本文へスキップ

水ノ上成彰は堺市西区選出の堺市議会議員。

TEL. 072-263-0333

〒592-8348 堺市西区浜寺諏訪森町中3丁272-2

堺市議会報告 議会発言集CONCEPT

平成16年3月2日 大綱質疑

1 北朝鮮による日本人拉致事件について
2 教育改革について
3 新産業創造センターについて
4 東西鉄軌道事業について

○8番(水ノ上成彰君)(登壇) 皆さん、おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上でございます。プロジェクト堺を代表いたしまして、通告に従い、大綱質疑を行います。関係各局におかれましては、誠実なるご答弁をよろしくお願い申し上げます。

本 日は、昭和34年より続いてまいりましたこの議場における最後の大綱質疑の日でございます。45年間にわたり、延べ1,000数百名の議員の方々が大綱質 疑をこの場で行い、堺市の市政を牽引しておられたことに改めて敬意を表しますとともに、私がこの議場における大綱質疑の日に歴史と伝統のあるこの壇上に立 たせてもらえる光栄を誇りとするところでございます。それでは、早速ではございますが、質問に移ります。

まず、北朝鮮による拉致事件の解決についてであります。

拉 致事件の本質は、何の罪もない日本人が北朝鮮国家に拉致され、あらゆる人権を奪われた状態が25年以上続いたことに対し、日本国民の総力で拉致された日本 人及びその家族を取り戻し、完全なる自由、基本的人権を取り戻すことにあります。この問題の解決に向けた具体的な政策として、堺市議会は12月議会におい て、議員提出議案第47号日本人拉致問題の抜本的解決に向け、政府に北朝鮮への経済制裁措置等を求める意見書を賛成多数によって採択いたしました。これに 関連して質問いたします。

初 めに、拉致問題の現状についてですが、今回開催された6カ国協議でもわかるように、従来どおりの北朝鮮主導による交渉では解決が困難であることは一目瞭然 であります。北朝鮮の金正日総書記が拉致を認めてから1年半が過ぎても、いまだに帰国した5名を北朝鮮に返せとの主張を繰り返すだけの相手に対し、何の材 料も持たずに対話を重ねても無意味であることを踏まえ、経済制裁を発動すべきとした意見書は、時を得た意見書であり、圧倒的多数の議員のご賛同を得て採決 されたことはまことに意義深いものでありました。

一方、さきの議会において、お二人の議員は、この経済制裁の意見書に賛同されない旨の意見表明をされましたが、以下、反対議員とお呼びいたしますが、展開されたその趣旨に沿ってプロジェクト堺の考えとあわせてご質問いたします。

ま ず、反対議員は、経済制裁を発動することがイラクへの自衛隊派遣や平和憲法の否定、武力行使につながるとの認識を示されましたが、これらを並列して扱うこ との意味を私は理解しかねております。イラクへの自衛隊派遣と経済制裁とを結びつけ、憲法否定や武力行使を憂うご意見には、大きな論理の飛躍があると思い ます。また、反対議員は、日本国憲法がうたう平和主義や基本的人権の尊重こそが、私の政治活動の原点をなすものであるとの意見を述べられましたが、私は、 本議場におられるすべての議員の原点も同様であると考えております。ゆえに、基本的人権の最たるもの、その根源ともいうべき国民の生命を守るために、平和 憲法を持つ我が国は、その精神に基づき、軍事行動以外のあらゆる手段を選択肢として解決をめざさなければならないと考えるのであります。

加 えて、2月21日と22日に実施された読売新聞世論調査によると、外為法改正を78%が評価し、入港禁止等追加制裁の法整備には80%が賛成しています。 そして、これまでの政府の対応に75%が不満を持ち、その半数以上が政府の弱腰を理由に挙げています。このことからも、国民は遅々として進まない日朝交渉 に憤りさえ感じ、政府が毅然として北朝鮮と対等に交渉する材料としての経済制裁を評価し、一刻も早い拉致問題の解決を求めていることがうかがえます。

次に、拉致事件と植民地支配は相殺されないとしつつも、拉致問題に関連して歴史問題、差別問題を引用されるご意見について考えを述べます。

ま ず、日朝首脳会談以降、在日の子どもたちが暴行や暴言を受けた事件が増発しているとのご意見についてですが、これが事実であるならば、各学校で総合学習等 の時間を活用し、拉致事件に関する正確な知識を提供し、すべての在日朝鮮人が拉致にかかわったわけではなく、今の子どもたちには責任がないことをしっかり 教える等早急に適切な対処をすべきであります。

