◆水ノ上 委員 皆さん、お疲れさまです。プロジェクト堺の水ノ上です。本日は通告に従いまして2点ご質問をさせていただきます。
《全国学力・学習状況調査》
まず1点が、この4月に行われました全国学力・学習状況調査のことについてでございます。昨年の12月議会におきましてもこ
の委員会で取り上げた問題でございまして、ことしは2カ月発表が早かったのでこの議会でご質問させていただくことになりますが、昨年、ことしとそれぞれ全
国で二百二、三十万人の子どもたちがこの学力テストを受けていらっしゃる。この調査の目的はといいますと、教育委員会もご承知のとおり、全国的な義務教育
の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童・生徒の学力・学習状況を把握・分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証
し、その改善を図る。2つ目といたしまして、各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において、みずからの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、そ
の改善を図り、あわせて児童・生徒一人一人の学習改善や学習意欲の向上につなげるということが目的で、この調査が行われているわけでございます。
もとよりきょうの午前中の議論でもございましたが、この全国学力・学習状況調査の範囲は学力の特定の一部分ではございます
が、一部分を調査することによって全体を推測するという手法は往々にしてとられるものでありまして、また有効な手段だというふうにも思います。そういうこ
とから、この調査から、いろいろな2回の調査からいろんなことが見えてきている。特に大阪を中心とするこの関西、西日本は非常に学力が低いところが多いと
いう課題から、何とか学力を先ほどの目的の一つでございました義務教育の機会均等という目的を達成するために、その解決をしていく必要があるんだろうと、
このように思います。
まず最初に、昨年度の学力調査結果は堺市は非常に厳しいものでございました。その点、教育委員会も課題としてこの1年間取り組んでこられたと思いますが、まず最初に、平成20年度の学力向上の取り組み状況についてお答えいただけますでしょうか。
◎
野村 教務担当課長 今年度、教育委員会といたしましては、昨年度の調査結果も踏まえ、授業改善及び学習生活習慣の確立を最重要課題ととらえ、これまで
学校ごとの学力・学習状況を示した総合学力プロフィールの配布や学力向上推進事業重点校での取り組み、学力向上サポーターの配置などを行ってまいりまし
た。また本年度の調査結果につきましても、昨年度同様、有識者を交えた学力向上検証改善会議で具体的な改善の方策について協議いただき、各学校に発信して
まいります。
各学校においては、子どもの実態や学校の方針に基づき独自に作成した学力向上プランを実施し、検証改善サイクルに沿って取り組んでいるところでございます。以上でございます。
◆水ノ上 委員 昨年度よりご答弁いただいたとおり、学力向上の取り組みをされているわけですが、1年たたずの取り組みでしたが、今回の平成20年度の全国学力・学習状況調査の結果についてどのように分析されていますでしょうか。お答えいただけますか。
◎
野村 教務担当課長 平成20年度の全国学力・学習状況調査の結果につきましては、小学校・中学校とも国語では話すこと聞くことについてはやや改善が見
られますが、自分の考えを書く力、学習したことを活用する力については、依然課題が見られております。小学校の算数では昨年度無回答が多いことが問題とな
りましたが、今年度は大阪府と比較して改善が見られました。中学数学の活用する力についてでございますが、国語同様、依然課題があると考えております。ま
た、基本的な生活習慣、家庭学習時間、読書時間、学ぶ意欲等については、依然課題が見られております。以上でございます。
◆水ノ上
委員 ご答弁ありがとうございました。皆さんよくご存じだと思いますけれども、大阪府下の状況についてここで確認をしときたいと思うんですが、大阪の小
学校の国語、47都道府県のうち45位と、昨年度も45位でございました。算数は少し改善されて38位、昨年が45位ですから改善された。その結果、総合
では昨年の45位から41位へと改善されております。中学校では国語が45位と昨年度と同様、数学も44位、昨年45位ですからほとんど変わらずで、総合
が45位でございました。
堺市は平均回答率等を公表しておりませんので、その中でどのぐらいのレベルかわかりませんけれども、この大阪の状況をかんがみて、大阪府全体の平均正答率と比較してどうか、また全国平均と比べてどうかについてお答えいただけますでしょうか。
◎
野村 教務担当課長 平成20年度の全国学力・学習状況調査におきましては、小・中学校とも全国平均の正答率と比較しますと以前厳しい状況ではありま
す。大阪府全体との比較においては、本市の小学校全体の国語と算数の平均正答率の合計が、大阪府全体の平均を若干上回りました。また中学校におきまして
