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水ノ上成彰は堺市西区選出の堺市議会議員。

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堺市議会報告 議会発言集CONCEPT

平成18年12月14日 市民環境委員会

《堺市平和と人権を尊重するまちづくり条例について》

水ノ上 議員  皆さんお疲れさまです。委員外ではございますが、質問をさせていただきます。私の方からは、今議会に提案されております議案第171号堺市平和と人権を尊重するまちづくり条例についてご質問をさせていただきます。
 先日行われました大綱質疑においても、また本日の委員会における質問でも、本条例を議題に取り上げる委員の方はわずかでございまして、私 自身はこの条例というのは非常に大事な条例で、この議会でももっと、一番といいますかね、最も議論されるべき条例であるというふうに思っております。そう いう意味で、この議会で議論の数が少ないというのは非常に残念だというふうに思っておるわけですけれども、以下、細かいところまで少々質問いたしますが、 簡潔にご回答いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 さて、市長は堺ルネサンス計画の7つの基本政策のうち、第1番目に人権尊重の実現ということを上げられた。そして(仮称)人権条例の制定 ということを掲げられておりました。それで今回、今議会で条例が提案されたわけでございますが、堺市平和と人権を尊重するまちづくり条例ということで提案 されました。当初、平和を尊重するという概念はありませんでしたが、この条例になって、そういう概念を入れられた。そこであえてご質問いたしますが、この 条例において、あえて平和の尊重という概念を条例に入れられたのは、どういう理由でしょうか、お答えください。

◎森 人権部参事  本条例に平和という文字を入れましたことは、平和とは戦争のない状態はもちろんのこと、すべての人々が地域社会で安心して幸せに生活できる状態を言い、このことは世界の人々の願いです。
 このことから、本条例は平和の促進と人権の尊重をともに推進していくものとしております。すべての人々が地域社会で安心して幸せに生活で きるためには、平和が保たれ、それぞれの人々の人権が尊重されていることが必要であり、本条例において改めて平和と人権が分かつことができない非常に密接 なものであることを示しております。以上です。

水ノ上  議員  私も平和というものは大事だと思いますし、たっといものであり、そういうふうに感じておりますが、この平和という、平和を尊重するという意味のも のを条例化するというのは非常に難しいと個人的には思っています。なぜならば、平和を論じるにあたっては、必ず戦争を論じなければならない。戦争と平和と いうものは、人それぞれにとらえ方が違うものであり、またイデオロギーの対決にも生じる、このように認識しているからであります。
 そのような中で平和を尊重する概念を入れられたと、あえてお聞きいたしますが、全国の人権条例の中で平和尊重の概念を入れた条例はありますでしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  全国では、部落差別を初め、男女、障害者など、あらゆる差別の撤廃を目的とした条例の制定、また人権尊重の社会づくりを掲げ、人権施策 の基本方針、審議会の設置など人権教育、啓発、相談などの施策を推進するための枠組みづくりの条例など、人権条例はおよそ400余りございますけれど、調 べた範囲ではほかにはございません。以上です。

水ノ上 議員  私も、大阪府内の条例は調べたんですが、ありませんでした。全国的にはわかりませんが。私のこの率直な条例を読んだ認識としては、平和の尊重を入れたことで、非常にこの条例自身がわかりにくくなっているんではないかなという認識でございます。
 以下具体的に議論をしていきたいと思いますが、前文の中でこういうふうにございます。私たちは、中略、戦争は最大の人権侵害であるという 認識を持つとともにというふうにあります。平和を尊重するがゆえに、そういう文言を入れるがゆえにですね、こういう戦争は最大の人権侵害であるという文言 を入れられたと推察いたしますけれども、そもそもこれは、どなたのお考えなんでしょうか、また、市長や、また堺市人権条例懇話会委員の統一した見解なんで しょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  戦争は最大の人権侵害であるについてでございますが、尊厳ある生命とは、人間が生まれながらにして当然持っている基本的な権利が尊重さ れた、かけがえのない命のことを言います。世界の人々が望む社会は、その尊厳ある命を全うできる社会であり、その命を大量に奪い、傷つける戦争は最大の人 権侵害だと言うことができます。このことは、人類普遍の原理であります。以上。

