◆水ノ上成彰 委員 お疲れさまです。水ノ上成彰です。 私から、令和4年各会計決算について、討論を申し上げます。 私は令和4年度決算に関して、大綱質疑及び今日の総括質疑におきまして、南海トラフ巨大地震、仁徳天皇陵の世界への発信を取り上げました。 また、決算分科会におきましては、商店街振興、また堺茶の湯まちづくり事業などを取り上げました。 まず、南海トラフ巨大地震についてですが、今日も議論いたしましたけれども、40年以内にマグニチュード9クラスの地震が発生する確率は90%、30年以内は70から80%と甚大な被害が予想されます。想定死者数は、堺市では、堺区約3,600人、西区約2,400人、合計6,000人となっております。犠牲になると予想されたのは、逃げ遅れた方で、防災対策費としては約3億5,000万円ほど計上されておりますけれども、逃げ遅れた方の命を守る直接的な取組は、個別避難計画のみと僅かです。6,000人の命を守る令和4年度予算・決算であったとは言えない。地震発生から津波到達まで約100分ありますので、逃げ遅れる可能性のある人を絞り込み、リスト化し、数千人の個別避難計画をつくれば助かる命は多くあると思います。また垂直避難の1つとして、避難タワーの有用性も考慮いただき、前向きに御検討いただきたいというふうに思います。令和6年度予算は6,000人の命を守る予算となるよう強く要望をしておきます。 次に、百舌鳥古墳群の世界への発信についてです。仁徳天皇陵は世界最大であることは何度も申し上げてまいりました。しかし、堺市のホームページなどの発信では、世界の発信では、世界三大墳墓の1つとか、世界最大級、また日本最大の前方後円墳など、どこか自信なさげな表現が多いと思います。 それが百舌鳥古墳群ビジターセンターの展示にも反映されており、先ほど申し上げたとおり、物足りなさがあります。またシアター映像も魅力の一部を見せているにすぎないと感じております。仁徳天皇陵は日本を代表する世界遺産であり、日本を代表して世界に発信する気概を持って行っているとは感じない。1600年前、国家の威信をかけて造った建造物である以上、現在を生きる我々も、国家の威信をかけた発信内容であるべきだというふうに考えております。 ビジターセンターは、規模は小さいですが、展示が堂々としていれば、来館者に魅力を強く訴えることは可能だと思います。高層館21階にも、説明する展示物がありますけれども、そちらのほうがよほど大きく分かりやすく、堂々としていると思います。そういうところから、ビジターセンターの展示は抜本的に見直すべきだと言っておきます。 また、シアターも古墳群の魅力の一部を見せているにすぎず、知的好奇心を満足させるものとはなっておりません。ぜひとも第2弾を検討して、併せて世界に発信していただきたいと思います。 仁徳天皇陵の西隣には大阪女子大跡地があります。これは、百舌鳥・古市古墳群ガイダンス施設建設のために、10億円の取得費、解体3億5,000万、合計13億5,000万かけて取得をいたしました。15メートルの展望台を擁するガイダンス施設を造る予定でした。 気球が、再開のめどが立たない。今、同じ場所に大阪・関西万博で、現在350億円をかけて、世界最大級の木造建築として、大屋根(リング)が建築されておりますけれども、大阪・関西万博が閉幕した後は、その一部を移設して、ガイダンス施設を造る予定だった同じ場所に、展望デッキを建設し、国内外の方々に見ていただく。ここは環境を考慮して木製にこだわる必要があると思います。そして、移設ですから費用もかなり軽減できるというふうに思います。同地には堺ミュージアム構想はありますけれども、これは相反するものではありません。共存できるものです。ぜひとも今後、堺ミュージアム構想とともに、この木造のデッキの検討をしていただきたい。ビジターセンターから拝所、そして女子大跡地の展望デッキまで1つの流れをつくることは非常に重要だというふうに思います。日本を代表して、世界に日本の誇りを発信する、その気概を持って取り組んでいただくことを要望しておきます。 さて次に、私は分科会で堺茶の湯まちづくり事業について取り上げました。市長の所信表明では、堺は千利休が生まれた地であります。現在の日本人の精神性や美意識にもつながる、茶の湯文化を広め、堺の魅力を高めますとされておりました。堺茶の湯まちづくり条例による冠事業である堺茶の湯まちづくり事業は、予算は実は令和4年度39万円。決算額は約17万円と非常に僅か。この内容を聞きましたところ、毎年本庁と、2つの区役所でおもてなし茶会をしているということです。それで17万円の決算額でしたけれども、せめて毎年本庁と全ての区役所6つの区役所で、おもてなし茶会を開催することをそのとき要望しましたけれども、しかし私はねこの予算でも、やり方によっては、茶の湯文化を広める方法あるというふうに思っています。それは市長自ら和服を着て、本庁で行う年1回の茶会に、自らお茶をたてて、市民におもてなしをする。そういうことが毎年繰り返し行われれば、市民の方も身近になるし、市長にも身近になるし、お茶にも身近になる。江戸時代の大名は自らお茶のお点前をされた方が少なくないと聞いています。ですから、トップである市長がお点前をして、市民におもてなししてもいいわけです。また各役所では、各区長がお茶をたてる。区役所では、おもてなし茶会するわけですから、区長自らする。その姿が話題となり、関心が広まります。堺市のイメージアップにもつながりますし、お茶の普及にも大きな効果があるというふうに思います。先ほど申し上げた市長の所信表明では茶の湯文化を広め、堺の魅力を高めますと言われている以上、ぜひ市長自ら率先垂範して、茶の湯を市民に振る舞うよう、要望しておきたいと思います。 