◆水ノ上成彰 委員 皆さん、お疲れさまです。水ノ上成彰です。 人口減少対策調査特別委員会の質問ということで、人口減少社会はもうずっと始まってとどまることがない。その原因が少子化にあるというのも多くの方が御納得いただけると思います。少子化が既定路線ではなくて、そして改めるのではなくて、少子化を防ぎ出生数を増やし人口増加する社会をどうしてつくっていくのか、そういう観点から、若干今日は調査特別委員会ということで問題提起的な質問になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。 まず堺市の人口の推移出しましたけど、その前に、日本の出生数は先ほど話ありました。令和4年度は2022年が77万人、また令和5年が2023年が72.6万人と4万4,000人減ってる、全国でね。それで50年前、1973年の人口、出生数は幾らかといいますと、210万人ありました。今の令和5年度が72.6万人ですから、今はもう50年前の3分の1の出生数になっています、日本全体で。合計特殊出生率も50年前は2.14ありましたが、現在は1.26になっている。これはもう国難と言ってもいい。また、このままいけば日本という国が滅びるのではないかなとそういう危機感を持っています。 そういう日本の状況を前提に堺市の人口の推移を見てみますと、堺市の人口も、ちょうど政令市になった平成18年当時は83万人でしたが、その後若干堺市に対する流入があって、平成24年の6月に最高84万、3,000人ぐらいになります。それがずっと減少いたしまして、現在の令和5年12月時点で81万人というふうになっている。もう今年でも81万人を切って80万人を切るのももうすぐではないかなという状況です。 それに対して堺市の新生児出生数は、平成18年では約7,800人でした。それがずっと出生数が下がりまして、令和4年度は1年間に生まれる子どもたちは5,350人と、一番多いときから比べて2,450人ほど減りました。 先ほどお見せした堺市の人口の推移が政令指定都市になったときの83万人から今81万人ですので、2万人減っています。堺市の出生数がこの政令指定都市になったときの7,800人の段階、この人数をもし維持できているとすれば、恐らくこの18年以降の中で1万5,000人から2万人の子どもたちが生まれているという状況ですので、堺市の人口も今83万人をキープしている状況になるということになろうかと思います。 合計特殊出生率は現在は堺市は1.32人と、平成18年は1.31でしたから、ずっと上がっていったんですけどね、最近になって1.32に下がっているという状況になります。 このような状況、現状を御覧いただきましてまずお聞きしたいのは、本市の少子化の現状とその原因についてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎古田 計画推進担当課長 先ほどスライドの資料のほうでもお示しいただきましたとおり、本市の出生数は全国と同様に減少傾向で推移しており、厚生労働省の人口動態統計に基づく令和4年の出生数は10年前の平成24年の7,211人と比較して1,861人少ない5,350人となっております。 少子化の背景には、昨年12月に国が策定したこども未来戦略にも示されているとおり、経済的な不安定さや出会いの機会の減少、仕事と育児の両立の難しさ、家事・育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育ての孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担など様々な要因があると考えております。それらの要因が複雑に絡み合い、個々の結婚、妊娠、出産、子育てについての希望がかなえられにくくなっていることが少子化の主な原因であると考えております。以上でございます。 ◆水ノ上成彰 委員 御答弁いただきましたが、出生数は10年前が7,211人、現在は5,350人、先ほど見せましたけれども、約25%減少している、10年間で25%減少というゆゆしい事態です。 それらの要因は複雑に絡み合うが、まずお話しになったのは、結婚、妊娠、出産と、結婚ということが希望がかなえられにくくなっていると、少子化の原因であるという御答弁でありました。 私は、少子化の要因というのは3つあると思っています。経済的理由はあるでしょうけれども、その結果も含めて、まず未婚化が進んでいるということ、そして晩婚化が進んでいるということ、そして夫婦出生力の低下、これは合計特殊出生率に現れますのでね、の3つの要因だと。