そ こで、教育委員会にお尋ねいたします。市内の公立学校におけるこれらの事件の増発、増加の実態について、早急に調査し、公表していただきたいと思います が、いかがでしょうか。また、実態のいかんにかかわらず、子どもたちに正確な情報を与え、理解を深める必要があると思いますが、現在、拉致問題は学校でど のように扱われているのか、どのように扱うべきとお考えなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

次に、反対議員が時節の前提として述べられておられる、かつての日本国家の国家的犯罪とされる、いわゆる強制連行に関して考えを述べます。

当 時は、国民がひとしく徴用されたことはありましたが、強制連行という言葉すらなかったことをはっきりさせておきたいと思います。このことについては、昨 日、3月1日発売の月刊誌正論に東大の藤岡信勝教授が明確に記されておりますので、参考にしていただきたいと思います。そして、戦後の造語である強制連行 を用いて、かつての日本国家を否定する人たちの多くは、自由や人権という言葉を乱発しながらも、これまで拉致被害者の自由や人権にはほとんど見向きもせ ず、また、戦後、満州からシベリアに連行され、抑留され、強制労働を強いられた60万人以上とも言われる邦人の人権にも全くと言ってよいほど無関心である ことを加えて申し上げます。

次 に、今後の日朝関係のあり方についてですが、反対議員は、国籍や民族の違いを越えてお互いの人権を尊重し、共生できる社会をめざすべきだとされております が、まさしくそのとおりだと思います。ゆえに、一刻も早く経済制裁を発動し、拉致被害者を救い出した上で国交を正常化し、北朝鮮が国際社会の一員として開 かれた国家となることこそが、日本国民だけではなく、専制的な独裁により、圧政に苦しむ北朝鮮人民の自由と人権を守ることになり、ひいては北東アジアの平 和と安全に寄与することになると考えます。

最 後に、当市選出の西村真悟衆議院議員は、平成9年より、この拉致問題の解決に向けて先頭に立って取り組まれていることはよくご承知このだと思います。拉致 議連の幹事長として経済制裁3法案を具体的に提起し、その実現に向けて邁進されているとも聞いております。地元堺市の本会議において経済制裁等を求める意 見書が圧倒的多数により採決されたことは、このような取り組みの心強いバックアップがあることは間違いありません。よって、前議会における決議は大変重要 な意義を持つ決議であると確信いたしますが、市当局のお考えはいかがでしょうか、重ねてお伺いをいたします。

次に、教育改革について質問いたします。

昨 今、当局より行財政改革計画が提示されておりますが、その内容は、考えうるさまざまな角度から検討され、実施に移されております。このことにつきまして は、私も評価するところでございます。しかし、行財政改革は、教育改革なくして達成できない、これが私の持論でございます。行財政改革は、それを実行する のは行政に携わる人であり、行財政改革の対象は、最終的には行政に携わる人自身、もしくは市民に帰着いたします。よい行政とは、行政側と市民側の強い信頼 関係の上に成り立つものであり、行財政改革の成功のかぎは、行政側と市民との間に強い信頼関係を築くことにあります。信頼関係を築くためには、ともに信頼 される人とならなければなりません。それには、行政の人間、市民双方に高い規範性、高い道徳性が要求されます。人間が備えるべき高い規範性、道徳性は、教 育によってのみ備わるものであることは言うまでもありません。

そ れでは、現在、我々を取り囲む社会的状況はいかなるものでしょうか。凶悪犯罪、残酷な殺人、汚職、横領、詐欺、麻薬、虐待、窃盗など、あらゆる犯罪が増加 しています。また、教育を受けている世代においても学力の低下、学級崩壊、校内暴力、少年犯罪の凶悪化、援助交際、いじめ・不登校、家族崩壊、少年非行、 ひったくりなど、目を覆いたくなるばかりの規範性、道徳性の欠如した社会がつくられています。規範性、道徳性の欠如した社会の自治にはお金がかかります。 このような道徳性も規範性も失った社会の中で、改革を幾ら声高に叫んでもむなしい限りであり、たとえ、一時期、改革に成功したとしても、持続的な成果な ど、望むべくもありません。

過 去、例えば江戸時代後期に藩政改革、今で言う行財政改革に成功した著名な例は、米沢藩の上杉鷹山、備中松山藩の山田方谷などの改革があげられます。これら の改革が成功した秘訣は、一言で申し上げれば、教育改革を同時に断行したことに尽きます。教育改革こそは、すべてに先んじて進めなければならない喫緊の課 題であり、行財政改革を進めるならば、車の両輪として、ともに全力を傾けて取り組まなければならない課題であります。

