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水ノ上成彰は堺市西区選出の堺市議会議員。

TEL. 072-263-0333

〒592-8348 堺市西区浜寺諏訪森町中3丁272-2

堺市議会報告 議会発言集CONCEPT

平成16年4月28日 臨時会

◆6番(水ノ上成彰君) (登壇)プロジェクト堺の水ノ上でございます。よろしくお願いいたします。プロジェクト堺を代表いたしまして、議案第66号から第70号についてご質問をいたします。

 堺市と美原町との合併は、平成7年5月に、堺市・美原町広域行政課題連絡協議会が設置さ れた後、平成12年12月に同連絡協議会が改組され、このときより合併問題について調査研究が開始されました。それより現在に至るまで3年4カ月にわた り、合併問題が検討され、ようやく本年4月5日に堺市長、美原町長の間で合併協定書の調印がなされました。この結果が得られるまでに、堺市長、美原町長を 初め各市町の職員の方々の献身的な努力があり、堺市議会、美原町議会におかれましても、議会制民主主義にのっとり、市民の信託によくこたえ、議論を尽くし てまいりました。また、法定の合併協議会では、10回にもわたり、両市町を代表する方々が法に基づき議論を十分に発展させ、合併の調印に至るまで何百とい う方々の粛々とした努力がなされたことに対して、改めて敬意を表するところでございます。

 一方、本日の議案であります美原町との合併について堺市住民の意思を問う住民投票条例を 上程するにあたり、わずか1カ月間に3万1,915名の署名を集められたことに対し、それに従事された方々の市政に対する情熱に素直に敬意を表しますとと もに、3万1,915名の方々の住民投票条例を望む声にも耳を傾ける必要を感じるところでございます。

 合併を推進してきました行政の立場と、今回住民投票を望む市民の立場とは、決して相対する関係にあるのではなく、ともに堺市の発展及び堺市民の福祉の向上を考えた上での克服できる理解可能な違いと認識した上で以下ご質問をいたします。

 私は、堺市と美原町が合併し、まちづくりを進めることは、両市町の将来にとってだけでは なく、他の市町村も含めた南大阪全体にとっても明るい将来をもたらすものだと確信しております。新市建設計画のまちづくり計画では、主な事業計画として、 合併後10年間で872億円の総事業費の支出を見込んでおり、そのうち、美原町分は437億円を予定しております。数百億円という額は、市民感覚からいた しますと、非常に大きな額であり、合併によって市の財政状況が悪くなるのではないかという懸念の声も一部ではありますが、聞こえてまいります。また、合併 することによって経費削減が進むということだったのに、議員の在任特例によって、かえって市の負担がふえるのはおかしいのではないか。また、合併すること により、市の借金は増加するのではないかと懸念する声もあります。

 堺市と合併する相手方の美原町にお住まいの方々にとりましては、合併協議で約束したこと が本当に履行されるかが最大の関心事であり、こういった住民の不安解消のためには、新市として一体化が図られるまでの合併初期の間は、美原町の全議員が新 市議員として新市のまちづくりに力を尽くしていただく必要があると私は考えております。在任特例は合併を円滑に進めていくためには必要なものであり、一時 的なものであります。長期的には、合併によって議会経費も大幅に削減が進むものと考えられます。

 また、合併により新市の債務がふえるのではないかといった危惧については、合併の一側面しか見ていないのではないか。合併により削減される経費を勘案すれば、大幅な経費の削減が可能ではないかと思います。

 そこでご質問いたします。美原町との合併の財政的メリットについて改めてお尋ねいたします。あわせて、まちづくり計画事業費872億円のうち、美原町分の437億円が新市のこれからの年度の過重な財政負担とならないかについてもお答えください。

 次に、住民投票条例についてご質問いたします。私は、必ずしも住民投票自体を否定するも のではございません。重要案件については、広く市民の意見を聞くために住民投票が必要な場合があることは理解しております。しかし、住民投票を安易に行う ことは、市政をいたずらに混乱させる可能性があるため、この実施については慎重に検討する必要があると思います。住民投票を実施するにあたり、検討すべき 課題は幾つかあります。

