◆水ノ上 委員 おはようございます。プロジェクト堺の水ノ上でございます。本日は公の施設の管理のあり方、特に指定管理者制度の導入についてご質問をいたします。
公の施設に対し指定管理者制度を導入することに関しましては、堺市は行財政改革の一環として積極的に検討し、進めておりますし、また効果
も上げております。また、これまでも議会で何度か議論がされてまいりました。平成16年度の包括外部監査では、公の施設の管理及び指定管理者制度の事務の
執行について監査なされたわけであり、監査報告書も提出されておりますし、さまざまな意見が出されております。
公の施設に対して指定管理者制度を導入するか否かについては、多くの自治体において検討されているところでもあります。このようなことか
ら、今回は教育委員会において公の施設に対して指定管理者制度を導入するにあたり、どのような指針をお持ちなのか、また包括外部監査において意見・報告が
なされたもののうち、教育委員会所管の施設についてご質問したいと思います。
言うまでもなく、公の施設は地方自治法により住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供するために設置されているもので、住民の福
祉にかかわる公共施設でございます。従来、公の施設の管理は地方自治法に基づき、堺市の直営による管理と、堺市の出資法人、または公共団体、公共的団体に
管理委託をしてきましたが、平成15年の地方自治法の改正により、公の施設の管理について指定管理者制度が導入され、平成18年9月1日までには、従来の
管理委託方式による管理は廃止されることになったことはよくご承知のことだと思います。
同時に、指定管理者による場合、指定管理者の資格について制限が撤廃され、民間企業やNPOなどの団体もその資格を有することになりまし
た。全国的に指定管理者制度の導入は、地方公共団体の公共事業、サービス提供について、官から民への規制緩和とともに、事業、サービスについて量的・質的
な多様性と高品質性が求められていること、施設管理の経費の削減、地方公共団体出資法人の経営健全化と整理・統廃合などが背景にあります。堺市も公の施設
の管理については積極的に官から民へ、すなわち指定管理者制度への移行を進めております。平成16年4月に発表されました行財政改革改訂版にも、アウト
ソーシングの推進の項に具体的な取り組みとして、公の施設の管理運営について地方自治法の改正に基づく指定管理者制度を活用し、民間事業者等への管理代行
と委託を進めると記載されております。また、平成16年7月には堺市公の施設の指定管理者制度運用指針を策定し、民間事業者等のノウハウの活用による市民
サービスの向上、経費の削減等の観点から、指定管理者制度の導入を積極的に検討することが明記されております。
直営から指定管理者制度移行への判断基準は大きく2つあると思います。市民サービスの向上により、住民の福祉がさらに増進されること。そ
して、施設運用の効率化により、経費の削減を促すこと。直営より指定管理者制度の方が経費がかからないことが前提でございます。例えば、平成16年9月に
指定管理者制度に移行した日高少年自然の家は、直営から指定管理者制度へ移行することにより、約2,600万円の経費支出の削減が見込まれております。こ
のようなことから、今後、直営から指定管理者制度への移行の検討はますます活発になることが予想されます。
そこで、包括外部監査によって監査され、意見が出された公の施設のうち、教育委員会所管の堺市教育文化センター、いわゆるソフィア・堺、中文化会館と公民館についてご質問をいたします。
まず、堺市教育文化センター・中文化会館ですが、包括外部監査の指摘事項にはこのように書かれております。
施設全体の維持管理は堺市教育文化センター・中文化会館の所管になっていますが、教育センターは学校教育部の所管であり、情報ラウンジは
生涯学習部生涯学習課の所管であり、中図書館は中央図書館の所管、平和と人権資料館は市民人権局人権部の所管となっており、全くの複合施設となっておりま
す。それぞれの施設で所管が違うため、開館時間や休館日が異なっています。このようなことから、休館日や開館時間が異なれば利用者はたびたび来館しなけれ
ばならず、全く別々の施設を利用しているのと変わらない。休館日や開館時間をできるだけ統一し、複合施設としてメリットが生かせるように運営方法を見直
し、利用者の利便性を向上させていくことが望ましいと思われます。また、当該施設の利用者は年々減少傾向にあります。平均稼働率においても、堺市の類似施
設、例えば堺市民会館、西文化会館、栂文化会館に比べて、かなり低いことが指摘されております。このような状況を教育委員会としてはどのように認識されて
いるか、まずお答えください。
◎
松浦 教育文化センター副理事 教育文化センターの各施設の休館日や開館時間につきましては、それぞれ所管する部におきまして利用実態に即して定めてき
た経緯がございます。効果的な施設の管理運営のあり方につきましては、指定管理者制度の導入を前提に十分検討してまいります。
また、稼働率の向上でございますが、そのPRにつきましても包括外部監査でのご指摘のとおり、稼働率がやや減少しておりまして、PRや認
知度を高めるとともに、費用対効果を考えた事業運営の必要性を実感いたしております。今後はさらに教育文化センターの各施設や中支所区域の関係施設との連
携を強化し、市民ニーズを把握しながら、市民に魅力ある事業を展開してまいりたいと、こういうふうに思っております。以上です。
