「令和元年執行堺市長選挙における公職選挙法違反事件について」
1,令和元年9月4日本会議による指摘 令和元年6月9日投票の堺市長選挙において野村候補の陣営から法定外文書頒布の事前運動により公職選挙法違反に問われた事件で米谷元市議及び山根元市議が書類送検をされた。 前代未聞の事件で堺市議会の信頼を著しく失墜させた事件でした。 当時私は、お二人は書類送検されており、刑事処分はまだ出ていないが、検察の調査を待って、その後の推移を見守るということで終わっています。 しかしこの事件はその後意外な方向に進展しました。略式起訴された山根元市議は自分は身代わりだったと一転無罪を主張し正式裁判を起こし、その結果4月15日の裁判で無罪の判決が出ました。 このことは新聞各社でも取り上げられ、また 5月27日発売(6月3日号)の週刊新潮にはこの事件に関連して暴露記事が掲載され、全国的にも注目されています。この記事を初めて見た方にはショッキングな内容だったと思いますが、ほぼ判決や公判廷での供述に基づいて書かれており傍聴していた私にとっては特に違和感があるものではありませんでした。内容は後ほど紹介します。 事件は堺市長選挙という堺市民にとって最も重要な選挙で行われたものであり、選挙には多くの議員とりわけ多くの堺市議会議員が関連しています。 堺市議会へも市民の方から数多く意見が寄せられ関心も非常に高く、ご意見の多くが堺市議会で真相を究明してくれという内容です。 私は令和元年9月議会でこの問題を取り上げ、山根元市議がこの事件に関して起こした裁判を何度となく傍聴し、4月15日の判決も傍聴したことから、市民の皆さんの疑問を受けて、堺市議会の名誉回復の為にも今回本会議でこの事件を取り上げたいと思います。 2、事件の概要 まず、事件の概要ですが、堺市長選告示日(令和元年5月26日)直前に法定外文書を野村候補の出身高校である泉陽高校卒業生約11000人に選挙の支援を目的に頒布したというもので、有権者の手元には5月24日から25日に到着しています。 まず、野村文書とはどのようなものか? 今回も全文読み上げます。 これが公職選挙法違反に当たることは明らか。この文書が法定外文書に当たらないとする政治家はおそらくいないだろうと思います。あえて選挙管理委員会に聞くまでもない違反文書です。 どの選挙か特定され、候補者も特定され、投票依頼とはいかないまでも支援依頼を行っています。 さて、事件の経過と内容ですが、 ・堺市の有権者は約69万人で、その内11000人、なんと有権者の1.6%に法定外文書が頒布された。 ・野村候補の市長選出馬表明は5月16日で、翌日に新聞テレビで取り上げられ、5月26日の告示日直前に到着するように郵送されています。 ・法定外文書には野村候補の自筆署名が印刷されています。自筆であることは野村候補も認めている。自筆のサインは印刷より好印象を与える。 ・同封されたチーム堺のチラシ。野村候補の顔写真入りでこのチラシは違反チラシではないが法定外文書と共に封入することにより市長選出馬の印象が刷り込まれる。 ・郵送に使用された封筒ですが、泉陽高校出身と印字されています。この封筒は法定外文書を送る目的のためだけに作られた封筒で他に汎用できません。同窓生の目に留まりやすくし、すぐに開封させる効果を狙ったものでしょう。計画性が非常に高いものです。 ・これらを考えたのは誰なのか、複数の人間なのか分からないが、実によく考えられたまさに知能犯と言ってよいのではないか。 物量的な感覚 ・封筒11000通は1000通入りの箱が11箱。 ・市政報告11000枚は、これは積み上げれば1メートル以上になる。 ・11000人分の郵送の為のタックシールの作成。これも相当の量になりますが、このタックシールは渕上議員が自腹で用意したことは証言から明らかになっています。 全てを合わせれば相当な分量になります。 後ほど紹介する判決では、起訴事実の行為そのもの、つまり法定外文書の頒布行為、立候補届け出前の選挙運動にあたる行為が野村陣営にあったことは認定されています。 Q、ここで選挙管理委員会にお聞きしますが、 また事前運動及び法定外文書の頒布における罰則はどのようなものかも併せてお答えください。 これでいったん降壇いたします。 A、選挙管理委員会事務局長答弁 公職選挙法第129条において、選挙運動の始期が、立候補届出の日とされており、立候補届け出前の選挙運動をいわゆる事前運動として、禁止しているもの。 