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3番(水ノ上成彰君) (登壇)プロジェクト堺の水ノ上でございます。プロジェクト堺を代表いたしまして、議案質疑を行います。
プロジェクト堺は平成15年の市議会議員選挙に選挙後結成された保守系無所属の会派でございます。現在杉本議員を代表に、私、水ノ上と
2人の会派でございます。私どもの会派は、木原前市長のときには市長与党の一会派ではございましたが、しかし、時には保守系の立場としてけんけんがくがく
の議論をし、議会上の対応も是々非々の立場を貫いてきたとの自負もございます。今回竹山市長が多くの市民の支持のもと、堺市長に就任されましたことを歓迎
いたしますとともに、時代の大きな変革期に来ていると受けとめ、気持ちを引き締めて対処してまいりたいと存じます。竹山市長とは二元代表制のもと、よい緊
張関係を保ちつつ、議論を活発化していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日提案されております議案第138号及び139号、副市長の選任についてお尋ねいたします。だんだん後のほうになってまいり
ますと、質問することもなくなってまいりますけれども。本議会において、竹山市長より2人の副市長候補が提案されております。政令市全体を見回しますと、
堺市を除く17政令指定都市のうち、10市が3名の副市長を置き、6市が2名の副市長を置き、横浜市に至っては、4名の副市長を置いております。木原前堺
市長のときは、副市長は3名でございました。午前中のご答弁では、竹山市長は3名の副市長が適当ということでございましたが、竹山市長が市政運営をする上
で、どのような戦略またはビジョンのもと、3名の副市長が適当とお考えか。午前中の質問と重複するとこもございますが、今後の動向とあわせてお答えをいた
だきたいと思います。以下、副市長人事と関連して、ご質問をいたします。
まず、行財政改革についてお尋ねいたします。市長は4大行財政改革を掲げられております。その行財政改革の具体的な中身については、12月議会以降の議会
でしっかりと議論してまいりたいと思います。本日お尋ねしたい点は、市長の行財政改革に対する決意でございます。日本じゅうの首長で行財政改革を標榜しな
い首長は一人としておりません。木原前市長も行財政改革を断行され、大きな成果を上げたことは高く評価しております。しかし、私が思いますところ、手のつ
けられなかった聖域もあるように感じておりました。私は行革をやる限り、徹底した行革をすべきであると思います。竹山市長は、聖域なき行革を断行する覚悟
がおありか、その点お答えいただきたいと思います。
続きまして、掲げられております2大無料施策についてお尋ねをいたします。竹山市長は、選挙時のマニフェスト及び先日の所信表明において、2大無料施策と
して、小学校3年生から中学校3年生までの放課後学習の無料化と、また、中学3年生まで通院・入院にかかわる費用の無料化を打ち出されました。特に、所得
制限を設けるなどは掲げられておりませんでしたので、一律無料化されるものだと推察いたしております。さて、私は、このような所得制限を設けることなく一
律に行政サービスを無料化するということは、大いに問題があると考えております。言うまでもなく、市民の中には金銭的に余裕のある家庭もあれば、大変厳し
い家庭もございます。先日、厚生労働省が発表した日本の相対的貧困率は、先進30カ国の中でも最悪の水準を示しているということでございました。つまり、
日本の社会の中で格差が広がっているということでございます。余裕のある家庭であれば、教育面も医療面も行政に頼ることなく家計で十分対処できるものであ
りますから、厳しい家庭にこそ支援を集中すべきであると考えます。
昨今、このような行政サービスの一律の無料化や定額給付金や子ども手当などのばらまきの政策が多く提唱されております。例えば、先の衆議
院選挙において、民主党は子ども手当を中学生以下の子どものいるすべての家庭に支給する、すなわちばらまくと言って大勝いたしました。私は、このような施
策は国民の関心をその1点にのみ集中させて他を見えなくするという意味で、大変問題のある政策であると思っております。生活保護や教育面・医療面の支援を
市民の所得の水準に応じて実施していく、このことが行政コストを下げ、市民の間の秩序を保つことになると思います。昨今の選挙では、このようなばらまきや