さ て、日本が戦後数十年間取り組んできた教育方針は、平和教育、人権教育、個性重視の教育、平等教育、受験競争バッシング、みずから学ぶ意欲を重視する教 育、生きる力を養う教育、ゆとり教育などですが、このような方針による教育とは裏腹に、先ほど申し上げたような社会の状態を生み出しました。教育の質は、 その教育を受けた者を見れば、たちどころにわかります。現在の青少年たちの状況は、すべては我々の教育の結果がもたらしたものです。社会が変わった、時代 が変わったなどの犯人探しをしても、決して解決できません。誤解を恐れずに申し上げれば、今まで行ってきた教育方針はすべて誤りではなかったか、このよう なことは受け入れがたいこととは思いますが、ここまでみずからを見つめ直すぐらいの厳しさがなければ教育は再生できない。日本の教育はここまで追い詰めら れていると思います。このことを念頭に置き、いかに教育を根幹から立て直すかを論じなければなりません。

私 は、教育改革の根本は祖国への愛を教えること、子どもにしつけを教えること、そして道徳心を教えること、つまりはこの3つに尽きると思います。家族愛、郷 土愛、祖国愛、人間愛、これらは人間としての基本であるばかりか、国際人となるためにも必要不可欠です。しかし、この中でも特に重要なのは、祖国に対する 愛です。国家百年の大計は教育にあると言われますが、祖国への愛を教えることなくして、百年の大計を立てることはできません。しかし、現状は教育基本法に 愛国心を入れるべきか否かで論争をしています。世界じゅうで愛国心を教えるべきか否かで論争している国は恐らく日本だけでしょう。なぜ、教育現場で愛国心 が教えられなくなったのか、愛国心は自国の国益を追求するナショナリズムと祖国愛のパトリオティズムを包含いたします。ナショナリズムを子どもたちに教え る必要はありませんけれども、祖国への愛は、ふるさとや川や山を愛するごとく自然とわいてくる感情であり、絶対に必要不可欠なものであります。

我 が国はナショナリズムを排除するために愛国心を教える。その結果、祖国愛までも教えることを放棄したと言えます。祖国愛や郷土愛の涵養は、同じ国民として の連帯意識を深めるためにも、また、他の国との争いを抑止するためにも有力な手段であります。みずからの国を愛することを知る者は、他の人の祖国を愛する 心をも理解できるからです。

さ て、次にしつけです。しつけとは、漢字で身が美しいと書きます。文字どおり、立ち居振る舞いの美しさをいいます。自助論の作者で有名なサミュエル・スマイ ルズは、家庭は人をつくる、家庭が行儀作法のしつけをなし、心を磨き、とりわけ品性を鍛練する。心が開かれ、習慣が形成され、知力が啓発され、そして品性 が善にも悪にもなるのは、主として家庭の教育においてであるとし、しつけは家庭による教育と位置づけております。かつて日本はしつけの超先進国でございま した。今から420年前にイエズス会の宣教師であったルイス・フロイス、その著書日欧文化比較で次のように述べております。

我々 の子どもは、その立ち居振る舞いに落ちつきがなく、優雅を重んじない。日本の子どもは、優雅な立ち居振る舞いにおいて非常に完全で、全く称賛に値する。ル イス・フロイスは、もちろん貿易港である堺にも来ています。堺の子どもたちを見て、そう思ったのもかもしれません。恥ずかしながら、現在の日本の子どもた ちが他の国に比べて、しつけがよくて褒められることはありません。現在に生きる我々の家庭教育は400年以上昔の戦国時代にも及ばないかもわかりません。

次 に、道徳性を養うことですが、この道徳性の欠如も目を覆うばかりです。日本人の道徳性は、武士道精神の発達とともに形づくられてきました。最近、世界的に 流行した映画でラスト・サムライがあります。ごらんになられた方も多いでしょう。もし、まだごらんになられていなければ、ぜひごらんください。見る価値は 十分あります。この映画には、日本人の多くが忘れた信義、勇気、誠実、正義感、慈愛、忍耐、礼節、惻隠、名誉と恥じ、卑怯を憎む心など、武士道精神が余す ことなく描かれています。この映画を見て、新渡戸稲造氏の名著武士道がよく売れていると言われています。この本は100年以上前に書かれましたが、世界 じゅうで大ベストセラーとなり、今なお、世界じゅうで読まれ続けています。日本人にとって最高の道徳の書は、この武士道であると言っても過言ではありませ ん。