水ノ上 議員  ここで言う私たちというのは、堺市民でよろしいんでしょうかね。前後になりましたけど、済みません。

◎森 人権部参事  私たちというのは、堺市民というふうに考えております。以上です。

水ノ上  議員  この戦争は最大の人権侵害であるという考え方ですが、このとおりですね、インターネットで検索サイトで検索してみますとですね、多くの反日団体、 反米団体と言われるような団体がこの言葉を好んで使用しているのがわかります。皆さんも一度、帰ってからそういう検索をしていただきたいと思うんですけれ ども、私は、政令指定都市である堺市が、平和と人権を尊重するこの条例の中で、この言葉を使用することは、多くの人に誤ったメッセージを与えるのではない かということを危惧いたします。
 堺市民は、戦争は最大の人権侵害であるという認識を持たなければならないという、このような条例になっているわけですが、そもそも、それはどういうことでしょうか、お答えください。

◎森 人権部参事  先ほども申し上げましたように、平和、人権の底流にあるものは、尊厳ある命でございます。その命を大量に奪い、傷つける戦争は最大の人権侵害だということは、人類普遍の原理であり、堺市民だけ持つべきであるという発想はございません。以上です。

水ノ上  議員  本当に人類普遍だろうかと思います。戦争は人権を著しく侵害する、これはもちろんよくわかります。ただ、一方的な侵略戦争などは、そのとおりです が、逆に侵略される方、防衛する方にとっては、その限りではない。自国民の人権を守るために戦わなければならないことは確かにあります。
 戦争は最大の人権侵害であるとお考えになる方もいらっしゃってもちろんいいと思いますし、例えば私は拉致事件をずっとかかわっております けれども、国家による拉致は最大の人権侵害だと思う人があってもいい。また、その他にただ人権侵害というのは世界じゅうでありますから、そのそれぞれに最 大と思う方がいらっしゃってもいい。ただ、それは思想信条の問題であって、堺市の条例でですね、戦争は最大の人権侵害であると、最大ということは、その人 の思いなり価値観があるわけですから、それをこういう条例の中に入れるべきではないと、このように思うわけでありますが、行政が強制するようなものではな いと思いますが、その点についていかがお考えでしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  市民に対し強制するものではもちろんございません。ただ、平和と人権を尊重するまちづくりの推進には、市民一人一人の自主的な取り組み も必要不可欠でございます。この前文は、そのような取り組みに際しての基本的な考え方を書きあらわしたものでございます。以上です。

水ノ上 議員  条文の文言上は、今おっしゃった基本的な考え方をあらわしたというよりは、堺市民に積極的にこのような認識を持てというふうに私は感じます。
 続いてですね、前文で、堺市民は人間の安全保障を積極的に関与していかなければならないと堺市民に義務を課しているわけでございますが、そもそも人間の安全保障とはどのようなものでしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  人間の安全保障でございますが、人間の安全保障とは、一人一人の人間を中心に据えて、脅威にさらされ得る、あるいは現に脅威のもとにあ る個人及び地域の、地域社会の保護と能力強化を通じ、各人が尊厳ある命を全うできるような社会づくりをめざす考え方をいいます。
 近年、国際連合を初め日本政府などにおいても、こうした考え方に基づいた国際的な支援、開発援助等が進められているところでございます。 この考え方は、2001年1月に我が国とアナン国連事務総長のイニシアチブにより、緒方貞子前国連難民高等弁務官及びアマルティア・セン・ケンブリッジ大 学トリニティーカレッジ学長、ノーベル経済学賞を受賞された方というふうに聞いておりますけれども、を共同議長としまして創設された人間の安全保障委員会 から出されたものでございます。人間の安全保障委員会報告書は、2003年2月に両議長から当時の小泉総理大臣に報告され、また同年5月、ニューヨークに おいてアナン国連事務総長に提出された、このように聞いております。以上です。