は、国語、数学の平均正答率の合計と大阪府の平均正答率との差は昨年度より少なくなりました。以上でございます。
◆水ノ上 委員 全体的に見まして、小学校の方はやや改善されて、中学校もそうなんですが、より小学校の方が改善されつつあるという感じはいたしますが、今のご答弁にございましたとおり、数値で示せない分、やはりあいまいな表現に終始しているような感じがいたします。
平成19年、平成20年の結果を見ましてですね、大阪が昨年同様低迷している中での比較ということは、堺もそれほど全国的に改善されてい
るわけではないということがわかるわけでございますが、平成19年、平成20年の結果を受けまして、特に国語、算数、数学でこういう結果が出たわけでござ
いますが、どのような特色のある取り組みについて、今やられていること、また今後立ててることについて取り組みをされるかについてお答えいただけますで
しょうか。
◎野村 教務担当課長 まず特色のある取り組みとしましては、これまで堺スタンダードである朝の読書活動を行うとともに、日本語の美しさを感じ国語に親しむ児童・生徒の育成に向けて詩の暗唱や百人一首の大会などを実施してまいりました。
今後、新学習指導要領の趣旨に基づき、言語活動、理数教育、伝統や文化に関する教育の充実を図るため、各学校の方針に基づいて図書を紹介
するブックトークや算数、数学における算数新聞づくりといった子どもの実態や地域の特色を生かした取り組みを学力向上プランというものに位置づけて取り組
んでまいります。以上でございます。
◆水ノ上
委員 結果を見ますと、算数、数学もそうなんですが、大阪府全体は国語の成績が非常に悪いというふうに思います。国語、特に日本語というのは、すべての
知的活動の基盤でございまして、これがおろそかになる、また学力が低いということになれば、すべての科目に影響が出てくるだろう。そういう意味で先ほどご
答弁いただいたとおり、個々に対する取り組みもされているんですけれども、ここで一つ皆様方にご紹介したいことがございます。
国語の取り組みということで、日本語の取り組みといいますか、世田谷区のことをちょっとお話ししたいんですが、世田谷区では平成16年に
「日本語」教育特区というのを申請いたしまして、現在、昨年の4月から小学校で週1回、中学校で週2回、日本語という授業をしております。これが教科書な
んですけれども、教科書を取り寄せて私はこの中を見ましたらですね、非常にレベルの高い国語、日本語教育をされている。一例を申し上げますと、小学校1年
生から杜甫の漢詩が出てきたり、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」とか、小学校1年生でこの詩出てるんですね。また1年生から6年生まで論語が出ておりまして、
例えば小学校1年生で、「子曰く、学びて時にこれを習う、また説ばしからずや、朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」というような教科書をつくって、
この意味はともかく、いい日本語に出会おう、日本語に親しもうという観点から、こういう教科書をつくっています。小学校1年生でこのレベルですから、小学
校5年生、6年生になったら非常に高いレベル、私はこれを取り寄せて、こういうすばらしい教育もあるんだな、特に大阪は国語の力が弱いということであれ
ば、今は特区申請というのは多くは英語になりがちなんですけれども、そうではなくて、もう一度日本語、国語を見直そう、もう一度勉強し直そうということか
ら、こういう取り組みをされているのがあります。
先日、8月22日の日経新聞にも載っておりましたが、現在の小学校の教員は国語の教科書に満足しているのは5割に届かないというふうな記
事がございました。5割以上が今の教科書は中身が薄いとか少ないとか、そういう意見がございます。そういうことから、現場の国語に限らず教員の方々は、国
語に対する非常に不安といいますか、これで学力上がるんだろうかという不安を持っているそうです。そういうところから、今、皆様方も国語に対して危機感を
持って取り組みされているんでしょうけれども、もう一歩踏み込んで、こういう教科書、後で教育長、お渡ししますんでね、これぜひお読みいただいて、私もこ
れ、3冊ありますけれども、余りいいんで、ほかにも、うち子ども3人おりますので3人分買って、家でこれ読ませているんですけれども、ぜひこれお読みいた
だいて、こういうことも取り組みをしているところがあるんだということを参考にしていただきたい。この世田谷区というのは、「美しい日本語を世田谷の学校
から」ということを掲げて頑張っています。世田谷の評判、宣伝ばっかりするわけじゃないですけれども、いいところはまねるべきだと思いますので、ご参考に
いただきたいと思います。
少し横道にそれましたが、全国学力・学習状況調査のことに戻りますが、最後に大きな問題がございます。それは午前中にも議論がございまし
たとおり、この結果を公表するのか否かということです。大阪府知事が公表を強く要請しているということもあります。こういう状況をきょうの午前中の質問で