台 湾の李登輝前総統の言葉を借りれば、武士道は世界的な遺産だとも言っております。日本人が世界に誇る道徳は武士道精神であり、武士道精神の涵養には、新渡 戸稲造の武士道を読み、実践する。これ以上のものはないと確信いたします。祖国を愛する心、人間に品格が整い、道徳心の高い子どもを育てる、この改革を行 えば、必ず高い道徳性と高い規範性を備えた人間となります。堺は政令指定都市に昇格することを悲願としています。しかし、今のままでは、日本で最も魅力の ない政令指定都市が一つ誕生するだけだと悪口も言われるときがあります。20年後、いや、10年後には、堺は日本で最も魅力のある政令指定都市になること を悲願としたい。高い目標ではありますが、実現できない目標ではありません。それには抜本的な教育改革を行い、日本一の教育をつくり上げなければなりませ ん。

そ こで質問いたします。今こそ抜本的な教育改革が必要と考えますが、教育改革の重要性、堺がめざす教育のあり方について、どのようにお考えになっておられま すか。また、教育改革には、国を愛する心を育てること、子どもにしつけを教えること、子どもに道徳心を教えることが重要と考えますが、これについてお答え ください。

次に、地域経済の活性化と産学連携による新事業創出への取り組みについてお尋ねいたします。

堺 市の経済が活力を失い、低迷を続け、はや10年以上がたちます。活力低下の背景には、従来、堺市経済を牽引してきた製造業の低迷、都心の空洞化などがあげ られます。製造業の低迷は、新規産業、新分野への進出のおくれ、開発力・販売力強化の対応のおくれによるものであり、都心の空洞化は大阪経済の総体的地位 の低下により、利潤を求める企業の関西圏流出と、それに伴う良質な労働者の流出によるものと考えられます。もともと堺市経済の持つポテンシャル、強みとは 何か、それは企業に豊かな発想力と新規事業創造力、そしてそれにこたえる高い技術力があることでした。この発想力、創造力、技術の高さは以前ほどではない にしても、現在でも他の市町村に比べ比較優位にあると考えられます。

こ のような高い技術力を有する企業と大阪府大を中心とする研究機関と、そして泉北ニュータウンや都心における潜在的労働者との有機的結合こそが、堺の経済再 生のためのかぎだと認識しています。市長による平成16年度当初予算説明の中にありましたように、中小企業の活性化と産業誘致の推進としてベンチャー企業 の育成や既存中小企業の新事業創出を総合的に支援するさかい新事業創造センターのオープン及び金融面での支援として産学連携促進資金融資制度が創設されま した。今後、さかい新事業創造センターのオープンを契機として、地域経済の活性化のため、どのように産学連携を進めながら、新事業の創出を支援するおつも りか、同センターの現況と新しい施策の概要をも含めてお聞かせください。

最後に、東西鉄軌道についてお尋ねいたします。

東 西鉄軌道については、7回にわたる交通懇話会の結果、最終の提言が示されました。これらの内容については、今月号の広報さかいにも掲示されており、市民の 皆様にも広く知られております。私も東西鉄軌道の必要性はよく認識しております。この点につきましては、昨年の5月議会の大綱質疑でも取り上げました。今 回の交通懇話会の提言につきまして、そのご意見は尊重しつつも、疑問とするところがありますので、質問いたします。

今 回の交通懇話会の提言の骨子は、東西鉄軌道の機種としてLRTがふさわしいこと、導入ルートについても、一応の答えが出されたこと、そして事業主体につい て方向性が示されたことであると思います。東西鉄軌道の機種といたしましては、都心を走行するとの前提に立てば、LRTが望ましいという提言について特に 異存はございません。次に、導入ルートですが、提言では次のようになっております。臨海部から堺駅間は三宝ルートが望ましい。堺駅から堺東駅間は大小路 ルートが望ましい。堺東駅から堺市駅間については今後検討していく。このような提言を踏まえてご質問いたします。