 まず1番目に、行政側がどれほど情報提供に配慮したとしても、大部分の住民にとっては、 その内容を正しく理解することは容易なことではありません。それどころか、提供された情報をじっくり検討する時間的余裕さえないのが普通であることから、 投票に必要な情報が有権者に正しく伝わるか、疑問があります。

 2番目に、住民投票は民意を正確に反映するとは限らないと言われております。投票結果は、設問次第で大きく異なってくるからであり、また、住民の関心が低く、投票率が低い場合は、一部の運動の論理に左右され、情緒的な判断が下されるおそれがあるからでございます。

 3番目に、住民投票による政策決定は、いわば責任者不在の決定であって、首長も議会も結 果について説明責任を負う必要がありません。住民投票による市民の判断が必ずしも正しいとは限らず、この場合、一貫性のある政策でまちづくり等を進めよう とする行政や議員の意欲をそぐおそれがあります。

 4番目に、住民投票を実施する上で最も大きな疑問は、決定に至る過程が軽視されるという ことであります。地方議会による政策決定では、単に表決の結果だけが重要なのではありません。表決に至るまでの討論を通じて問題点を明らかにし、他人の意 見を参考にしながら、自分の意見に修正を加え、必要とあれば、互いの歩み寄りと妥協によって合意に達するプロセスそのものに価値があります。より多くの 人々が納得できる合意を形成することに議会制民主主義に期待される目的があり、市民より信託された議会議員の存在価値があると思います。

 住民投票を行う場合、このような過程を踏まえて出された結論を超えて、より合理的な結論 を導き出すということが担保されなければなりません。しかし、多くの場合、討議抜きで結論のみについて賛否を問う住民投票は、情緒に流されやすく、真に正 しい判断がなされにくいのではないかという危惧を感じます。

 最後に、費用面についても考える必要があります。住民投票する場合、選挙に類するだけの 費用を使うことになります。その金額は決して小さいものではなく、すべて税金で賄われます。相当の費用をかけても住民投票をすることがより合理的結論を導 くものとなるのか、費用対効果も見きわめなければなりません。以上の課題をすべてクリアした場合、住民投票を行う基礎ができると私は思っております。

 そこでお尋ねいたします。先ほどの山中議員の質問と重複いたしますが、住民投票の実施にはどの程度の費用が必要かをお答えください。

 以上で第1回目の質問を終わります。

○議長(中井國芳君) これより答弁を求めます。

◎財政局長(田中豊君) 美原町との合併の財政的メリットについてでございますが、合併す ることによってさまざまな事務処理や事務執行にあたって、住民1人当たりの職員数や管理経費が節減できるなど、いわゆる規模の経済性、スケールメリットが 働き、より少ない経費で行政サービスの提供が可能となります。例えば管理部門の統合による経費の節減、住民基本台帳などの各種電算業務の一本化に伴う委託 料などの削減が図れるなど、新市における経費は両市町が個別に行った場合の経費と比較して相当の削減効果が見込まれます。また、歳入面でも合併後のまちづ くりを行う経費等に充当するため、合併特例債、補助金、特別交付税を初めとする特別な歳入が見込まれるなどのメリットがございます。

 次に、新市建設計画のまちづくり計画の関係でございますが、まちづくり計画は、両市町の 総合計画を踏まえつつ策定したものでございますが、全体事業費872億円のうち、美原町に係る事業費は437億円となっており、そのうち独立採算で行う企 業会計の上下水道の分を除きますと、280億円いう形になってございます。美原町は、現在、毎年13億円程度、10年間で130億円程度の事業を行ってい ること、また、7割の交付税措置がある合併特例債の活用により、新市全体では約263億円の事業が実施できることから、新市全体で見た場合、財政的影響は 少ないものと考えております。以上でございます。

