◆水ノ上 委員 おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上でございます。
本日は、防災教育についてということをご質問をする予定ではございますが、それに先立ちまして、これまで幾度か私がこの文教委員会で教科書採択について
何度かご質問してきましたので、ちょうど教科書採択が8月18日に教育委員会で行われましたので、それについて私の感想を述べたいと思います。
教科書採択については、短期間で今後4年間子どもたちが使う教科書を採択するということから、教育委員の皆様には相当の激務であったでしょうし、また、
さまざまな角度からご検討いただきましたことを私は率直に敬意をまずもって表したいと、このように思います。
さて、8月18日に開催された教育委員会におきまして、中学校の教科書が採択をされました。私も出席したわけでございますが、特に社会科の歴史分野の教
科書採択につきましては、全国的に議論され、注目されているだけに、堺市の教育委員会におきましても慎重にさまざまな観点から議論されておられました。こ
の堺市においても、子どもたちに学習指導要領に最も則した教科書を選んでほしい、また、子どもたちに日本の誇りある歴史を教える教科書を手渡してほしいと
いうことで、8,000名以上の署名が集まったこともよくご存じだというように思います。そういうことから、十分な時間をかけてご審議いただいたことにつ
きまして私は評価をしております。
しかし、この議論の中で、国を愛する心を論じる、国を愛する心を議論する中で、ある教育委員のお1人がおっしゃったことに私は大きな驚きがございまし
た。私はそのときメモをとっておりました。恐らく間違いはないとは思いますが、ちょっとご披露したいと思います。日本の歴史が特に立派なものでなければな
らないという前提は必要ないと、このようにおっしゃられた。つまり国を愛する心を涵養するために、日本の歴史が特に立派なものでなければならないという前
提は必要ないと教育委員のお1人がおっしゃられた。前後の詳細な発言は忘れましたが、それに対し他の教育委員の皆さんから否定的なご意見はございませんで
した。
さて、どこの国の教育者が自国の歴史が特に立派な歴史である必要がないなどと言うでしょうか。歴史を築いてきてくれた日本人に対する感謝の念がうかがえ
ませんし、私は何と過去の日本人に対して冷酷な発言であろうかと、このように聞いていて思いました。他の国の歴史もそうであるように、我が国の歴史も数え
切れない人の汗と涙と、もしくは命をもって築かれているのであり、その人たちに対する限りない愛情と積み重ねてきた歴史に誇りを持ち、次の世代に正しく継
承していく義務が我々にあると思います。
我々は、過去の日本人が千数百年の間、積み重ねてきた伝統と文化から全く離れては生きていくことはできません。我が国の歴史が他の国に比べてすぐれてい
るということでは決してなくて、次世代に継承していくにふさわしい立派な特別なものというふうに考える必要があると私は思います。子どもたちに教える歴史
は、まさしく日本の歴史は永久に継承するに足る、特に立派な歴史であると言う必要があると確信をしております。
私は、教育委員のお1人からこの言葉を聞いたとき、また教育委員会にこのような意見が支配的であると感じたとき、堺市では子どもたちに誇りある日本の歴史という観点から記述された歴史教科書が届けられることはないと、少々落胆をいたしました。
さて、それでは、このような教育委員会が採択いたしました歴史教科書はどのようなものであったか。今回も4年前に引き続きまして、東京書籍の歴史教科書
が採択されました。正直に申し上げまして、この東京書籍の歴史教科書は、私が採択してもらいたくない教科書の一つでございました。なぜ、そのように考える
かといいますと、理由はいろいろございますが、これはただ1点ご紹介したい、この1点だけでこの教科書の性格を私がどのように考えているかよくおわかりだ
と思います。
これが4年前の採択された東京書籍の教科書で、今回、これが新しく採択された東京書籍の教科書でございます。その中の社会主義革命というところで、ほと
んど前段の部分は同じ文言があるんですが、今回の採択されたこの教科書には、新たに次の文章が加わっております。あえてこの文章をこの教科書は加えており
ます。それをご紹介したいと思います。
ロシア革命は、資本主義に不満を持った世界の人々に希望を与え、ドイツでも社会主義者たちが立ち上がりました、鎮圧されました、こうしたロシア革命の影
響が及ぶことをおそれた日本、アメリカ、イギリス、フランスは、シベリア出兵によって革命政府に干渉しましたというふうにロシア革命、社会主義革命を賛美
し、また、それに干渉した国々を何か悪い、悪玉のように書いておるわけです。あえてこのように書く教科書の意図はどこにあるのか、私はこの教科書は前回の
ものより左翼色が強くなったと、このように思っております。