少子化の約9割がこの未婚化、晩婚化だと言われています。夫婦出生力の低下、経済的理由により、3人子どもが欲しいところを2人にする、2人にするところを1人にするというのはあるとはいえ、それは1割ぐらいの影響というふうに言われています。 これは堺市の婚姻数をグラフにしたものですけれども、平成18年当時は4,700、約4,800組が婚姻をしていた。しかし現在は3,294、去年が3,553でした。コロナが令和2年、令和3年と続きましたので婚姻ががたっと減っておりますけれども、その反動で令和4年度は久しぶりに婚姻数が大きく増えたということなんですね。 これは今お見せした婚姻数に、2人で結婚するわけですから2倍を掛けたのが赤い数字、下の赤いグラフ、下の青いグラフは先ほどお見せした出生数です。 これね、婚姻数、結婚数と出生数というのは見事に相関関係があるんですね。上がったところは2年後に上がる。大きく下がったところはやっぱり2年後に下がる。例えば平成25年にかけて婚姻数が上がれば、27年には出生数が増えるというような感じで、見事に婚姻数と出生数は相関関係があるとこういうふうに思うわけです。 日本の出生というのは結婚をしてから子どもをつくると。できちゃった婚もありますけれども、それも含めて、できちゃった婚でそのまま結婚するということも含めて、そういうことが多い。日本は婚外子は極めて少なくて約2%だと言われています。世界的にも非常に特殊。 アメリカは約40%、婚外子はね、イギリスが48%、フランスが60%、北欧スウェーデンやノルウェーは約55%、北欧、西欧などでは50%を超える婚外出生があるんですが、未婚化は起きているわけですけれども、未婚化で失われた出生分をこの婚外子でカバーしていると。こうした状況では子育て支援と働き方改革が効果的で、その結果、このような国では合計特殊出生率が1.8人から1.9人と比較的高い国が多い。 日本は未婚化が非常に深刻である一方、婚外出生も先ほど申し上げたとおり2%と非常に少ない。我が国で欧州諸国と同様に子育て支援と働き方改革だけを重点的にやっても同じ効果は得られない。 日本では長い間、岸田内閣も異次元の少子化対策と言ってるけれども、中身は子育て支援と働き方改革です。それを幾らやっても今まで出生数は上がらない、出生率も上がらない。それは、日本では婚外出生が増えることは想像し難いし、多くの人がそのような社会を望んでいるとは思えない社会的な状況もあると思う。 そう考えますと、日本が少子化を克服するためには未婚化を改善するしか道はないと。結婚支援を積極的に実施し、未婚化に歯止めをかける以外に現実的な対応は対策がないというふうに思いますが、そこで質問いたします。 少子化を改善するために堺市がこれまでも、またこれからもどのような対策を取っていくのか、お答えいただきたいと思います。
◎古田 計画推進担当課長 もとより結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、多様な価値観、考え方が尊重されるべきものであると考えております。 その上で、安心して子育てできる環境の充実や安定した雇用の創出など、将来の結婚、妊娠、出産、子育ての安心感を高めることにつながる施策の充実に取り組み、個々の希望がかなえられる環境を整えることが必要と考えております。以上でございます。 ◆水ノ上成彰 委員 御答弁ありがとうございました。 多様な価値観、考え方が尊重されるというのは分かりますが、その多様な価値観というのは今どんな状況なのかといいますと、これはネットから取りましたゼクシィ縁結び、婚活に対する考え方・お悩みアンケート2021年2月のものです。結婚に対してどういう考えしてるか、若い方がね、男性は結婚のデメリットとして、男性の第1位が自由な時間がなくなる、2位がお金の自由がなくなる、3位が他の人と恋愛ができなくなる、第4位がささいなことでけんかが増える、だから結婚はあまり望んでいない。 女性はどうかといいますと、第1位が親戚付き合いが大変、第2位が家事の負担が増える、ささいなことでけんかが増える、第4位がお金の自由がなくなる、自由な時間がなくなる、他の人と恋愛ができなくなる。 順番は置いといてね、同じような傾向で、特に女性の場合は親戚付き合いが大変というのは何となく分かる気がいたします。 次は結婚のメリットという面でね、男性はこういうふうに言っています。第1位が子どもを授かることができる、第2位が守る家族がいることで前向きになれる、第3位が居場所ができる、第4位がいいことも悪いことも気持ちを共有できる、第5位が好きな人とずっと一緒にいられる。 