もございましたが、重複するかもわかりませんが、市教委としてはどのようにとらえておられるのかお答えいただけますでしょうか。
◎
野村 教務担当課長 これまで公開してきた情報の中に、本市平均正答率の数値を取り入れるかにつきましては、保護者、市民等の協働による教育の充実と序
列化や過度な競争へのおそれという両面におきまして、多様な視点から検証し、公表のあり方を含め、堺市教育委員会として主体的に判断してまいりたいと考え
ております。以上でございます。
◆水ノ上
委員 堺市の成績のこと、先ほど申し上げましたけれども、目的の1番に義務教育の機会均等ということがございました。そういう面で、例えば小学校1位、
中学校でも2位の秋田県を例にとりますと、秋田県の全市町村は全国の平均を上回っているそうです。大阪府の全市町村、結果出ておりませんが、もし出したと
したら、多くの市町村が全国平均を下回っているだろう、そういう中でそこからどうやって教育の機会の均等を図っていくのか、大きな問題だと思います。特に
学力テストを見ますと、昨年もことしも国語も算数も小学生、中学生とも40位を下回っているのが3つありまして、北海道、沖縄、大阪がそうなんですが、特
にこの3つの地域が学力的に、結果としてですね、非常におくれているような気がいたします。そういうところから、今後、来年、再来年と、こういう学力調査
が続くわけですが、教育委員会として何とか学力の向上をめざしていただきたいと思います。せめて全国平均を達成するぐらいの学力を子どもたちにつけさすこ
とが、皆様に課せられた責任ではないかなと、このように思います。
結果を公表するか否かにつきましては、公表すること自体が目的ではなくて、公表することによって子どもたちによい影響が出るのかどうか、
子どもたちだけではなくて、教師も含めて、それに向かうモチベーションが上がるのかどうか、そういうことも含めてお考えいただく必要があると思いますが、
私はこういう情報は積極的に開示すべきだと。もし皆さん、例えば堺の子どもたちの成績が、学力調査の成績が全国トップレベルといたしましたら、恐らく皆さ
んは自信に満ちあふれて、ほかの教育行政もスムーズに進むんであろうと思います。しかし現在は非常に日本の中でも大阪の一部として非常に低いレベルにあ
る、こういうところから、学力に対して自信を持つことができないとすれば、ほかの教育行政にもいろんな影響が出てくるだろう、それは子どもたちにも大きな
影響が出てくるだろう、自信に満ちあふれた行政を行うのか、そうではないのか、大きな違いが出てくると思います。
そういうところが、こういう学力調査は避けては通れない以上、積極的にこれを利用する必要がある。来年も4月にあるわけで、今の5年生、
中学2年生がこのテストを受けます。皆さんにとってはあと何年後、あと5年後、10年後で全国レベルになればいいかなというもしお考えがあったとしたら、
それは大きな間違いで、子どもたちはもうその年、その年が勝負ですから、ことし、来年受ける子がぜひとも全国レベルに達するような、これから教育をする必
要があるのではないか。そうなれば、やればできるんだという自信からほかの方にもいろいろいい影響が出てくると思います。そういう意味で、この9月の18
日でしたか、教育委員会の定例会があるということで、そこで結果の公表が協議されるということでございましたが、あわせてですね、来年の学力調査において
堺市の子どもたちが全国レベルに達するようにするにはどうしたらいいかということも含めて、十分ご協議いただければと思いますので、よろしくお願いをいた
します。以上、1番目の質問を終わります。
《着衣泳》
2つ目の質問ですが、これは防災教育という観点から、その中で着衣泳、服を着たままの水泳についてご質問したいと思っています。
これを質問するに至ったのはですね、ことし7月28日に神戸市の都賀川で増水が、ゲリラ豪雨があって増水をして、小学生を含む5人が亡く
なりました。その増水の中で、その川に流されたんですが、着衣泳を学校で習っていた生徒がリュックを浮力にして助かったという記事が出ていました。神戸市
では95年ごろから多くの小学校が水泳の授業に着衣水泳を導入して、そういう結果がこういう人命を救ったということでございます。そういうところから、堺
では一体着衣泳についてどのぐらい普及して指導されているのかということをご質問したいというふうに思っていますが、まず最初に子どもの水難事故の現状に
ついてお答えいただけますでしょうか。
◎岩本 生徒指導担当課長 警察庁が発表した平成19年中における水難の概況では、平成19年6月から8月までの3カ月間で、全国における中学生以下の子どもの水難事故は192件発生しており、うち52名の死亡が報告されております。以上でございます。
◆水ノ上 委員 そうしましたら、平成20年度のこの夏の間の数字は出ていないということですね。平成19年中の数字をご紹介いただきましたが、本市における水難事故の状況についてはいかがでしょうか。