水ノ上  議員  この人間の安全保障というのは、大綱質疑の中でも定義をご説明されたわけですけれども、私はいまいちよくわからない。例えば安全保障という言葉自 体もですね、多くの専門家によれば定まったものがないと言われておりますし、時代とともに変わる、また文脈や使用者、価値観によって意味が異なるとされて ます。その上に人間のとつけば、ますますよくわからない。定義はちゃんと今おっしゃったように、あるとは、あるんでしょうけれども、それが一般的な、条文 に入るような一般的なものであるというふうに私はそういうふうに感じないわけです。
 そのことを指摘して次に進みますが、次に、同じ前文に書かれますこの地球市民である私たちという地球市民という言葉なんですが、この私た ちというのは、もちろん堺市民のことだと思いますけれども、地球市民である堺市民となるわけですが、そもそも地球市民というのは、どのようなお考えでしょ うか。これも大綱質疑でご答弁ありましたけれども、改めてお答えください。

◎ 森 人権部参事  地球市民とは、国家や地域を否定するものではなく、広く国際的視野に立ち、地球に暮らす一員として平和、人権、環境などの地球的課題に ついて、日々の生活の中で考え、自分にできる身近なことから行動していく人々のことであり、このように地球規模で考え、身近なことから行動しようとするこ とは、結局は課題解決に向けての有効な方法でございます。以上です。

水ノ上  議員  地球市民という言葉は、第3条にも使われているわけでして、第3条ではですね、堺市民は地球市民の一員として認識を持って行動し、中略、努めなけ ればならないと、こうなるわけですね。この条文を読んだ私の友人、他の市の議員ですけれども、この条例はここが一番よく目立つ、すなわち、その堺市地球市 民条例と、そのような性格を持っているんじゃないかと言うてましたけれども、私もそのような指摘というのはもっともだなと、このように思ったわけです。
 今お答えがありましたように、地球市民とは、国家や地域を否定するものではなくということでしたけれども、こういう地球市民ということに 関して国家や地域を否定した意味で使われる方もいらっしゃいます。それでこういう地球市民という、いわゆる定義が定まらない言葉を使用して、その堺市民に その認識を持てというのは、おかしいのではないかと。地球市民などという言葉がどれだけ市民に浸透しているとお考えでしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  先ほどの答弁と重なりますが、地球規模で考え、身近なことから行動しようとすることは、課題解決に向けての有効な方法でございます。例 えば地球環境保全についていえば、身近なところで植林活動を行うということは、結局は地球環境保全につながっていくなどのことは、市民にも浸透している考 えでございますので、地球的課題として平和、人権なども同様と考えております。本市としましても、条例制定の暁には、広く市民に条例趣旨の周知に努め、平 和と人権のまちづくりを図ってまいりたいと考えております。以上です。

水ノ上  議員  この今の地球市民にかかわらず、先ほどから申し上げてる戦争は最大の人権侵害である、それと人間の安全保障、大綱質疑の場でも、うちの杉本議員が 指摘をしたわけですけれども、この意味について非常に不明といいますか、なかなかわかりづらいものだと、この3つの言葉をですね、あえてこの条文に入れな くても十分この条例は通用すると思うんですね。
 この条例を見たときに、この3つの言葉をよっぽど作者は、作者といいますか、つくった人は入れたかったんだなあと、このように思うわけで すけれども、先ほど申し上げたように、ある種この言葉を使用してミスリード、ミスリードというか、誤ったメッセージを送るんではないかなと、このように懸 念するわけです。
 さて、この条例について、いろいろ理念を理解しと、こうあるわけですが、そもそもこの条例の理念とは何でしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  この条例の理念でございますが、前文の一番末尾3行ぐらいのところでまとめているつもりでございまして、すなわち平和をとうとぶ文化の 伝承者であり、地球市民である私たちは国際平和の実現と維持及び人権課題の解決のために、世界へ向かって行動し、発信するまち、国際平和人権都市・堺の実 現に努める。以上でございます。