◆水ノ上
委員 各施設の休館日や開館時間は利用実態に即して定められてきたということですが、その点は一定理解できますけれども、こうもばらばらでは使い勝手が
悪いという指摘ももっともだと思います。この際、よく、いま一度ご検討いただいて、変えるところは変えると、このようにしていただきたい。また、稼働率
アップのためにPR等努力はされていることはよくわかりますが、場所の問題ということもあるのでしょうけれども、それでも利用者や稼働率がなかなか上がら
ないということから、指定管理者制度に移行という議論もされているのだと推測されます。施設の効率的な活用という意味からも検討を進める必要があると思い
ます。
さて、指定管理者制度に移行するメリットとしまして経費削減が挙げられますが、例えばこの施設を指定管理者制度に移行した場合、どのくらいの経費の削減が見込めるかお答えください。
◎
松浦 教育文化センター副理事 経費削減の見込みにつきましては、施設の維持管理費を計上しております中文化会館の例を取り上げます。平成16年度の決
算額が約2億6,000万円、そのうち人件費として約6,900万円、施設管理費等としまして約1億9,100万円かかっております。これらのうち、主に
人件費の一部が削減できると、こういうふうに考えております。
◆水ノ上
委員 ご答弁にもありましたが、指定管理者制度導入によって削減される経費のうち、最も大きいのは人件費であり、特に高い公務員の人件費分を抑制するこ
とにありますから、具体的な試算はできなくても、相当な効果があるのは想像できると思います。先ほど申し上げた日高少年自然の家の指定管理者制度導入によ
る経済効果は、主に高い職員の人件費の抑制によるものでございました。この点からも、具体的にご検討をいただきたいと思います。
さて、外部監査の最後の意見といたしまして、教育文化センターは複数の部門が所管していることから、部門間の調整をするためには直営施設
でなければならないという意見もあろうかと、そういうことはあるとは思いますけれども、それにも増して、複合施設の運営管理形態の一つとして指定管理者制
度の導入を積極的に検討すべきであると、私はこのように思いますが、この施設につきまして、指定管理者制度導入につき、どのような展望をお持ちかお答えく
ださい。
◎
松浦 教育文化センター副理事 指定管理者制度の導入のメリットといたしましては、先ほども述べられておりますけども、民間のノウハウを活用し、市民
サービスの向上と効率的な管理運営を図ることができるということだと思います。教育文化センターは所管の異なる施設からなる複合施設でございます。それぞ
れの施設が重要な役割を担っております。特に教育センターは、全市の学校教職員の研修や科学教育の振興の拠点施設として設置された経緯もございます。また
今後、政令指定都市としての充実・強化が必要とされている分野でもございます。このような趣旨も十分踏まえ、具体的な検討を加える中で指定管理者制度の導
入について積極的に推進してまいりたいと、こういうふうに思います。以上でございます。
◆水ノ上
委員 ご答弁ありがとうございました。私も、何が何でもすべて指定管理者制度を導入せよと、こういうことを言うているわけじゃございませんでして、施設
の特性というものもいろいろあるとは思います。しかし、施設の効率的な運用という観点から、指定管理者制度の導入が望ましいという施設につきましては、今
のご答弁にもありましたように、積極的かつ速やかに進めていただきたいと、このように思います。以上で、この施設については終わります。
続きまして、市立の公民館についてご質問をいたします。まず、包括外部監査による指摘事項についてお伺いをいたします。
現在、堺市立の公民館は美原町の中央公民館を除いて、八田荘公民館、金岡公民館、東百舌鳥公民館、福泉公民館、新金岡公民館、錦西公民館
の6カ所がございます。監査の結果、各個別の公民館についてそれぞれ指摘事項はありますが、この場では、その点については割愛をいたします。別途、市立の
公民館につき、全体的な指摘事項といたしまして、受益者負担の指摘がございました。堺市内の公民館は現在、無料で利用が可能となっております。外部監査に
よりましたら、大阪府内では約半数の自治体が有料であり、政令指定都市、中核市では3分の2の自治体が有料と記載されております。利用者にとって、公民館
とそれ以外の類似施設の役割を照らし合わせますと、今後利用料金の再検討をすることも課題と、このようにされております。
そこで、お尋ねをいたします。市立公民館の有料化につき、どのようにお考えになっておられるかお答えください。
◎
藤本 生涯学習課長 本市立公民館6館の有料化につきましては、課せられた課題として十分認識しております。それらを踏まえまして、受益者負担の観点か
らも導入すべきものと考えてございます。今後、有料化に向けまして、時期等も含め具体的な内容について検討してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
◆水ノ上 委員 市立の公民館については、それぞれ地域の密着の仕方、建設までの経緯、その他個別の事情がさまざまあるとは思いますが、受益者負担の観点から、また他の施設利用との均衡も考慮して進めていただきたいと、このように思います。
それでは、このような市立の公民館を直営から指定管理者制度に移行したとした場合、どれだけの経費削減が見込めるでしょうか、お答えください。