禁止の趣旨は、選挙期間中であるか否かを問わず常時選挙運動が行われることによる選挙運動費用の増加を避け、常時の選挙運動の規制困難による不正行為の発生を抑えることにあるとされている。 法第129条の規定に違反して選挙運動(事前運動)をした者への罰則は、法第239条第1項第1号により1年以下の禁固又は30万円以下の罰金、また選挙運動のために頒布できる文書を規定した法第142条に違反して文書を頒布した者は、法第243条第1項第3号により2年以下の禁固又は50万円以下の罰金に処せられます。 また法第252条の規定により、禁固以上の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から刑の執行を終わるまでの間及びその後5年間、罰金刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から5年間選挙権、被選挙権が停止されます。以上です。
3,米谷元市議、山根元市議は書類送検後どのような処分がされたか。 当初書類送検された米谷元市議、山根元市議はどのような処分となったか。 米谷元市議は起訴猶予となり不起訴処分。 しかし、11月11日に無罪を主張して正式裁判を請求。 令和3年4月15日山根元市議の主張が認められ無罪判決となった。 それでは一体誰が犯人だったのか?と誰もが疑問に思う。 私は山根元市議の裁判にはできる限り傍聴に行っており、裁判を傍聴して明らかになったことを申し上げる。 ①
起訴事実の要旨 この法定外文書の送付は、山根元市議が、渕上議員が1万人以上の泉陽高校の名簿を持っているのを知っていたことにより山根元市議が計画する。渕上議員に11000人分のタックシールを依頼する。野村候補の自筆サインを入手し、法定外文書は山根元市議自ら作成した。印刷会社に法定外文書と泉陽高校出身の記載のある封筒の印刷を依頼。米谷元議員に郵送の手続きを指示したというもの。 ②
裁判所による公職選挙法違反の認定 つまり、起訴事実の行為そのもの、つまり法定外文書の頒布行為、事前運動にあたる行為が野村陣営に ③
山根元市議の主張 米谷元市議と共謀していない。渕上議員に泉陽高校卒業生名簿からタックシールの作成を依頼していない。印刷会社に法定外文書や封筒などの発注を依頼していない。というもの。 ④
裁判所の判断 米谷元市議の「山根元市議から発送について指示を受けたする」公判供述の信用性には疑問がある。とし 印刷業者の「山根元市議から文書の印刷を依頼されたとする」公判供述の信用性には疑問がある。とし 渕上議員の「山根元市議から印刷の依頼を受けたとする」公判供述の信用性は低い。とした。 一方、渕上議員、印刷会社社長への印刷依頼、米谷元市議への発送支持を否定する山根元市議の公判供述は排斥しがたいと述べられた。 このようなことから、公訴事実について犯罪の証明がないため山根元市議は無罪となった。 山根氏が無罪になることによって、公選法違反という犯罪は確かに行われたが、誰が行ったか分からない状況となっている。 山根元市議の無罪によりこの事件が終わったわけではない。振り出しに戻ったのだ。 5、なぜ山根元市議は翻意して無罪を主張したか。 それでは、当初は山根元市議は自分がやったと自白していたにもかかわらず、なぜ翻意して無罪を主張するようになったのか?誰もが知りたいところだと思う。 まず、なぜ虚偽の自白をしたのか?ですが、 「捜査段階で嘘の自白をしたのは、本件選挙を担っていた者のほとんどが現職の議員であり、同人らが また虚偽の自白をした動機として つまり それがなぜ翻意し無罪を主張して正式裁判を求めたのか。 これも判決より明らかになったのは それではその要望事項とは何だったのか? 6、真犯人像は? さてそれでは犯人像は?ということになる。 それでは誰が関わっていたのか。山根元市議は誰がやったのか分からないとしつつも、複数の現職議員(国会議員、府議会議員、市議会議員)が関わっていたことが判決から読み取れる。 何らかの関わりのある現職の議員たちとは誰か? 当時の野村選対組織 本部長代行は岡下衆議院議員他2名、副本部長として大阪府議会議員、堺市議会議員計5名、 野村選対組織 組織図は証拠資料として提出されている。 事実、判決によれば5月21日の選対全体会議で発送の協力要請がなされています。