※百舌鳥古墳群ガイダンス施設について
◆水ノ上 委員 皆さん、おはようございます。維新の会の水ノ上です。 先ほど百舌鳥古墳群ガイダンス施設についての御説明をいただきました。このガイダンス施設につきましては、本会議等々でいろいろ議論もさせていただいておりますし、既に土地の取得は終わって、しかも13億かかった。取り壊し費用も含めてですね。さらにこれ建設費用、展示費用も含めて20億から30億程度の費用がかかると。さらに年々の維持費、管理費ですね、指定管理料も、さかい利晶の杜が約2億円かかっているというところから、このガイダンス施設につきましても2億程度かかるだろうと、非常に大きな資金をかけてのこのガイダンス施設ということで、我々大阪維新の会は、従来より今までの堺市博物館と一緒にできないか、それほど多額の金額をかけてやる必要があるのかどうかということも議論をさせていただきました。そういうことを踏まえた上で、きょうの説明をお聞かせいただきました。 まず、当初、整備の目的と必要性ということをお聞かせいただいたんですが、これを読んでみますと、僕はもうこの百舌鳥・古市古墳群の世界遺産で、1つ大きな特徴があると思っておりまして、それは何か、これまでも言っておりましたけれども、それは天皇陵を世界遺産にするということ。日本には今125代の天皇でございますけれども、ということは124の天皇陵があるということ。そのうちの百舌鳥・古市古墳群には10の天皇陵がある。10の天皇陵全てが世界文化遺産登録されるわけではありませんが、そのうちの6つの陵は世界文化遺産登録されるという中で、どうしても天皇陵、ずっと代々引き継いできた天皇陵を世界文化遺産にするという以上は、そこを何らかの形で我々地元の堺市、また藤井寺、羽曳野というところが伝承していく必要があろうかというふうに思っておりまして、その点から見ておりますと、先ほどの説明資料の中では、ほぼそういう天皇ということが出てきておりませんでした。そういう中で、少し違和感を覚えました。 今は天皇陵は宮内庁がしっかりと管理をして、整然としております。しかし、このような天皇陵がずっと今の形があったかというと、そうではなくて、かつて荒廃していたときもありました。皆さん御存じだと思いますけど、蒲生君平という江戸の儒学者、尊王家というのは御存じかと思いますけれども、約200年前の方ですけれども、この方が日本中の天皇陵をずっと回って、その荒廃した姿を非常に嘆いて、山陵志という書物を書いたということ。それが幕末の志士たちに読まれて、やっぱり尊王の気持ちが出てきて、維新がなったということもありました。また、前方後円墳という名前も、蒲生君平の山陵志というのに出てきていることから、今の前方後円墳という名前ができたということ。 かつて荒れていた天皇陵も今は宮内庁の管理の中で非常に整然としていると。その中でこの百舌鳥・古市古墳群、天皇陵を含む古墳群を世界文化遺産にするその目的は何かということを考えた上で、このガイダンス施設の展示ということを考えていく必要があるのではないか。そういう点から、幾つか質問をしたいなというふうに思っております。 まず、展示のコンセプトという中で、余りの巨大なゆえに、古墳全体一望することができない。ということは、上に上がることできませんから、それをビジュアルで見さす。今の博物館でもやっております。僕も何度か見たことありますけれども、確かにそれはいいものですけどね。ビジュアルで見ます。 そして、いろいろたくさんの古墳があるけれども、その群の中に身を置いていることが実感しにくい。確かに住宅がたくさん建っておりますから、点在しているというのはわかりにくい。また樹木が覆われておって、当時の姿を想像することはできません。先ほどの中で、今のような木が覆われている姿というのは、せいぜい百数十年らしいですね。それまではあれだけの大きな木はなかったというふうに聞きました。それは僕は仁徳天皇陵行ったときに、ガイダンスしている、何やったけな、説明してくれる方、観光ボランティアの方が説明してくれたんですけど、これは日清戦争のときに戦勝金が入って、その余ったお金で各古墳群に植樹をしたから、それ以降、こういうふうになったんですというふうに説明を聞いたんですけれどもね。それ以前は葺石とか、そういうのもあって、いろいろ草が生えていたようですが、ああいう大木は生えてなかったということらしいです。 そういう姿を見て、先ほど蒲生君平の話、出ましたけれども、恐らくその当時は大木がなくて、ペンペン草が生えて何もしてないような状況だったんだろうというふうに思いますけどね、ああいう姿を埋葬施設であることがわかりにくいというようなことで、そういうことをわからすことが、このガイダンス施設の目的であり、コンセプトというふうに捉えているんですけれども、そういうふうに説明いただいた。 