水ノ上 議員  この理念の中に地球市民という言葉が使われていることは、ここではおいておきます。時間もございませんので、国際平和の実現と維持及び人権課題の解決のため、世界に向かって行動し、発信すると言いますが、どのようなイメージなんでしょうか、お答えください。

◎ 森 人権部参事  具体の施策につきましては、第4条事業の推進に大きく4つの事業を実施していくこととしております。1つには、平和と人権に関する意識 の向上のための教育及び啓発事業、2番目といたしましては、交流、協力及び貢献にかかわる活動並びに検証を通して平和を促進する事業、3番目といたしまし ては、人権擁護を推進する事業、4番目といたしましては、前3号に掲げるもののほか、この条例の目的の実現に資する事業でございます。
 本市は、これらの事業を通して国際平和人権都市・堺として、国際平和や人権尊重の重要性を世界に発信してまいります。この事業の推進に際しては、当然のことではありますが、公正性、透明性、さらには効率性などを配慮しながら進めてまいります。以上です。

水ノ上  議員  第4条で事業の推進が上げられているわけですが、世界じゅうにはさまざまな人権を侵害する事件、またそういう体制があります。しかし、今上げてい ただいた第4条のその事業の推進のところにはですね、内向きな政策ばっかりで、世界的に発信して行動していくような分が見受けられない。かけ声だけで、非 常に勇ましいような気がいたしますが、例えば人権擁護を推進する事業、3番の人権擁護を推進する事業とありますが、これはどういったものでしょうか。

◎ 森 人権部参事  4条の3番、人権擁護推進事業でございますが、国の人権擁護推進審議会答申、人権救済制度のあり方の中で、相談は適切な助言を通じて人 権侵害の発生や拡大を防止し、人権侵害に関する紛争の自主的解決を促進するなど、それ自体が有効な救済手段であると述べられており、本市においては、市民 からの人権にかかわる相談を受け付け、関係機関につなぐことによって解決を図る相談事業を中心とした各種施策を指すものでございます。以上でございます。

水ノ上  議員  人権擁護を推進する事業の中心が人権相談を中心にした事業というふうにとらえ、そのように感じるわけですけれども、その理念でですね、世界に向 かって行動し発信すると言うてる限りは、何かそのような思いを達成するようなですね、推進する事業、あってしかるべき。しかし、そのようには感じられな い。そのように思います。
 話は変わりますけれども、もう時間がありませんが、旧美原町では、2001年9月に美原町人権尊重のまちづくり条例が制定されております。この条例をあえてどのように評価されているのか、お答えください。

◎森 人権部参事  旧美原町の条例は、町民と町で思いやりとぬくもりのある人権がとうとばれる町の実現を図っていくためにつくられた条例であり、美原町での人権尊重の精神の普及に一定の役割を果たしたものと考えております。以上でございます。

水ノ上  議員  一定の役割ということで、それほど高く評価してないのではないかと、そういうふうに思うわけですけれども、私は、美原町人権尊重のまちづくり条例 を読ませていただいてですね、実に簡潔明瞭、人権については理念条例としては、もうこれで十分ではないかなと、このように思うわけです。
 あえて堺市の条例のように、先ほどから申し上げているような文言を使って、何かわかりにくい条例になっているよりは、すっきりとしたその人権条例を、だれにもわかりやすい言葉を使ったような人権条例が望まれるのではないかなと、このように思うわけです。
 最後にですね、るる申し上げてまいりましたけれども、堺は政令指定都市になり、今回この堺市平和と人権を尊重するまちづくり条例が制定さ れるということで、各地で注目をされております。しかし、きょう申し上げたとおり議論が十分尽くされたとは言いがたく、また文言上も不明なところが多いと 感じています。人権条例の制定は、また提案することは、僕は決して悪いことではない、積極的にすべきだと思いますが、今回の条例については将来に禍根を残 さないために、一度取り下げて整理し、改めて提案することが望ましいのではないかと、このことを指摘申し上げて私の質問とさせていただきます。長時間あり がとうございました。

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