女性が結婚のメリットと考えるのは、第1位が居場所ができる、第2位が好きな人とずっと一緒にいられる、第3位が気持ちが安定する、第4位が子どもを授かることができる、親が安心してくれる。 これを見てね、ええと思った。というのは、男性が結婚するメリットというのは、子どもを授かることができる、これが第1位。女性は第1位はそれが来なくて、第4位が子どもを授かることができる。女性のほうが子どもを授かりたい、そういう命をつないでいきたいという印象が強いかなと思いきやそうではなくて、男性のほうが高くて女性はあまり興味がないという結果がこのアンケートでは見れるわけです。 それをこの委員会に当たって新聞を昨日見ておりますと、昨日の産経新聞にこういう記事が載ってました。 昨日の産経新聞の2面ですけれども、朝刊の2面、2月4日、大学生19%子どもを望まず大幅増加、物価高影響か。大学や大学院を令和7年に卒業する見込みの学生のうち、5人に1人に相当する19.2%が子どもは欲しくないと考えていることが就職情報サイトを運営するマイナビの調査で分かった。6年卒、1年前の前回調査が13.1%でしたから、大幅に子どもは欲しくないという学生が増えた。 欲しくないと回答したその内容なんですけどね、女子が23.5%、実に4人に1人ぐらいがもう子ども欲しくないと言ってるんです。男子は12.1%ですから、男子の倍の女子が子どもは要らないと回答したとなってるんですね。 先ほどのお見せした結婚のメリットのところで、男性が1位が子どもを授かる、それが女子は4位が子どもを授かる、その差が反対の質問の仕方ですけれどもこういうところに出ている。その回答で男女に理由を尋ねたところ、うまく育てられる自信がないが57.4%で最多だった。自分の時間がなくなる51.5%、次いで経済的に不安が51%というふうになって、結婚に対する前向きさもないし、結婚したとて子どもを欲しくないという若い人が増えている。 こういう状況の中で、これからの日本が成り立っていくのか、少子化を止めることができるのか、それが大きな問題だというふうに私は思うわけです。 未婚化対策というのはいろいろあるんですけれども、20代の若い人たちに聞くとですね、特に20代前半は、20代後半には結婚したいという方が相当いるらしい、希望してる方。ただ30代以降になると、結婚への否定的な意識や諦めが強まっていく傾向にあると言われている。ということは、20代で結婚を希望する人がそれを実現する社会をつくっていくことが少子化克服へのポイントではないかというふうに思います。 ただ、先ほど少し申し上げましたけれども、未婚化対策への重点的な財源の配分は圧倒的に子育て支援に行ってるわけです。その次に働き方改革。予算的にも結婚支援は非常に乏しい。一番大事なところにもっと私は予算をかけるべきではないかなと思います。 産む産まないは個人の自己決定権の問題であり、国や地方自治体が結婚や出産に対して介入すべきではないというのは分かります。しかし、50年前の出生数が210万人から70万人の3分の1になった。国難と言ってもいい状況の中で、その原因はどこにあるのか、どうしてこれほどまでに日本の学生、若い女子が結婚したがらない、そして子どもを産みたがらないのか、その原因をですね、経済的な理由だけではなくて、もっとほかに理由があるのではないかなと思います。 それは、マスコミなどのマスメディアが偏った情報を流して、何か結婚することによって大きなリスク、負担をかけられるだけ。一方、結婚したことによっていいこともある、子どもを産むことによって幸せな人生がある、そういうことはほとんど言われずにマイナスのことばっかり言われる。 例えば結婚に前向きな意識というのがありましてね。既婚者は未婚者に比べて健康で長生きする傾向があると。相手のことを気遣うから、そういう病気がしにくい、病気になってもすぐ対応できる。未婚者は病気にかかったら、大丈夫、あえてほかに見てくれる人がいないからほったらかして重症化するというのもあるみたいです。夫婦関係が悪い場合は逆のこともありましてね、反対に良好な、夫婦関係が悪いときは逆にストレスがたまって病気になることもありますけれども、それはお互いの努力でと。 また既婚女性にとってはね、同棲中や交際中の女性よりもDVを受ける危険が圧倒的に低い。口論が暴力に発展したことがある、同棲中の女性が既婚女性の3倍以上になるという報告もあります。結婚は男性の犯罪行為を減らす決定的な役割を果たすなどのメリット、こういうことが、女性には、男性もそうですけど知られてない。