◎市長公室長(指吸明彦君) 次に、住民投票の経費でございますけれども、先ほどもご答弁申し上げましたように、同様の選挙形態から経費を試算すれば、1億3,000万円程度になるというふうに聞いております。以上でございます。

◆6番(水ノ上成彰君) 議長。

○議長(中井國芳君) 6番水ノ上成彰議員。

◆6番(水ノ上成彰君) ご答弁ありがとうございました。合併にかかわる財政的な問題につ きましては、今後、支出が予定されている費用は、将来必ず必要とされる支出の前倒し的な性格が強く、現美原町民の方にとっては、福祉の充実が早く実現され ることであり、決してむだ遣い的なものではないことはよくわかりました。それ以外のことにつきましては、今まで議論し尽くしたことであり、新たにつけ加え ることはございません。新市建設及び政令指定都市昇格に向け、粛々と作業を進めていただきたいと思います。

 住民投票についてですが、住民投票の実施に要する費用は1億3,000万円程度とのご答 弁でしたが、私はこの1億3,000万円という金額のみをもって住民投票の可否を論じるつもりはございません。1億3,000万円をかけても住民の意思を 問わなければならない場合もあろうかと存じます。しかし、今回の美原町との合併については、これだけの巨費をかけて住民の意思を問う必要があるかどうかは 疑問のあるところでございます。

 まず、堺市は現在に至るまで情報公開条例、パブリックコメント、ホームページ、広報紙、 住民説明会、研修会、10回の合併協議会だよりなどの宅配などを通じて、あらゆる方法をもって住民に情報公開を行い、合併に対する理解を求めてまいりまし た。これらの情報公開の努力は高く評価するところでございます。

 次に、住民投票した場合の投票率ですが、堺市は編入合併をする側であり、堺市自体、市民 生活や行政が劇的に変化することがないことが予想されるため、堺市の情報公開の努力にもかかわらず、堺市民60万有権者の関心は、必ずしも高くないのが現 状であり、市民の総意を形成するだけの高い投票率が期待できるかは甚だ疑問でございます。

 次に、合併協定の調印に至るまで、堺市議会は正常に機能してきたものであり、何ら瑕疵が なかったことは改めて申し上げるまでもありません。また、合併協議会においては、さまざまな角度から、また専門的な角度からも議論され、その結果出された 結論は尊重すべきであります。このような過程を経た後においても、住民投票を必要とするならば、それは代議制民主主義の否定にもつながりかねません。住民 投票をするならば、住民投票を実施したその結論が議会や合併協議会が出した結論より、より合理的で信頼されるものであるという客観的な保障がなされる必要 があります。

 以上申し上げてきたことを勘案した上で、なおかつ1億3,000万円もの巨額な税金を使 用し、住民投票を行うべきか否かを冷静に考える必要があります。私どもプロジェクト堺は、以上のことを熟慮、検討した結果、3万1,915名の署名を尊重 しつつも、住民投票を行う積極的な必要性を見出すことはできないと判断し、条例の制定についての市長の意見に賛同するものでございます。

 最後に一言申し上げます。堺市と美原町との合併と新市の政令指定都市への昇格は、堺市の みならず、南大阪地域の市町村にとっても、南大阪地域復活のための希望と考えております。その希望のともしびを消すようなことがあってはなりません。南大 阪の未来は堺市の動向にかかっております。ひとり堺市のみの幸福を見出すのではなく、南大阪全体の発展を担う責任を我々は背負っていかなければなりませ ん。今こそ、堺市・美原町が一丸となって、この夢の実現にかけるときだと思います。このことを念頭に置いていただきまして、市長初め理事者の方々及び全職 員が全力で新市建設、政令指定都市への昇格に取り組んでいただきたい。また、総務委員会においては建設的な議論をぜひお願いしたいと存じます。

 以上をもちまして私の質疑を終了いたします。ありがとうございました。

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