◎
藤本 生涯学習課長 本市立公民館6館の管理運営経費でございますが、平成16年度決算額といたしまして、人件費約4,000万円、その他施設管理費等
で約1,500万円の経費がかかってございます。指定管理者制度導入に伴いまして、経費削減効果につきましては主に人件費等の削減が期待されるものと思い
ます。現在、制度導入に向けまして具体の作業を行っているところでございます。以上でございます。
◆水ノ上
委員 市立の公民館は非常勤の職員とアルバイトで運営されております。非常勤の職員である公民館の館長は市のOBがされているそうですから、人件費も決
して安くはないだろうと、このように思います。細かい削減金額まではご提示いただきませんでしたが、ご答弁のとおり具体的に取り組んでいただきたいと、こ
のように思います。
さて、外部監査報告書による監査意見、このように最後締めくくられております。社会教育施設としての公民館であるから、公務員が主体と
なって管理しなければならないという理由が乏しい。もちろん、安易に経費節減だけを目的として指定管理者制度の導入を推進することには慎重を要する種類の
施設であるが、公民館の新しい管理運営形態として、指定管理者制度を導入することを検討していくべきものと考える。このように意見されているわけでござい
ますが、今後、指定管理者制度の導入につき、どのような展望をお持ちでしょうか、お答えください。
◎藤本 生涯学習課長 公民館6館の新しい管理運営形態といたしまして、指定管理者制度導入につきましては、おのおのの公民館の実情を勘案した中で現在、鋭意取り組んでいるところでございます。以上でございます。
◆水ノ上
委員 ご答弁ありがとうございました。包括外部監査の指摘どおり、社会教育施設としての公民館ですから、公務員が主体となって管理しなければならないと
いう理由はもはや乏しいと、このように思います。先ほども申し上げましたけれども、市立の公民館については、それぞれ地域の密着の仕方、建設までの経緯、
その他個別の事情がさまざまあるとは思います。おのおのの公民館の実情を勘案した上で、指定管理者導入に向けて具体的に取り組んでいただきますよう期待を
しております。
さて、以上取り上げました教育委員会所管の公の施設のほかにも、今後、施設の管理のあり方を検討していく必要のある施設が幾つかありま
す。例えば女性センター、舳松社会教育会館、青少年センター、青少年の家、図書館、博物館、埋蔵文化財センターなどですが、この中には指定管理者制度への
移行が望ましい施設もあるように思います。
そこで教育委員会にお尋ねをいたしますが、教育委員会として、こうした公の施設の将来的な管理運営の方向について、指定管理者制度も含めてどのようにお考えになっておられるのか、基本的な考え方、基本方針をお伺いいたします。
◎
池西 教育委員会総務部長 ただいま委員の方から2種類の公の施設についてのご指摘がございましたけれども、公の施設の管理につきましては、住民福祉の
増進という本来の目的に沿いまして、より効率的で効果的、なおかつ施設の機能が最大限に発揮できる管理運営のあり方と活用方策を検討しなければならないと
考えております。すなわち、公の施設はすべからく箱としての機能と、それを運用いたします人のノウハウ、あるいは能力が相まって初めて施設の効果的な運用
が図れるものである、そういうふうに考えております。
こうした意味から検証いたしますと、教育委員会は数多くの公の施設を所管しておりますけれども、施設のいわゆる法律上の制約、さらには、
いわゆる教育施設としての位置づけゆえに、必ずしも市民サービスに十分こたえ切れていない施設もございます。指定管理者制度のもとでは、これらの施設を民
間企業や市民組織等に運営をゆだねることが可能でございますので、施設のあり方そのものをも見直す必要があると感じておる次第でございます。
こうした観点から、教育委員会といたしましては、現状に甘んじることなく、今年度中には指定管理者制度移行を含めた施設の効果的な活用方針を定め、改革を推し進めたいと考えておる次第でございます。以上でございます。
◆水ノ上 委員 ご答弁ありがとうございました。総務部長より、現状に甘んじず、今年度中に指定管理者制度移行を含めた施設の活用方針を固めたいという積極的なご答弁をいただき、教育委員会の改革への決意の一端を伺うことができ、大変期待をしております。
公の施設はすべて市民の税金により建てられたものでございますから、何よりも市民にとって、平等で、かつ効率的な活用が望まれます。教育
委員会として、これから個々の施設についてさまざまな観点から管理の仕方についてご議論されるということでございますが、市民に対するサービスを向上しつ
つ、効率的な運用がなされ、経費削減が望める施設であれば、優先順位をつけた上で、優先順位の高い施設から積極的に指定管理者制度への移行を進めていただ
きたい、このことを強くご要望いたします。その意味で、平成16年度の包括外部監査報告は示唆に富んでおります。その点もよくあわせてご検討いただきた
い、このように思います。
公の施設管理の的確な指定管理者への移行は行財政改革の一つの大きなかなめだと、このように思います。来年度の予算編成など、今後とも公の施設の管理・運用について適時議論をしてまいりたいと、このように思います。
本日は、以上をもちまして質問を終了いたします。ありがとうございました。
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