行政サービスの一律の無料化が花盛りであり、市長も2大無料施策として選挙を戦われ、勝利されました。ですが、私は今申し上げた理由から、所得制限をせず
一律の無料化の施策は反対でございます。
そこでお尋ねをいたします。市長はどのような思いを持って、2大無料化施策を実施するのかお答えください。
続きまして、教育面についてお尋ねいたします。市長は選挙のマニフェストにおいて、全国屈指の低学力である大阪府の平均よりもさらに低い堺の子どもたちの
学力と記載されておりました。2回の全国学力状況調査において、確かに市長がおっしゃられるように、堺の公立の小中学校の学力、特に中学校の学力は非常に
低いレベルでございました。さて、市長は堺市の公立の小中学校のレベルが低い原因はどこにあるとお考えでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。その
上で、学力の向上をどのように図っていくのか。学力向上については、私も今まで文教委員会でさんざん議論してまいりました。市長は堺市の小中学生の学力の
向上のために、どのような教育施策が効果的とお考えか、具体的にお答えください。
最後に、北朝鮮による拉致事件についてお尋ねいたします。先日の所信表明では、人権の尊重のことはお話しされておりましたけれども、具体的な内容はございませんでした。
そこでお尋ねするわけでございますが、北朝鮮による邦人拉致は最大の人権侵害であり、その解決は国政の最大の課題でもあります。また、市
政においても、看過できないものであります。折しも、昨日11月15日は、拉致事件の象徴でもある横田めぐみさんが北朝鮮に拉致をされてちょうど32年目
となります。拉致されて、今でも北朝鮮に抑留されていると見られる被害者の方はもちろん、残された家族の方々の悲しみ、嘆きはいかばかりなものか。日本人
であれば心を動かさない方はだれもいないと思います。木原前市長も人権上大きな関心を持たれ、積極的に取り組みをされました。
そこでお尋ねいたします。竹山市長は北朝鮮により邦人拉致事件についてはどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。また、北朝鮮による拉致事件は政
府が認定するのは17名ですが、特定失踪者調査会によれば、拉致の可能性を否定できない特定失踪者は、日本じゅうで470名にも上ると言われております。
その中に、堺市出身の特定失踪者の方が4名いらっしゃいます。必ずしも北朝鮮に拉致されたとは断定できませんが、この4名に関しては、堺市民であることか
ら、拉致された可能性も含めてあらゆる手だてを考え、その行方を捜すべきであると思いますが、市長の考えをお聞かせください。
以上で第1回目の質問を終わります。
○
副議長(高岡武汪君) これより答弁を求めます。
◎
市長(竹山修身君) (登壇)プロジェクト堺代表水ノ上成彰議員のご質問にお答えいたします。
まず、3名の副市長はなぜ必要だというふうに思うのかということでございます。政令指定都市の広範多岐にわたる政策分野におきましては、
市のトップマネジメントを補佐するためには、やはり3名が必要だというふうに私は思っております。今回は人選が固まった2名について提案させていただきま
した。現在、人選を鋭意進めておるところでございまして、追って議会の皆さん方にもお諮りしたいというふうに思っております。
次に、聖域なき改革についてでございます。これからの行財政改革を推し進めるに当たっては、すべての事業をゼロベースで見直し、加えてそ
の結果は市民の納得いくものでなければなりません。その観点に立って、費用対効果の薄いもの、公平性、環境の変化や市民ニーズにマッチした事業であるかど
うかという視点で総点検してまいりたいというふうに思っております。
次に、一律無料化施策の是非についてでございます。一般的に、福祉施策につきましては所得制限などが設定されておるところでございます。一方で、将来に
わたって堺のまちが発展し続けていくためには、子育て支援は大事でございます。今回の乳幼児医療費助成制度の拡充を初め、子育て支援施策の充実につきまし
ては、都市活力の維持、向上、住みよい魅力のあるまちとしての持続的な発展の推進につながるものと考えておりまして、このような観点から、所得制限や一部
負担金につきましても、今後対象年齢の拡充に向けた全体の制度構築の中で検討してまいります。受益者負担、負担分任の考え方は行政の基本であるというふう
