は軍国主義の時代と言われ、教育も暗黒時代だったように言う人もいますが、戦前に小学校で最も時間を
かけて教えられた人物は二宮金次郎でした。二宮金次郎は勤勉、質素、倹約、親孝行、努力を惜しまない、公のために骨身を惜しまず働くなど、今の日本人の忘
れたものを教えてくれます。現在の日本人がまず基本とすべきは二宮金次郎ではないかと思います。
二宮金次郎を小学生全生徒に真剣に教えれば、それだけで小学生の目の輝きはがらりと変わります。学ぶ喜びもきっと伝わると思います。なぜ、人は学ばなけ
ればならないのか、私の答えは、学ぶことは使命であり、学ぶことは喜びであるからだ。それを最もよく教えてくれるのは二宮金次郎だということになるでしょ
うか。そのことを申し上げまして、この質問は終わります。
次に学力の低下についてですが、教育次長のご答弁では、学力低下の原因をゲーム機の普及や長時間のテレビ視聴による活字離れが進んでいることを例に挙げ
られましたが、このご答弁をお聞きいたしまして疑問に感じたのは、それらは他人のせいだということです。学力の低下の原因の認識がこのようなもので、これ
を改めることにより、学力の低下がとまるとは思えません。学力の低下の実態はもっと深刻なものがあると思います。私は、学力の低下の原因は4点あると思い
ます。学ぶ目的がわからないことによる学ぶ意欲の低下、学ぶ意欲はあっても、学校・学級が荒廃しているために、満足な教育を受ける環境が確保されていな
い。ゆとり教育などにより、義務教育課程で絶対的に必要な学習時間が減ったこと、そして最後に教師の質が低下したことが挙げられると思います。テレビや
ゲーム機が全く学力低下と無関係とは言いませんが、根本的な原因ではないと思います。
学力低下に対する対策について教育次長のご答弁では、少人数指導の授業の充実や読書活動の推進などというものでしたが、やや技術的な気がいたします。も
ちろんすべての知的活動の中心は国語であり、国語教育は何よりも大切だと思います。しかし、学力の低下の大きな原因が、私が先ほど申し上げた4点だとすれ
ば、解決のためには、学ぶ目的をはっきりさせて、学ぶ意欲を向上させること。学校及び学級の荒廃をとめ、学ぶ環境を正常化すること。絶対的な学習時間を確
保すること。そして、教師の質を上げることに尽きると思います。
本日は大綱質疑ですので、詳細はまた文教委員会等で議論したいと思いますが、以上申し上げた4点はどれが欠けても学力向上は望めないと思います。そのこ
とをご認識いただいて、学力向上のためご尽力いただきたいと思います。以上要望いたしまして、教育問題について質問を終わります。
次に、行財政運営における行政評価についてですが、かつて日本経済の高度成長期には、地方公共団体では税収も多く、財政も豊かであり、多くの政策・施策を
十分な資金をかけ、同時に執行してまいりました。そのころの地方公共団体は、予算を編成し、その予算を正当に執行することで、市民に対する責任が達成され
ると考えられてきました。しかし、現在は年々予算が縮小していく中で、予算計画を策定し、その予算を執行するだけではなく、予算の執行の結果を評価し、次
期の予算計画に反映していくことが重要だと考えられております。また、その過程すべてについて公開し、説明責任を果たしていかなければなりません。
ご答弁によれば、行政評価の必要性について、事業の優先順位を考慮しながら、選択と集中により重点化を図るということでした。まさしく行政評価はそのた
めにあるとは思いますが、言うはやすくて、事業に優先順位をつけることの難しさは、行政評価を導入している自治体の共通の課題と言えます。そのため試行錯
誤を繰り返しているわけですが、その中でノウハウが蓄積され、行政評価システムが構築されています。ぜひ積極的に導入を検討していただきたい。
行財政改革を進める上で、各種財務諸表の作成・開示の重要性も指摘されています。今後、作成・開示が地方公共団体会計において期待される財務諸表は、企
業会計方式のすぐれた特徴を取り入れつつ、しかも非営利組織体会計として公会計の特徴を持ったものであり、バランスシート、行政コスト計算書、キャッシュ
フロー計算書、附属書類及び注記は、これから必須と言われております。バランスシートは既に開示されていますが、行政コスト計算書は現在作成中ということ
であり、キャッシュフロー計算書などは今後ということになるでしょうが、開示書類の整備は説明責任を果たすための重要なツールであり、早急な整備を要望し