そ もそも今回の東西鉄軌道を敷設する大きな目的の一つに、臨海部、この場合は、いわゆる堺第2区を指しますが、この開発が前提にあります。堺第2区の開発が なければ、市内の交通は現在のバス交通で十分だからです。あえて鉄軌道を敷設する限りは、敷設するに足る臨海部の開発が計画されていると思いますが、その 概要についてお答えください。次に、堺駅から堺東駅間のルートについてですが、大小路ルートを選択した場合、現在のバス交通に比べてLRTの導入がどれだ けの経済効果をもたらすかについて詳しくは述べられておりません。それでもあえて大小路ルートが望ましいとされたことについてのお考えをお示しください。 次に、堺東から堺市駅間の導入ルートについては、提言によれば、今後の検討として明言を避けています。いわば、この区間の整備を先送りするともとれます が、この点についてもお答えください。

最 後に、事業主体について質問いたします。懇話会の提言では、建設と運営を分離し、運営について、民間活力により効率的な運営、適切なリスク分散を図れる事 業スキームを導入することが望まれるとされています。現在の予想で提言にあるLRTは民間企業が運営して採算ベースに乗るのか否か、このような民間企業を 具体的にお考えの中にあるのかについてお答えをください。

以上をもちまして第1回目の質問を終了いたします。

○議長(中井國芳君) これより答弁を求めます。

○市長(木原敬介君)(登壇) プロジェクト堺代表水ノ上成彰議員のご質問のうち、産学連携による新事業創造への取り組みについてお答えをいたします。

我 が国経済は、製造業を中心に回復の兆しは見られるものの、本市経済の機軸でございます中小企業を取り巻く環境は、なお不安材料があり、新事業の創出や新分 野への進出を通じた、域内産業構造の転換により、地域経済の再生を図ることが喫緊の課題となっております。こうした中で、創業者や中小企業による新分野へ の挑戦、企業の高度化を総合的に支援する拠点として、さかい新事業創造センターがこの4月に開業いたします。入居はほぼ満室に近く、その多くは産学連携型 の企業で情報通信、新エネルギーや新製造技術などの成長分野が過半を占めております。同センターにおきましては、入居企業を初め、域内中小企業を対象に産 学連携に重点を置きながら、多様な分野と成長段階に応じて総合的、かつ複合的な支援を展開していく予定であり、そのための予算を計上させていただいており ます。

ま ず、入居企業の新事業創出を総合的にサポートするため、技術、経営、マーケティングなどに専門的知識とネットワークをお持ちのインキュベーション・マネ ジャーを3名配置し、大学等とのコーディネートや販売開拓支援を行ってまいります。また、成長初期ににおけるコスト負担の軽減と本社機能の誘導を図るため に、入居企業に対して最高で6割の家賃助成を行ってまいります。さらに、今回新たに堺市産学連携促進資金融資を創設いたします。これは大学等との共同研究 開発のための国による補助金、委託金の交付決定を受けた有望企業に対しまして、交付までの間、必要資金を無担保で融資するものであり、自治体では、全国初 の取り組みとなります。

今後とも、府立大学を初め南大阪地域大学コンソーシアムとの共同事業などの支援策に加えまして、さかい新事業創造センターのハード、ソフトの資源を生かし、まちの活性化と元気な産業の実現に取り組んでまいります。

なお、その他のご質問につきましては関係局長から答弁申し上げます。

○教育次長(道浦勁君) 拉致事件解決についてのうち、教育委員会所管分についてお答えをいたします。

昨年度の9月下旬に新聞等で在日韓国・朝鮮人の子どもたちの暴言、暴行等が多発していると報じられた時点で、本市立学校に在籍している子どもたちについて実態把握を行いましたが、そのような実態はございませんでした。

次 に、教育委員会の取り組みにつきましては、先般の市議会においてもお答えいたしましたが、学校教育において具体的な事象を教育上の課題として取り上げるこ とにつきましては、学習指導要領等を踏まえるとともに、到達すべき教育目標が設定され、教育計画に適切に位置づけられる必要がございます。このことから、 拉致問題を教育課程におきまして、一律に取り上げることは、現段階では困難であると考えております。しかしながら、重大な人権侵害であるとの認識から、本 年1月の全市学校園長会におきまして、校園長に対し、本市議会での決議等を周知いたしまして、このことについて啓発を行ったところでございます。学校教育 における拉致問題の取り扱いにつきましては、今後とも国・府等の動向を注視してまいりたいと考えております。以上です。