に考えております。
次に、堺の全国学力調査結果の問題でございます。全国の学力調査結果につきましては、特に中学生の学力が深刻な状況となっております。その
理由といたしましてよく言われるように、早寝・早起き・朝御飯、これが欠けているというふうに思います。いわゆる基本的な生活習慣が身についていないな
ど、家庭・地域のフォローが必要でございます。また、授業形態の違いなどで小学校と中学校の段差が生じている、いわゆる中1プロブレムという問題でござい
ます。そんなものも考えられます。また、学力向上に向けて、どの子どもも意欲を持って学習できる授業づくりに課題がある、それも指摘されております。今
後、子どもの学習意欲を喚起する教育施策や基礎的学力が定着できる放課後授業を通じまして、今現在教育委員会が設置しておる堺市学力会議からの提言も踏ま
えまして、学力向上施策を現在検討しているところでございます。本市の子どもの実情を踏まえた多様な施策展開を図る。その中で学力向上を図ってまいりたい
と考えております。
次に、拉致問題につきましては、国民の生命と安全を脅かす重大な人権侵害であり、喫緊の国民的課題であると認識いたしております。一刻も早く、拉致被害者
全員の帰国を願うものでございます。平成18年6月には、国において拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律が制定されました。
この中で、地方公共団体は国と連携を図りつつ、この問題について啓発に努めるということになっております。また、いわゆる特定失踪者問題につきましては、
私の身近な方も含めて、失踪当時堺市に住んでた方が数名おられるというふうに聞いております。拉致問題とあわせた取り組みが必要だというふうに感じており
ます。今後とも、国や関係団体と連携しながら、引き続き市民啓発を初めこの問題の早期解決をめざし、地方公共団体としての責務を果たしてまいりたいと考え
ております。
◆
3番(水ノ上成彰君) 議長。
○
副議長(高岡武汪君) 3番水ノ上成彰議員。
◆3番(水ノ上成彰君) ご答弁、ありがとうございました。
まず、副市長の人数ですが、市長が必要とする副市長の数は3名ということで、多くの政令指定都市は3名の副市長を採用していることから、恐らく規模的にも
その辺が妥当だというふうに思いますが、今回副市長の人事はいろいろ混乱がございました。混乱の原因は何だと、どういうところにあるのか、いろいろ理由が
あると思いますけれども。チャンドラーの有名な言葉ですが、「組織は戦略に従う」という言葉がございます。初めに3名の副市長ありきではなく、市長がどの
ような戦略を持って市政を運営していくのか。それを明確にされた上での副市長人事であれば、もっとスムーズに事が運んだと思いますけれども、先に人数あり
きでは、我々もその検討がなかなか難しいというところがございます。ですから、副市長の人事については、私どももゆっくりと検討したいと、このように思っ
ているわけでございますが、今回の副市長人事だけではなく、これから市長により堺市の組織も変革されることと思いますが、組織は戦略に従うという、そうい
うことを念頭に置いていただいて、明確な戦略・ビジョンを提示された上で、人事等を行っていただくよう要望したいと思います。
続きまして、行財政改革についてですが、聖域なき行革をするという力強い答弁をいただきました。聖域をつくれば、行革の効果は半減し、市民からも落胆も
されます。しかし、言うはやすし、行うはかたしで、しがらみができれば、行政改革の刀も鈍りがちとなります。勇気を持って、聖域なき行政改革をされること
を期待をしております。
続
きまして、無料施策についてです。市政というのは、市長、議会議員、市役所の職員の方々、そして市民の運命共同体であると私は思っております。市長はもち
ろん、我々議会議員も、そして市役所の職員も、市政をあずかるまたは担当する義務を持って職務を遂行しております。私は市民にも運命共同体としての堺市を
支える義務があると思います。それは、労働であり、また納税であり、我が子に対する教育であり、また自分の両親を見る義務だと。また、そのほかいろいろ市
民としてやるべきことがあるというふうに思います。市民にも市民としての義務感が必要である。そういう市民なくして、よい市政は成り立たないと考えており