今さらここで社会主義革命が人類に及ぼした災いというものを申し上げる必要もないとは思いますが、共産主義体制のもとで虐殺された犠牲者は、ソ連や中国
を中心に1億人を超えるとも言われております。第一次大戦や第二次大戦の合計の犠牲者をはるかに上回る犠牲者がその体制の中で虐殺されていた。ロシア、中
国、カンボジア、エチオピア、北朝鮮などの共産主義体制のもと、それまでの伝統や歴史は価値のないものとして、ことごとく破壊されました。まさしく共産主
義体制のもと自国の歴史や文化は特に立派なものである必要はないとの前提で破壊をされ尽くしてきました。
なぜ、社会主義革命賛美の文章がわざわざつけ加えられた教科書が採択されたのでしょうか。今回の、いろいろご議論は存じておりますけれども、今回の歴史教科書の採択に関して、このことだけは指摘しておきたいと、このように思います。
今回の教科書採択について、ほかにも話したいことはございますが、以上申し上げた2点を指摘すれば、ほぼ十分でありますので、以上をもって、今回の教科書採択の感想とさせていただきます。
それでは、きょうの本題に入ります。防災教育、防災教育の推進について、きょうはご質問をしたいと思います。
6,435名の死者と10兆円の被害をもたらしたあの阪神・淡路大震災から、ことしは10年を経過いたしました。そこには子どもたちを含めた6,435
人、それぞれの悲しい物語がありました。私たちは、この未曾有の地震災害を目の当たりにして、何としてもこうした悲惨な被害を繰り返してはならないと、ま
た最小限に食いとめなければならないと胸に誓ったはずでありましたが、年月の経過とともにその思いも風化しつつあるように思います。
9月1日は防災の日でございました。私の地元の浜寺小学校では、夏休み中8月の20日から21日にかけて小学校4年生から6年生までの83名の子どもた
ちが参加して、ことしで2回目となりますが、浜寺小学校夜間防災訓練を実施いたしました。大地震が起こったという前提で避難所生活を子どもたちに体験させ
よう、体験させることによって防災意識を高めようということから、こういうことが去年に引き続きされました。
その中で飯ごう炊さんとかキャンプファイヤーなどをまじえながら、これは主に浜寺小学校の自主警備隊の人たちやこども会、また、おやじの会などが中心と
なって行ったんですけれども、昨年は体育館に段ボールをずっと並べて、布団がわりにして寝させて、災害が起こったときは、こういう状態になるんだよという
ことを体験させました。ことしは、ちょうど鉢ケ峯キャンプ場が閉鎖されましたので、鉢ケ峯キャンプ場よりテントをお借りいたしまして、そのとき社会教育課
には大変お世話になったんですが、お借りいたしまして校庭にテントを立てて、防災、そういう体験をしました。
大阪府などもいろいろ協力してくれたんですが、これがその写真なんですけどね。校庭にテントを立てまして、こういう感じで、まさに何か災害が起こったよ
うな雰囲気がいたしますけれども、こういう中で子どもたちを数人、4人から5人ずつ寝かせて、これは飯ごう炊さんなんですが、校庭の中で子どもたちに飯ご
う炊さん、一緒に飯ごう炊さんをして、防災の意識を高めようと、このようにやってます。
テントは25ほど、堺市からお借りしたのは16でしたけれども、ほかに大阪府などからお借りして25ほど、子どもたちと一緒に立てまして、私自身もおや
じの会の一員でございますので、一緒に防災とはどういうものか、災害が起こったらどうなるのか、ということを経験した1日でございました。
夜には、危機管理室の課長にもお越しいただきまして、子どもたちに災害と防災の話をしてもらい、子どもたちも熱心に聞き入っておりました。準備は大変で
ございましたけれども、浜寺小学校はもともと保護者の教育に対する理解が深いところでございまして、たくさんの保護者が参加した結果、子どもたちは大変い
い経験になったと思ってます。そういう浜寺小学校で子どもたちの防災訓練、防災意識を高めようということが行われましたので、これに関連してきょうはご質
問したいと思います。
まず、そのときに、そのときといいますか、その当日ですね、危機管理室の職員にお話をいただいた中でも、東南海・南海地震は今後必ず発生し、その発生確
率は年がたつにつれて高くなるということでございました。本会議でもたびたび話題となるものでございますけれども、私たちが被災する可能性の高い東南海・
南海地震の危険性は、教育委員会としてどのようにご認識しておられるでしょうか、お答えください。
◎石井 学校指導課長 東南海・南海地震の危険性ということでございますが、この地震につきましては、発生する可能性が非常に高いと認識しております。
また、大地震の前後40年間には直下型の地震が起こる可能性もまた非常に高いという指摘もございまして、東南海・南海地震の防災対策を検討している中央防