○総務局長(髙橋保君) 拉致事件解決についてのうち、本市議会決議についてのお尋ねにお答えをいたします。

朝 鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮における日本人拉致事件問題は、先月28日までの4日間、北朝鮮の核問題をめぐって中国で開催されました6カ国協議 の場においても、北朝鮮との2国間協議を重ねましたが、その結果について官房長官は、拉致問題について話し合う機会があったようだが、具体的な話にならな かったのは残念と、2月29日、記者に表明されたところです。もとより、拉致問題の解決は、すべての日本国民の願いであるとともに、拉致問題や核を初めと する諸課題の解決が、東アジア地域に安定をもたらし、ひいては世界の平和につながるものと考えます。

ご質問にありますように、本市議会では、昨年12月、日本人拉致問題の抜本的解決に向け、政府に北朝鮮への経済制裁措置等を求める意見書が決議され、国においても、経済制裁を可能にする改正外国為替及び外国貿易法が2月26日施行されました。

こ のように、この問題の解決に向けて、国や地方自治体を初め、各方面において真摯な取り組みが行われておりますが、政府においては、国際的な世論を背景に、 国際協調を図り、どういう方策が最善かを十分検討され、確固たる対応をしていただき、一日も早く拉致問題が全面解決することを願うものであります。以上で す。

○教育次長(道浦勁君) 教育改革についてお答えをいたします。

教 育基本法では、教育は人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精 神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないと教育の目的を述べております。あらゆる教育はこれを踏まえて行わねばならないと認 識をしております。

国 においては、教育改革の重要性にかんがみ、中央教育審議会に諮問を行いまして、昨年3月に答申を受けております。その中では、21世紀の教育をめざすもの として、自己実現をめざす自立した人間の育成、豊かな心と健やかな体を備えた人間の育成、知の世紀、知識の知ですが、知の世紀をリードする創造性に富んだ 人間の育成、新しい公共を創造し、21世紀の国家社会の形成に主体的に参画する日本人の育成、日本の伝統・文化を基盤として国際社会に生きる教養ある日本 人の育成をあげております。

本 市教育委員会におきましても、教育は国家百年の計と言われておりますように、将来を見通した堺の教育をしっかり実現しなければならないと考えており、本市 における教育像を、一人一人の子どもを大切にした豊かな人間性と創造性をはぐくむ教育、子ども像を、未来を拓く心豊かな堺っ子、教職員像を、子どもととも に輝く教職員とし、新しい時代にふさわしい教育の推進に努めております。具体的には、平成14年3月に堺市学校改善基本方針を策定いたしまして、地域に信 頼される開かれた学校園づくり、家庭、地域の教育力の向上、確かな学力の向上、あらゆる場での心の教育、教職員の能力開発の5点を主要課題と定めまして、 家庭、地域と相互に情報を共有し、適切な役割の分担と連携に基づく協働体制をつくり、よりよい教育基盤の構築を図っているところでございます。

議 員お示しの道徳教育につきましては、堺独自の児童・生徒用の道徳資料を作成いたしまして、活用するとともに、あらゆる場での心の教育の充実をめざして取り 組んでいるところでございます。今後とも絶えず教育環境を整えることを念頭に置きながら、具体的な施策展開を図り、次の時代を担う子どもをはぐくむ堺の教 育実現に向けて、より一層努力してまいりたいと考えております。以上です。

○建築都市局長(金田明君) 東西鉄軌道についてお答えいたします。

東 西鉄軌道につきましては、昨年2月より、堺市公共交通懇話会におきまして、LRTの導入可能性についてご検討をお願いしておりましたが、この1月26日に 提言をいただいたところでございます。同懇話会では、導入ルートについて、東西鉄軌道の機種としては、LRTが最もふさわしい機種であることを前提に、各 ルートについて、他の公共交通機関との結節性、導入の難易度、まちづくりへのインパクト、自動車交通への影響などの観点から比較検討されました。

ま ず、東西鉄軌道の導入目的の一つである臨海部の開発につきましては、堺第2区、約280ヘクタールを潤いのある水辺や緑空間を創出するとともに、国際的な 交流機能や高次の都市機能と、親水・レクリエーション機能や居住機能が調和したまちづくりを段階的に進めるとしております。具体的には、平成12年10月 に約16ヘクタールの海とのふれあい広場の開設や、平成14年5月に民間マリーナ50隻が開設されております。昨年の10月に都市再生緊急整備地域、約 95ヘクタールのうち、都市再生事業の提案がございました約40ヘクタールにつきまして、商業アミューズメント施設が平成17年秋から順次開業される予定 でございます。

こ のように臨海部の開発は着実に進んでおり、残る50ヘクタールにつきましても、都市再生緊急整備地域整備方針にありますように、都市型産業の機能について 積極的に企業誘致を図り、雇用の創出や経済波及効果による、にぎわうまちへの開発を進めてまいりたいと考えております。