これも週刊新潮にも同意文が掲載されていますが (判決より山根元市議の証言として)5月21日の選対本部の会議で、広報制作物担当の渕上議員から、泉陽高校の卒業生に向けてダイレクトメールを発送するが、その作業が膨大で人手が要るので協力してほしい旨の議題が提出され、議長であった岡下衆議院議員からも、自分もその文書を発送することは了解している、手伝ってくれるかたを募るので、よろしくお願いしますという要請がされた。というもの。 その結果、山口議員などが協力を買って出て20人程度が集まり封詰め作業は1日半で終了した。そして複数人が郵便局に持ち込む。との証言があった。 〇 6月16日の集会も公判上明らかになった。 6月9日が投票日でしたが 判決によれば、6月16日深夜に選対本部の関係者が池尻事務所に集まり、山根元市議が本件の経緯や取り調べ時の供述等について、捜査段階の供述に沿う説明をした後、これを受けて、米谷元市議が「山根氏が罪をかぶろうとしている旨やその山根氏の気持ちを酌んでやって欲しい」などと発言している。 6月16日深夜11時に池尻事務所で行われた報告会の出席者は裁判で明らかにされたのは 米谷元市議以外にも山口議員の発言があり、山根元市議が音声テープを残しており、反訳書が裁判の弁護人から証拠として提出されている。 判決を聞いた感想 裁判では山根元市議は無罪、これは良く理解できる。 あとは市議会等で政治的にけじめをつけろと言われている気がする。 〇 渕上議員への疑問 また、これまで渕上議員の名は何度となく出てきたが渕上議員への疑問がある。 ①
11000人分のタックシールは山根氏から依頼されたと証言していたが、判決では信用性が低いと一蹴された。山根元市議から依頼されていないとすれば誰から依頼されたのか? ②
11000名分のタックシールを印刷し5月20日か21日に選挙事務所に届けた、作成費用は自腹だったと証言しているが、なぜ依頼者や選対に請求しなかったのか? ③
渕上文書というものがあると聞く。問題となっている法定外文書と酷似した野村候補支援の文書のことで、同時期の告示日直前に渕上議員の後援者に郵送で送られている。その文書は全文が渕上議員の手書きの文書だと聞いている。この文書も弁護側の証拠資料として提出されています。 いずれ閲覧できるだろうが、酷似しているとすれば、その文書も法定外文書の可能性があり、酷似している理由と共に渕上文書は真相究明にとって重要なものになるのではないか。 7、池尻議長への要望 ここまで話して池尻議長に尋ねたかったのだが、昨日、今日の議論はぜひ聞いていただきたい、最後に議長にこの事件の解決に向けて意思確認の質問を一問する旨の通告をしたが、残念ながら理由はわからないが池尻議長は議長席に座っていない。 池尻議長がこの事件とどのように関わっていたのか分からないが選対事務局長として事件の全貌を知る立場にあったことは間違いない。 実は私は永藤選対の事務局長をしていた。同じ事務局長として考えた時、1週間で11000通の法定外文書を作成し送付するという大きなミッションが行われた場合、事務局長として私が全く関与せずに完遂することができるだろうかと考えた? 100%無理だ。いや選対組織の担当者ならば全員が知っていて当然で、知らない方がおかしい。 多くの堺市民が疑問に思っており、選挙の公平性を担保するために、また今後このような選挙違反行為が行われないためにも真相を明らかにしてほしいと願っている。当時選対事務局長だった池尻議員がまさにこの事件が顕在化した時に堺市議会議長に就任したというのは因果があるのだろう。 池尻議長は議会の先頭に立って真相を明らかにすべきと考えるが、池尻議長のご所見をお伺いしたい。 池田副議長より答弁をいただくわけにはいかないので、池田副議長から十分その意をお伝えいただきたいと思う。 この事件はまだ入り口であり、これから公判資料など様々な資料が出てくると思います。 今日の議論は判決文や公判での証言、提出された資料等を中心に行いました。特に判決文が重要です。 判決文は裁判例速報ですでにネットで公開されていますが、個人名はABC・・・とすべて伏されているため、公判に傍聴に行っていた者でないと読みづらいものです。 この点についても池田副議長から池尻議長へしっかりとお伝えいただきたいと思います。 堺市議会の自浄作用が問われています。 堺市議会の信頼を取り戻すためにも今後真相が明らかにされることを期待してこの質問を終わります |
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