さて、分科会では時間的に制限などがあり、議論できませんでしたけれども、長年莫大な市費を投入しているにもかかわらず、期待どおり、または当初の予定どおり結果を出していない2つの事業について意見を申し上げたいというふうに思っております。 まず1つが、フェニーチェ堺です。フェニーチェ堺は、総建設費約150億円の巨費で建設され、令和元年より開業されています。御覧いただきましたら分かりますように、当初の予定では、指定管理料4億2,000万円。利用者数は年間47万8,000人を予定していました。しかし、令和元年度は竹山前市長がすごい気合い入れて予算を9億円、指定管理料の予定予算は9億円でした。しかし、途中でコロナがあったので7億6,500万円になりましたけれども、ここ令和元年は、僅か9か月ですが、20万5,000人余りの利用者、令和2年は、指定管理料が4億8,100万円に対して、利用者数は10万7,200人。令和3年度は4億8,500万の指定管理料で、利用者数は19万7,000人余り。令和4年度、この決算では5億3,100万円の指定管理料が払われ、その結果、利用者数は28万1,000人となりました。 参考に旧市民会館は指定管理料は1億1,200万、これは平成25年度の実績ですけども1億1,200万に対して利用者数は約30万人ということです。 さて、コロナの影響があったとしても、いまだに集客数が旧市民会館を超えない状況です。指定管理料は約4倍、この4年間の指定管理料だけで、実に22億6,200万円が支払われていることになります。コロナという理由はあったにしても、集客数が減っても、固定費のように指定管理料は下がらない。 また、一番下に書いてあるように、当時ですね、このフェニーチェ堺ができれば、年間経済波及効果は23億9,200万と言われてました、約24億円。月々2億円の経済波及効果があると、当時竹山前市長や笠谷局長などが真剣にそう言ってた。しかし、目標が47万8,000人を到達しない、10万人そこそこでは、経済波及効果は感じられない。こういう状況なんですね。 堺東からフェニーチェ堺の町並みはほとんど変わっていません。にぎわいは感じられない。当時フェニーチェ堺の建設費を根拠に予算に反対しましたが、コロナの影響があるとしても、今のところ、目標は達成しておらず大失敗と、大失敗と言っても良いのではないか。 今回指定管理者が公募されて、堺市文化振興財団を主とするフェニーチェ堺協同組合が選定されました。詳細は常任委員会で議論するとして、これから注目するのは、コロナ後、指定管理料4億2,000万円で、47万8,000人の集客を達成できるか。あの利用者数には、レストランのポンテベッキオ約2万人も含まれておりますので、それを除いても46万人ぐらいは、ファンに来てもらいたいというふうに思っています。 竹山前市長の置き土産としての負の遺産にならないように、今後の永藤市長のリーダーシップに大いに期待したいというふうに思っております。 続きましてもう1点、阪堺電車。 私の事務所は阪堺線に隣接しておりまして、チンチン電車、毎日チンチン電車の音を聞き、振動を体感しておりますから、特に愛着があります。阪堺電車は、平成22年から補助が始まり、令和4年度の堺市補助額は9,173万1,000円でした。平成22年から令和4年までの堺市の補助合計は、ここにあるように43億3,000万円、国費の補助は9億6,000万円、12年間で合計52億8,000万円が阪堺線の存続のために投入をされております。莫大な投資がされているわけです。 それに対して、阪堺電気軌道の事業収支は、上の赤いのが、これは営業費用、下の青いのが営業収益、営業収益の方は絶えず下、ずっと赤字です。その差額を下のグラフ、棒グラフにしております。これが赤字の額、14年間で、実に営業損失は36億円に上ります。これだけの補助をしてきました。 その結果、利用者はどれだけ増えたかといいますと、これは1日平均の利用者数ですけれども、大体2万人から2万2,000人ぐらいを推移しておりましたが、コロナで1万6,000へがくっと落ちて、そこから若干盛り返しておりますがなかなか盛り返せない、2万人にも達せない、今の状況でございます。コロナで激減し、今、少し持ち直したけれども今後も厳しい状況が続くと予想されます。 私はこういうことを鑑みて、もう再三、沿線沿いの街のにぎわいがなければ利用者が増えることはない。利用者を増やすためにはまちづくりが大切だと言ってきましたけれども、なかなかそれが達成していないと、フェニーチェ堺の件と同じくまちづくりに課題があるというふうに思っています。 私はフェニーチェ堺と阪堺線はよく似てると思っています。莫大な市費を投入するも、集客・乗客は伸びず、街のにぎわいにつながっていない。さらに、市費が投入され続ける。フェニーチェ堺と阪堺線は、堺市の二大アキレス腱と呼んでもいいのではないかと思います。 永藤市長には、任期内に、ぜひこの状況を好転させていただいて、にぎわいのあるまちづくりを、成功していただきたいというふうに思っております。 以上今回の決算に当たり、議論したこと、そして最後に特に意見を申し上げたいことを申し上げました。いずれも善処いただき、令和6年度予算に積極的に反映いただきたいことを要望し、令和4年度各会計決算の認定に同意することを申し上げて、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。 |
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