次 に、大小路ルートへのLRTを導入した場合の経済効果につきましては、数値的に予想することは困難ではございますが、欧米の事例を見る限り、まちの中心部 で路面を走行するLRTの乗客がまちを回遊することで、商業の活性化など経済効果が期待されるものと考えております。また、堺東駅から堺市駅間の整備を先 送りするのではとの点につきましては、あくまで開業は全線同時をめざしております。着手につきましては、南海高野線との交差方法など、さらなる検討を加え まして、段階的にとりかかってまいりたいと考えております。

事業主体の件につきましては、提言にありますように、上下分離方式などを視野に入れながら、関係機関との協議も踏まえまして、今後十分検討を加えてまいります。以上でございます。

○8番(水ノ上成彰君) 議長。

○議長(中井國芳君) 8番水ノ上成彰議員。

○8番(水ノ上成彰君) ご答弁ありがとうございました。まず、拉致事件についてですが、日本人による在日の子どもたちへの暴行や暴言 は、今後もないとは思いますが、引き続き、学校教育において、拉致事件の正しい情報及び正しい分析、考え方を子どもたちにご指導いただきますよう、よろし くお願いいたします。

横 田めぐみさんが北朝鮮に拉致されて丸26年がたちました。26回目の極寒の冬を過ごしたことになります。横田めぐみさんは、現在も生きて我々日本人の助け を待っています。少なくとも我々はそう信じております。横田めぐみさんだけではありません。特定失踪者を含めれば、200人以上にも上ると推測される拉致 された日本人が我々の救出を待っています。我々政治家は、国民の身体、生命、財産を守ることがこの責務であるならば、国政であれ、府政であれ、市政であ れ、この拉致事件を看過して政治家の存在理由はなく、いかに人権や平和などの美辞麗句で飾ろうと、市民に幸福をもたらすことはないと思います。また、行政 に携わる方々も拉致事件の解決は日本人としてのアイデンティティーの問題であり、この問題を意識から遠ざけて、市民にやさしい行政など存在しないことを知 るべきと思います。以後も拉致事件に関しては、適切な対処をお願いし、このことを要望してこの質問を終わります。

次 に教育改革についてですが、堺市教委独自で抜本的な教育改革を起草するのは難しいことはよく理解できます。しかし、具体的に何か目標を決めて取り組み、そ れが継続することにより、教育が抜本的に変わる方法を考えればよいと思います。祖国を愛する心を養うためには、世界じゅうの偉人伝を徹底的に教えればよい と思います。世界じゅうで尊敬される人は例外なく祖国を愛した人です。子どもにしつけを教えるのには、哲学者、森信三先生の言葉を借りれば、朝のあいさつ のできる子に、はいとはっきり返事のできる子に、席を立ったら、必ずいすを入れ、履物をぬいだら、必ずそろえる子に、まず、これを徹底することでございま す。次に食事するときのマナーを厳格に教える。そして、日本語が本来持つ、きれいな言葉遣いを教える。祖国とは国語であるという識者もいるぐらいです。こ れらを徹底することが重要だと思います。大事なことは、これらのことは、まず家庭において教えることです。教えるに適した時間、時期というのが必ずござい ます。学校はそれを補う意味で重要と考えます。家庭におけるしつけプログラムなどをつくり、家庭に配布することをご提案いたします。

次 に道徳心を養うことですが、まず、それは教師を含め、堺市職員全員が、先ほど申し上げた新渡戸稲造の武士道を読み、実践することだと思います。そして、学 校教育では、学校の先生が取り組む最大の課題は、テレビやゲームに打ち勝つ子どもをつくること、そして本に向かわせることに力を注ぐことだと思います。テ レビを見るよりも本を読む方が楽しい、このような子どもをつくることこそが教育のゆえんだというふうに思います。

さ て、今まで申し上げたことは、私が勝手な思い込みで申し上げているのではなく、私自身が人より習ったことであり、また、私自身も実践していることでありま す。現在行われている教育方針に、ぜひ以上のことをつけ加えていただきたい。これらのことを実践すれば、堺市の教育は変わります。まずは実践してくださ い。これを要望して教育改革の質問といたします。