てこの質問を終わります。
次に、国民保護法についてですが、我が国はテロや侵略に対して非常に脆弱な国家であります。また、我が国の防衛思想は専守防衛であり、国民の上にミサイ
ルや爆弾が落ちてからしか対処しないという国民の犠牲を前提とする防衛であります。このような我が国の防衛体制の中、地方自治体ができることは、いかに市
民を効率よく誘導し、逃がすことにより、被害をできるだけ少なくするかということしかありません。ご答弁では、これから国が今年度中に基本指針を定め、そ
れを受けて大阪府が国民の保護に関する計画を作成し、それを受けて堺市が平成18年度に国民の保護に関する計画を作成するということでした。
そこで要望いたしたいのは、国民保護計画で作成されるマニュアルは、具体的な危機事象を想定し、細部まで徹底的に検討したものを作成してもらいたいとい
うことであります。特に堺市はO-157という未曾有の細菌の被害に見舞われた市であり、世界的にもあれだけ大きな細菌による被害が出たところはないと聞
いております。現在、堺市では当時の反省を生かして、二度とO-157の被害を再発させないよう日々努力されています。このことは評価をしております。あ
の当時、O-157は、予想をはるかに超えた規模で被害が広がったため、さまざまなところで混乱が起きました。観点を変えて、当時をもう一度徹底的に分
析・調査し、初動体制は的確であったか、救急体制、病院の受け入れ体制はどうだったか。二次感染は防げなかったかなど、もし細菌テロが起こった場合、被害
を最小限に食いとめられるよう研究し、マニュアルをぜひつくっていただきたい。その意味で、苦い経験をしている堺市しか、このようなマニュアルをつくるこ
とはできませんし、堺市の責務であると考えます。堺市の作成する細菌テロに対するマニュアルにより、日本じゅうの自治体の安全が向上し、万が一の場合、一
人でも犠牲者が少なくなるよう最大限の努力をしていただきたいと思います。
以上を要望いたしまして国民保護法についての質問を終わります。
次に、少子化対策と保育行政について申し上げます。
ご答弁では、年々伸び続ける保育需要への対応として、待機児童の解消のため、多くの予算と資源を投入していることはよくわかりました。そこで、少し江戸川区のことについてお話ししたいと思います。
江戸川区の幼児保育のコンセプトは、子どもは両親の愛情のもとに育つのが理想であり、とりわけゼロ歳児の時期は母親の愛情とぬくもりが必要不可欠であると
いうことがはっきり掲げられております。ですから、江戸川区には公立のゼロ歳児保育、集団保育はありません。ただし、子どもを持って働いている女性はおり
ますので、その方々には保育ママ制度を活用してもらっています。保育ママ制度というのは、ゼロ歳児はできるだけ家庭的な環境の中で保育することが望ましい
という観点から、保育士などの家庭の1室を保育室にし、そのスペースで平均2人を保育する制度です。ゼロ歳児保育は多額の経費がかかります。江戸川区で
は、1人のゼロ歳児を公立で集団保育した場合、試算では約550万円かかるということでした。保育士の人件費が大きなウエートを占めます。例えば堺市で
も、ゼロ歳児保育をする場合、ゼロ歳児3人に1人の保育士がつかなければなりません。公立の保育士の年間の人件費は平均960万円かかるということですの
で、ゼロ歳児1人当たり3で割った人件費、320万円は最低かかるということです。それに年間の経費や建物などの固定資産の減価償却費など、すべての経費
を入れれば、堺市でも500万円ぐらいにはなるでしょう。一方、保育ママに係る経費は人件費が安くつくため、ゼロ歳児1人当たり年額150万円ぐらいで済
むそうですから、集団保育に比べれば、はるかに経費が削減できております。
それでは、このような施策をとっている江戸川区では、乳幼児を持つ親の満足度はどうかといえば、江戸川区のアンケート結果を見ると、子育て家庭の93%
が子育ては楽しいと感じている。乳幼児を持つ保護者の60%が、3歳までは家庭で子どもを育てたいとしている。77%の家庭が望ましい子育てができてい
る。95%の人が江戸川区は子育てしやすい区であると満足しているというものでした。そのアンケートの中で、ほかに、子育て世代の共稼ぎ世帯の割合が他の
区に比べて明らかに低い。望ましい子育てができていない理由の60%が、経済的な理由で働かなければならないことだということもありました。先ほど行政評