災会議、東南海・南海地震に関する専門調査会は、東南海地震、南海地震が同時に発生した場合の被害想定で、最悪の場合2万1,000人が死亡するというふ
うに発表しております。
本市におきましては、子どもたちがみずからの命を守ることができるよう、一人一人が地震に対する危機意識を高め、保護者や地域住民とともに防災対応能力を養うことが非常に大切であるというふうに考えております。以上です。
◆水ノ上 委員 東南海・南海地震が発生する可能性が高いということは共通の認識だと思います。地震災害は必ず発生すると考えて対処をしていかなければ
なりませんし、準備をしていかなければなりません。ただ、それがいつ、どのような状態で起こるのかということが予想できないところに災害対策の難しい点が
あるわけでありますが、確実に言えることは、だれもが被災者になるということであり、大人も子どもも例外なく被災者になります。そういうことから防災教育
は大変重要であると考えておりますが、教育委員会の防災教育に対するお考えはいかがでしょうか、お答えください。
◎石井 学校指導課長 防災教育につきましては、災害時における子どもたちの安全確保及び防災対応能力の育成のために、防災上必要な安全教育や自他の生
命の尊重の精神、ボランティアの理念などを学んで、実践を深め、進んで地域社会の安全に貢献できるようにするということをねらいとしております。防災教育
につきましては、学校園において、これは日ごろから家庭や地域社会と密接な連携・協力体制を図りながら、子どもの発達段階に即しまして、体系的、計画的に
推進するということが大切であるというふうに認識しております。以上です。
◆水ノ上 委員 防災教育の重要性は認識されているようでありますけれども、実情として、すべての学校園で防災教育に取り組んでおられるようにはお見受
けできません。その理由は、ご答弁にもありましたように、家庭や地域社会との密接な連携関係が不可欠であるからだと思います。地域社会におきましても、い
ろいろ温度差があるのはよく存じております。そういうところから、なかなか一緒に歩調を合わせて、この防災教育をするというのは難しい、このようには思い
ます。その点、冒頭ご紹介いたしました浜寺小学校は、家庭や地域社会と密接な連携関係を保ち、防災に対する危機意識も高く、上手に対応していると、よい例
であると思っております。
それでは、学校園のみで行う防災対策とはどのようなものであったでしょうか。今までの小学校の避難訓練を思い浮かべてもらえばわかると思います。合図と
ともに子どもたちが机の下に潜り込み、その後、順序よく校庭に避難し、それでおしまいというようなことが今でも続いていると思います。学校もそれが防災教
育というふうに勘違いしているのではないかと、このように思います。
災害はさまざまな現実を突きつけるわけでありまして、それらに対処できる生き抜く力を子どもたちに習得させることが防災教育の目的であります。また、同
時に、子どもたちには災害のような非常時には、不自由な共同生活を強いられることになるわけで、その中では助け合わなければ生きていくことができないとい
うことも教えていく必要があると思います。
さきの浜寺小学校の例ですが、夜間防災訓練におきましても、そのことを重視し、各テントには4年生から6年生までを混在させ、上級生がリーダーとなって
各テント単位で助け合って行動をともにするよう考えていきました。災害時の生き抜く力とは、他人と助け合う精神と言いかえてもよいほど、このことは重要な
ことだと思います。
さて、教育委員会として、防災教育は重要と認識しながらも、いま一つ私には積極的に取り組もうという姿勢が見えないように思いますが、具体的に防災教育にどのように取り組みされているのかお答えをください。
◎石井 学校指導課長 防災教育の取り組みという点でございますが、各学校園におきましては、非常災害時の体制を確立しまして、すべての教職員の危機管
理意識を高めるというところから、防災計画の中に先ほども委員も紹介されました避難訓練を位置づけて実施しております。また、教育委員会としましては、平
成14年度に学校園における危機管理ということでマニュアルを出して対応についてマニュアルを発行しております。さらに、昨年度は、非常災害時等の措置に
ついてということで、風水害、地震等について各学校園に通知をして、その対応について指示をしておるところでございます。
学校の教育的な取り組みとしましては、本年度から学校指導課のカリキュラム開発研究事業に、新たなテーマとしまして防災教育を加えております。現在、小
学校2校におきまして社会科学習と関連づけた学習や防災グッズ等を活用した体験的な学習の研究を進めてございます。そのほか校外学習における体験的な学習
と関連を図り、総合的な学習の時間の一環として防災教育を実施するという学校もございます。以上です。
◆水ノ上 委員 やっと動き出したという感がございますが、より具体的な取り組みに今後期待したいと思っております。