次 に、産学連携による新事業創出への取り組みについてですが、市長にご答弁をいただきました。私は公認会計士、税理士でもありますので、堺市の中小企業の窮 状には心を痛めております。その中で、産学連携のさかい新事業創造センターが建設され、産学連携の企業、特に情報通信、新エネルギー、新製造技術などの成 長分野が多くを占めていることに、将来に明るさを生み出すことができます。今後とも多くの産学連携企業が使用され、インキュベーションの文字どおり、この 地でふ化し、大きく羽ばたき、堺経済の牽引となるよう希望しております。

次 に、東西鉄軌道についてもご答弁いただきました。東西鉄軌道につきましては、平成26年の開業をめざしていると聞き及んでおります。平成26年度の開業か ら逆算すれば、平成17年3月までに計画決定をする必要があるとも伺っており、この日程でいきますと、計画決定までわずか1年しかありません。このせっぱ 詰まった状況の中、交通懇話会から出された提言は、この時期にしてまだまだ詰めるべきところがたくさんあるように思います。例えば平成26年の開業時に は、第2区はどのような開発が進んでいて、どのくらいの人口が見込め、1日当たりの利用者はどのくらいになるかなど、具体的な数字は全く上っておりませ ん。また、ルートについては、今後のまちづくりとどのようにリンクしてくるのか、現状での検討に終始しておりますが、将来、堺市が隆々と栄え、美原まで含 め、LRT交通網が整備されるとした場合、延伸するとしたら、今の提示のルートでよいのかなど、さまざまな疑問が出てまいります。また、堺東駅から堺市駅 間のルートについては、やはり問題の先送りの感あります。

経 営主体についても、経営方法についても、今後の検討課題となっております。まず、鉄道ありきとはなっていないでしょうか、交通懇話会の提言は尊重しつつ も、地元住民の声や、さらなる有識者の見解、また我々自身、もう一度根本から考える必要があると思います。平成26年の開業をめどに計画は進んでおります が、今、計画中の東西鉄軌道は、その規模といい、まちづくりに与える影響といい、財政的な面といい、堺の将来に大変大きな影響を及ぼすものでございます。 行政が進める大型事業は、一度動き出したらとめることは非常に困難です。1年以内に計画決定するというような期限を切らず、時間をかけ、具体的なところま で詰めていく必要があると思います。このことを要望いたします。

さて、最後にもう一つ要望を申し上げます。私は昨年の当選以来、5月議会より一貫して堺市の男女共同参画政策、男女平等教育に疑問を投げかけてまいりました。それはジェンダーフリーという偏った思想を政策の中心に置いているからであります。

さ て最近、新聞紙上でも現行の男女共同参画に疑問をとなえる論調が目立っております。例えば2月17日の読売新聞では、性差意識低い日本の高校生と題し、日 米中韓4カ国で行われた高校生の生活と意識に関する調査で、日本の高校生は、男は男らしく、女は女らしくといった性差意識が4カ国中突出して低いことが書 かれておりました。男女の性差意識をなくすことは、ジェンダーフリー教育の目的の一つであり、この結果が如実にあらわれたと言えます。

ま た2月27日の産経新聞では、ストップ・ジェンダーフリーと題して、衆議院内閣委員会で男女共同参画担当大臣の福田康夫官房長官が質疑の中で、ジェンダー フリーという言葉について、使う人によって意味がさまざまで誤解を招くこと、特定の主張に基づく概念であること、国際的な文書でも使用していないことなど を指摘し、政府の男女共同参画政策がジェンダーフリーとは異なるとして、あえて使用しない方がいいと述べ、ジェンダーフリーという言葉を使わないよう自治 体を指導していく考えを示したと書かれておりました。

今 の時点では、衆議院内閣委員会における議事録を入手できておらず、確定的なことは申し上げられませんが、この記事が、この報道が正しいと仮定した場合、看 過できない大きな問題がございます。堺市の男女共同参画社会の実現のための政策は、ジェンダーフリー思想を基本にしており、また、男女平等教育もジェン ダーフリー教育を基本にしております。しかし、政府の男女共同参画政策がジェンダーフリーとは違うということが確かであれば、現在施行されている男女共同 参画政策からジェンダーフリーという思想を一掃し、抜本的につくり変える必要があります。また、当然そうしなければなりません。今後の国会における論争を も注視し、適切に対処していただくことを強くご要望申し上げます。

以上をもちまして、私の大綱質疑を終了いたします。ありがとうございました。

バナースペース

水ノ上成彰 事務所

Mail  info@mizunoue.com

【水ノ上成彰 事務所】 
〒592-8348
堺市西区浜寺諏訪森町中3丁272-2
TEL 072-263-0333
FAX 072-263-0334