結婚すること、子どもを産むことのプラスをもっと私は話すべきではないかなというふうに思います。 10月にこの特別委員会で末冨芳教授の子育て罰大国日本をどう変えるかという研修がありました。私は初めて子育て罰という言葉を初めて知ったんですけれども、そんな言葉があるのかと。率直に言ってその言葉だけを聞けば嫌な言葉だなと思いました。 ただ内容を聞いておれば、なるほどと納得する、うなずけるところもあるんですけれども、あまりにも子育て罰大国日本となれば、すごいネガティブな印象を受ける。その本が出されて、それを目にした人は、やっぱり中身をしっかり読めば別なんでしょうけれども、印象だけで非常にやっぱりマイナスに受け取る、そんなことが多々あると思うんですね、マスコミ、テレビとか雑誌を見れば。 私の知り合いでこういう方がいらっしゃるんです。 年は80でお父さんお母さんもお亡くなりになられて、結婚せずに子どもはいない。きょうだいもいない。病気をして生きる希望を失っている。先生、水ノ上さん、私もう死にたいねん、若いときは相当の資産があったので、海外旅行やまたおいしいものを食べて友達と楽しくしてた、でも結婚せず子どもがいないそういう状況の中で、今になって私結婚しておいたほうがよかった、子どもがおったらな、本当にしみじみそうおっしゃるんですね。そう思うともう何もしてあげれないけれども、絶望的な孤独の中で本当に今苦しんでおられる。この方は、祖父母、父母の思い出も、これから自分が亡くなったら全部どっか焼却されてしまう。自分も亡くなったら、もう1年後には私のことなんか誰も覚えてない、こういう寂寥感を持っている。 一方で、これも私の知り合いですけど、貧しい長屋に住んでるおばあちゃん。若い頃から苦労して、お父さんお金入れてくれへんねんと、しかし子ども2人産んで内職して育てていった、子どもも小学校5年生から新聞配達やってくれた、今はこれでけへんと思いますけどね、昔はそういう時代があったんですね。子は母に感謝をして、やっぱり親孝行するわけですよ。おかあちゃんが苦労してくれたから、自分も頑張ったけれども育ててくれた。休みになったら家に孫を連れてくる。そのおばあちゃんは言うわけです。水ノ上さん、私今が一番幸せやと、八十幾つで。 若い頃の幸せだけ考えたら、それはさきの人のほうが幸せでしょう。しかし死ぬとき、もう死を直前として終活のときに本当に私は心から幸せな人生だったと思える人とそうでない人がいる。 私は今の状況の中では、若い人たちも全ての情報を知ってるのかと、一部偏った情報ばかりをうのみにして結婚しない選択、子どもを産まない選択をしてるのではないか。もしそういうふうに決断したら、その先には老後本当に孤独で寂しい人生が待ってるかも分からない。それでもいいというなら別に構わないけれども、そういうことも教えられていないのではないか。私は若い人たちにもいろんな全ての情報を、いろんなケースを教えてあげることが、その中から自分に必要な生き方を見つけていくということが必要だというふうに思います。 なかなか行政がね、先ほど言ったように産む産まないは個人の自己決定権の問題である、もうそういうところからそれ以上できないけれども、いろいろな形で若い人に手を差し伸べる、老後のことも考えてまでの人生設計をする、そのようなことをお話しすることが非常に大事ではないかなというふうに思います。 人間には命をつなぐことの幸せというのがあって、責任を果たした後の安堵そして幸せ感、男女ともにあるはずだというふうに思います。 今日は教育委員会は来ておりませんけど、昨日考えてて、どうやったらこれ解決できるんやろうと思ったら、やっぱり親に対する感謝かなと思うんですね。昔は父の恩は山よりも高く母の恩は海よりも深い、そういう言葉があって、父母に感謝をする、親孝行をする。いつかは自分もお世話になった父母のように、父母となって子どもを産み育てる、そうやって命をつないでいく、その覚悟を決める、それが命の連続性を生むものではなかったかというふうに思います。 だからといって、これから皆さんの政策にどう反映していくかというのは難しいところもあるとは思いますけれども、そういうことを考えた上で、堺市民の特に女性が本当に幸せな人生であったと思えるようなそういう堺市をつくっていくことも大きな役割だということを申し上げまして、取り留めのない最後は話になりましたけれども、今後の問題提起としてこういうことを取り上げました。以上で私の質問を終わります。 |
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