ます。為政者は市民に対して義務を課し、ともに市政の一翼を担うことを自覚させることもある意味必要であると思います。しかし、市民をお客様扱いし、現在
の選挙で妙に票欲しさのために無料化やばらまきなど、市民が市政の一翼を担っているという意識を希薄化させることが余りにも多いように思います。このよう
なことでは、市政は成り立つことはないと。ですから、所得制限のないばらまきや無料化は大問題であると考えるわけでございます。先ほどのご答弁では、所得
制限も、また受益者負担の観点からご検討されるということですので、その点に期待をいたしまして、決してそういうことに流されることなく、金銭的に厳しい
家庭に集中して行政サービスをすることを強く求めたいと思います。
さて、教育面についてですが、竹山市長は子どもの教育について強い関心をお持ちであるということは、選挙のときのマニフェストから私はよく存じておりま
す。しかし、本日いただいた答弁は、いささか不満なご答弁でございました。なぜならば、学力低下の原因が明確にご答弁いただいていると思わないからでござ
います。私は公立小中学校に通う堺市の子どもたちの学力が低い理由は、大きく2つにあると思っております。1つは、子ども同士を競争させないようになった
こと。もう1つは、教師の能力が低下したことにあると思います。適正な競争は人間の能力を高めることになると。その点、市長がマニフェストに掲げられてお
りました市の統一テストを実施することや、外部の専門家による学校評価と授業評価を行うということには、共感を覚えております。ただ、心配なのは、国の政
権が民主党に変わって、この支持母体である日教組による教育が現在推し進められつつあるということでございます。民主党の最近の動向を見れば、全国学力状
況調査は現在の全国一斉方式から抽出方式に変更して、実質的に骨抜きにしようとしております。教員免許更新制度を廃止させるため、来年の通常国会に改正法
案を提出するとしておりますし、道徳教育の補助教材の「心のノート」が廃止になるということでございます。学力テストも免許更新制も道徳教育も、日教組が
以前から廃止を求めてきたものでございます。このような中で、子どもたちの学力向上はよっぽど信念を持ってやらなければ容易なことではないと思います。全
国学力状況調査が事実上形骸化する中、子どもたちの適正な競争力を喚起する堺市統一テストの実施をぜひ進めていただきたい。また、教師の能力・資質を向上
させるための施策も進めていただきたいと思います。教育委員会も学力向上のために懸命に取り組んでおられますが、このように非常に教育の面でも関心のある
市長とともに、しっかり手を携えていただいて、学力向上に努めていただきたいと思います。
最
後に、北朝鮮による邦人拉致についてでございますが、市長の強い決意をいただいてうれしく思います。私はおよそ政治に携わるものは、この拉致事件を看過し
て政治はできないと考えております。特に、特定失踪者の中で、堺市の住民の方々がいらっしゃる、拉致された可能性がある方がいるんですから、ぜひ市長みず
からこの家族とお会いいただき、家族はいずれも高齢で時間が残されておりません。
拉致解決に向けても、リーダーシップをぜひ発揮していただき、その上で、これは国及び警察が動かなければ解決には至りませんけれども、市でやれるべきことは市でやるという決意のもと、解決を図っていただきたいと思います。
さ
て、市長は事あるごとに、市民目線を強調されます。市民はまず自己の利益を最大化するために行動をします。私は市民目線ももちろん大切なことだと思います
けれども、ときには市民よりも高い目線で未来を見つめる、大観することも必要だと思いますし、ときには市民よりも低い目線で市民の足元を見ることも大切だ
と思います。いろんな角度から見る目線が市長には求められると思っておりますので、市民目線、市民目線ではなくて、ときには高い目線、低い目線もお考えい
ただきたいなというふうに思います。
最
後に、市長は柔道の有段者で、私は剣道の有段者。ともに武道を志した者として、共感するところは多々あろうと思います。その点考慮して、これからもこの議
会で、考慮してといいますかね、その点も気心はわかるとこはあると思いますので、しっかりと議論をして、ともに堺市のために頑張っていきたいと思いますの
で、どうぞよろしくお願いをいたします。
以上で私の質問を終わります。
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