さて、先日の毎日新聞で、千葉、静岡、和歌山、高知の4県の教育長が防災教育を学習指導要領に盛り込むことを求める要望を文部科学省に提出したと書かれ
ておりました。確かに防災教育について統一した基準もなく、防災教育は手探りの状態かもしれませんが、他都市でもさまざまな取り組みを実施しております。
また、それが確実に始まったところでございます。こうした先進自治体の防災教育への取り組みはどのように把握されているでしょうか、お答えください。
◎石井 学校指導課長 他府県、他都市の取り組みの把握という点でございますが、例えば隣の和歌山県では、学校防災体制や教職員の緊急マニュアル、防災
訓練、子どもの力を引き出す防災教育等を定めました学校における防災教育の指針を作成して配布しております。また、徳島県では、南海地震や台風を想定して
防災教育の実践モデル校を指定し取り組みを進めております。
神戸市におきましては、全国で地震などの大規模災害が発生した際、阪神大震災で得た教訓や課題を生かして、学校関係者や教育委員会に学校現場がとるべき
対応や学校再開のノウハウを伝授するために、神戸市教育委員会の職員やOBを現地に派遣します学校の防災危機管理研修支援事業というのを平成15年から始
めておるというふうに承知しております。そのほか各都市におきましては、それぞれの実情に即しまして地域住民と連携した特色ある取り組みを進めておるとい
うふうに把握してございます。以上です。
◆水ノ上 委員 内閣府では、昨年から防災教育チャレンジプランを全国の自治体などに募集し、ことしも来月、東京で発表会があるとお聞きしております。ぜひ、こうした先進事例を参考にして、堺市教育委員会としても取り組みをいただきたいと思っております。
すべての学校園で実施が無理でも、現在2校ということですが、モデル校を選んで、専門家の意見も取り入れ、モデル事業を開発することから始めてよいと思
います。また、それに必要な予算措置も必要だと思います。そういうことを踏まえまして、今後の取り組みにつきましてお考えをお聞かせください。
◎石井 学校指導課長 各学校園におきましては、子どもたち一人一人が防災についての知識、そして実践力を身につけるために、あらゆる教育活動の中で具
体的な事例や体験的な活動を通し、みずからの命を守って、そして助け合うことの大切さを学ぶということで防災教育を進めてまいりたいというふうに考えてお
ります。また、冒頭から委員が紹介していただきました地域と連携したというふうな取り組みでございますが、各地域を単位として実施されております防災訓練
等について、学校としても積極的に参加しながら、子どもたちの防災教育をさらに進めていくよう指導をしてまいりたい、というふうに考えてございます。以上
です。
◆水ノ上 委員 ぜひ今おっしゃられたように、積極的にこの防災教育に取り組んでいただきたいと思います。
防災教育は、また、それに伴う体験教育といいますか、それは子どもたちに災害などの非常時において助け合うことの大切さを養い、そのことを通じて生きる
力を培うことになります。みずから生き抜くだけでなく、他の者を助けることを身につける、また弱い者、けがをした者を助ける意識を身につけるという意味で
も非常に大切だと思います。そのためには、先ほど来お話があるように、地域とのかかわり合いの中で現場の教師の意識も高め改革していく必要があると思いま
す。今後、30年もしくは40年の間に東南海・南海地震が起こるということであれば、今の子どもたちは、必ずいつの日か堺にいる限り東南海・南海地震に直
面することになります。ですから、今から早急に防災教育を充実していただきたい、これをご要望いたします。
さて最後に、関連いたしまして障害児及び障害児を持つ家族にとっての防災についてもご要望を申し上げたい。
災害は、障害児及び障害児を持つ家族にも等しく振りかかってまいります。新潟中越地震の折、ニュースで被災現場において障害児を持つ家族が大変な状況に
なるということを報道で知り、私も強いショックを受けました。平時でも理解されにくい知的障害者は、環境の変化についていけない子や理解する力の弱い子が
多く、また、養護学校に通う子どもは避難先の地域学校になじみがなく、不安を募らすばかりだということでございます。
災害時や非常時にこのような子どもたちを安全・安心な環境で生活できるよう、平素からその対策を講じる必要があると思います。このような観点から勉強会
やセミナーなども堺において開催されつつあるとも聞いております。このような機会も利用して、また独自に研究もしていただき、この場合も現場の教師の意識
改革も非常に大切だと思いますので、その点も留意していただき、防災教育の一層の充実を図っていただきたいと思います。
以上、このことを強くご要望いたしまして、本日の私の質問を終了いたします。ありがとうございました。
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