価の話をいたしましたが、少子化を解消するという施策に対し、少子化を解消させた上で、これほど市民の満足度が高いということは、行政評価としてもすばら
しい成績をおさめているということになります。
それでは、なぜ、これほどうまくいっているのか。江戸川区の前提は、子育てに関し、子どもは両親の愛情のもとに育つのが理想であり、とりわけゼロ歳児の
時期は、母親の愛情とぬくもりが必要不可欠であるというコンセプトのもとに、施策の対象を家庭で子どもを育てたい家族に焦点を合わせております。市民の約
6割は、3歳ぐらいまでは家庭で、もしくは家庭的環境の中で子どもを育てたい。公立保育所でのゼロ歳児保育をしないけれども、そのかわりに保育ママ制度を
利用する。お金がかかるゼロ歳児保育をしなければ資金の余剰ができる。子育て家庭が望ましい子育てができない理由の6割が経済的な理由であった。それで
は、余ったお金を子育ての家庭に還元しよう。その一つに私立幼稚園等保護者軽減補助を他の市区よりも厚くしよう。堺市では、月々2,600円の補助です
が、江戸川区では月々堺市の10倍の2万6,000円が補助されており、幼稚園の公私間格差は実質上解決・解消されております。手厚い補助制度に頼って家
庭で子どもを育てたい家族が江戸川区に移り住んでおります。また、家庭で子育てをしたい母親は、安心して2人目、3人目の子どもを産むことができる。その
結果、出生率が上昇し、人口がふえる。このようなサイクルになっています。
一方、堺市はどういうことになっているかといいますと、前提は、子どもは3歳児までは母の手で育てる方がよいというのは神話であって、何の根拠もない。
堺男女共同参画プランには、そのようなことが書いてあります。愛情さえあれば、子どもは親が育てようが他人が育てようが変わりはない。女性はどんどん社会
進出して自己実現しなさい。子どもは保育所に預けておけば安心ですよ。このような前提に立てば、ゼロ歳児など低年齢乳幼児を保育所に預ける家庭がふえま
す。保育所が足らない、待機児童がふえる、もっと保育所をつくれとなります。ゼロ歳児保育など低年齢児保育は、先ほど申し上げたようにお金がかかる。しか
し、市民の約6割は、3歳ぐらいまでは家庭で子どもを育てたい。望ましい子育てができない理由は、経済的な理由による。これも堺市と同じ、これは堺市も同
じです。幼児保育にお金がかかり過ぎて、子育て家庭に対して補助等の予算を組めない。他の市より補助等の施策が薄ければ、他の市へ移り住む。また、家庭で
子育てをしたい人は安心して2人目、3人目の子どもを産むことができない。その結果、出生率が下がる、人口が減る、こういうことになるでしょう。いや、な
りつつあると思います。
この違いはどこにあるのかといいますと、出発点である乳幼児の子育てに関する考え方の違い、すなわち3歳までの乳幼児の間は母親の愛情は特別で何よりも
大事だとするのか、それとも3歳児までは親の手で育てる方がよいというのは神話であって、何の根拠もないというのを取るのか。つまり、言い方を変えれば、
江戸川区は、3歳までは家庭で子どもを育てたいという60%の家庭及び子どもに焦点をあてて施策を進めているのに対し、堺市などは、働く女性に焦点をあて
て施策を進めているという違いと思います。どちらかの前提を出発点とすれば、あとは論理的帰結として、どちらかの結論に必然的に達します。この場合、どち
らの前提をとるかというのは政治的決断です。
待機児童の解消は、少子化対策になるかとの問いに、局長は、その一翼を担うというご答弁でしたが、待機児童の解消は直接的には少子化対策にはなっており
ません。江戸川区と岩国市の例が端的に物語っております。本当に少子化対策を考えるのであれば、3歳までは家庭で子どもを育てたいという6割の家庭を対象
にし、その家庭に対して不安のない子育てができるような施策に重点を置くべきだと思います。ぜひ、そうしていただきたい。そのときには、3歳児神話などと
いう根拠のないことを言うのではなく、堺市も江戸川区のように、子どもは両親の愛情のもとに育つのが理想であり、とりわけゼロ歳児の時期は母親の愛情とぬ
くもりが必要不可欠であるということをはっきり市民に示していただきたい。このことを強くご要望いたします。
以上で私の大綱質疑を終了いたします。ありがとうございました。
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