◎岩本 生徒指導担当課長 本市におきまして中学生以下の子どもの水難事故につきましては、平成16、17年度に小学生の水難事故が1件ずつ発生しております。しかし平成18年度以降は発生しておりません。以上でございます。
◆水ノ上
委員 毎年こういう水難事故が起こっておりまして、我が市ではここ2年間はないんですが、毎年水難事故が起こっています。そのたびに心を痛めるわけでご
ざいますが、その一つの予防といいますか、命を助ける方法として着衣水泳、着衣泳というのがございます。着衣泳につきまして、我が市の取り組みの現状につ
いてお答えいただけますでしょうか
◎
岩本 生徒指導担当課長 着衣泳あるいは着衣水泳といいますが、それについて学習指導要領には記載されてはおりません。しかし、小学校5、6年生及び中
学校の学習指導要領解説におきまして、着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方については、各学校の実態に応じて取り扱うことができると記されております。
本市における本年度の着衣水泳の指導状況につきましては、小学校では73校が実施しております。一方、中学校では未実施となっております。実施しておりま
す小学校では、プール内に衣服や靴を着用した状態で入水し、無理に泳がずに空気の入ったペットボトルや衣服等を利用して浮き、救助を待つ等の指導を行って
おります。以上でございます。
◆水ノ上
委員 夏休みの終わりの方でしたか、浜寺小学校の方でPTA等の方々と指導でですね、着衣水泳しました。そのときは海上保安庁の方とか消防局の方とか来
ていただきましてやったんですが、こういうプールで服を着て浮かぶ練習をしているわけですね。最初は服を着て水に入ったら、今までと違いますから服がまと
わりついて動きづらいんですが、なれてくればだれでもが浮かぶようになると。浮かぶことが自分の命を助けることになるわけでございます。着衣水泳について
はいろいろ効果があると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
◎
岩本 生徒指導担当課長 衣服を着用した状態で水中に落ちた場合、焦りやパニックにより早く泳ごうとすればするほど、ぬれた衣服が体にまとわりつき腕や
足などの疲労を早め、冷静な判断力や身体的調整力を失いおぼれることがございます。着衣水泳を実施することで、実際に体験することで、水の怖さを理解し、
落ちついて対応することなど、自分の命を守る技術と知識を学ぶことができると考えております。以上でございます。
◆水ノ上
委員 先ほどもご答弁にもありましたとおり、堺では73校の小学校が着衣泳をしていた、94校の小学校のうち73校、非常に高い割合でしてもらっている
わけですが、ただその指導方法はまちまちというふうに聞いております。そういうことから、一定のマニュアルとか、そういうものに基づいた指導が必要となっ
てくると思うんですが、今後の取り組みについてどういうふうにお考えでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
◎岩本 生徒指導担当課長 着衣水泳の体験は水難事故から身を守るために非常に必要な取り組みであると考えております。今後、よりよい指導方法を検討し、体育の授業等での実践が広がるように努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆水ノ上
委員 着衣泳につきましては、着衣泳研究会というのがあるそうで、それは唯一全国的に活動を行っている研究会があるそうです。そこが出しているマニュア
ルというのは非常によくできているらしくて、そういうのを活用して均一的な指導を行っていただきたい、このように思います。94校中73校でしたが、あと
21校そういう指導はなされてないということですので、命にかかわることですから、一度経験しておくのと、しないのとでは大きな違いがございますので、全
校実施していただくようにお願いしたいと思います。
さらにですね、よく水難事故で子どもがおぼれていて、大人が飛び込んで助けにいったけれども、子どもは助かって大人が亡くなる事故が多く
あります。その原因は子どもは小学校で着衣泳を習ってるから浮かんでいるんですが、その経験のない大人が飛び込んだら大人の方が経験がないものですから慌
てて溺死してしまう、そういうことが多いらしい。着衣泳研究会によりますと、日ごろから訓練していなければ、足の届かない深い水に入って、人の救助という
のは絶対に無理だそうです。ですから、そういうこともかんがみて、ついつい自分の子どもがもしおぼれておれば飛び込んで助けようと思いますけれども、それ
は経験がなければ自殺行為に等しいということですので、できれば小学校のうち親子でそういう着衣泳をする機会もつくっていただくことが必要かなと思いま
す。水難事故は毎年夏のときに出てきますが、一人でも子どもたちの命、またそれにかかわる方々の命を守るためにも、積極的に実施していただきたいと思いま
す。
以上で私のきょうの質問を終わります。ありがとうございました。
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