私は、先ほど申し上げているとおり、やはりここに天皇陵があるがゆえに、なぜそれほど大きな、世界で有数のお墓が、この島国で世界三大陵墓と言われるような大きな陵墓がこのような島国でできたのかとか、そっちのほうがはるかに観光に来る人が興味があるのではないかと。天皇が今まで続いているけど、今の天皇の直接の先祖ですから、その天皇がどんな働きをしてこういうことがあったのか、そういう物語を知るほうが、もっと興味が僕はあるのではないか。往時の姿と今はこんな違いますよとかいうよりも、そっちのほうがあるんじゃないかなと僕は思うんですけどね。 そこで、まず質問いたしますけれども、具体的にどんな展示をしていくのかお聞かせいただきたいと思います。 ◎勝真 世界文化遺産推進室次長 展示につきましては、映像や模型という展示手法を使いまして、古墳に関する知識や興味が少ないビギナー層にも百舌鳥古墳群の雄大さを知っていただけるような展示を考えておるところでございます。具体的な内容につきましては、現在、委託業者とともに検討しているところでございます。以上でございます。 ◆水ノ上 委員 今、堺市博物館でもやってます。それも見せていただきましたけれども、模型もあるんでしょうが、それを見て、確かに大きいなと、当時の人はすごかったなと思うんですけれども、まあ、そこまでと。僕はこの説明聞いて、百舌鳥古墳群のガイダンス施設といいながら、実質は仁徳天皇陵のガイダンス施設になっていないかと。仁徳天皇陵は世界最大級の古墳ですから、それはわかりますけれども、それの雄大さはわかる。そうしたら、その後、ガイダンス施設を見た後、いかにしてほかの古墳に足を運んでいただくか、周遊していただくか、そういうところが全然見えてこない。 先ほど答弁があったように、拝所に参拝される、行かれる、その後、ガイダンス施設を見る。その後、例えば堺の履中天皇陵や反正天皇陵、いたすけ古墳、御廟山古墳に一定足を運ぼうとするのか。またはさらに伸ばして古市古墳群まで足を伸ばすような、そのような施設になっているのか。そういう、そこにとどまるのではなくて、そこで仁徳ガイダンス施設へ行ったと、そこで終わるのやなくて、そこからどうやって堺ないし古市のほうに足を運んでいってもらうかというのが大事なんですが、そこが先ほどの展示のコンセプト等々、御説明いただいた中には全然見えてこないというふうに思うんですけれども、そのあたりどのようにお考えでしょうか。 ◎勝真 世界文化遺産推進室次長 世界遺産をめざす百舌鳥・古市古墳群の価値を理解していただくために、百舌鳥古墳群のほかの古墳や古市古墳群も周遊していただくことというのは重要やというふうに考えております。百舌鳥古墳群の価値や往時の姿を伝えて、ガイダンス施設でしか見ることができない雄大な古墳の姿を見ていただくことで、周遊意欲を高め、百舌鳥古墳群を知っていただき、百舌鳥古墳群全体のほかの古墳を見ていただくような周遊につなげていきたいというふうに考えております。 また、現在、古墳の写真を撮っていただくと、その古墳のカードをプレゼントしておりますが、このように今後、周遊していただく動機づけとなるような取り組みも検討してまいります。以上でございます。 ◆水ノ上 委員 今の説明を聞いても、それをもってそこからほかに行くというのは全然湧かない。というのは、仁徳天皇陵というのは、世界最大級の古墳、そこのガイダンス施設に行く。仁徳天皇陵の雄大さがわかる。そして、展望台に行ってわかると。そこから履中天皇陵やほかに行っても、規模的にはそれ以下。わざわざそこに行くかということですね、古市古墳群にですよ。そうしたら、そこに足を運んでいただくためには何が必要かということだと僕は思うんですね。 前にも見せたかもわかりませんけど、これは百舌鳥・古市古墳群の天皇陵、一番上がヤマトタケルノミコトって書いてますが、これは白鳥陵、白鳥陵というのが羽曳野にあるんですが、これ天皇ではありませんが、天皇の子孫であることは間違いない。その子どもが仲哀天皇で14代、15代が応神天皇、16代が仁徳天皇、17、18、19ときょうだいで天皇になるわけですね。履中、反正、允恭。允恭の流れで雄略、清寧と。履中天皇、これは直系じゃありません。直系ではありませんが、例えば娘さんの血を引くとか、もちろんお父さんはほかの天皇なんですけどね、それが仁賢、安閑と、こういう10人の天皇、プラス、ヤマトタケルノミコトがあるんですね。 こういう流れを教えて、それぞれに、僕は何回も言うけど日本書紀や古事記でいろんな逸話がある。そうやって仁徳天皇陵に行ってもらったら、そのお父さんの応神天皇はどうだったか、応神天皇というのは八幡宮の祭神でありますよね。日本中にある八幡宮の祭神であるし、またヤマトタケルノミコトは、仁徳天皇のひいおじいさんになりますね、ひいおじいさん。ヤマトタケルノミコトは堺では大鳥大社に祭られているわけですね。ですからそういうところから、こういう流れを追って大鳥大社に行ってもらうとか、応神天皇に行って、また八幡宮に行ってもらうとか、百舌鳥八幡宮もそうです。百舌鳥八幡宮も祭神は応神天皇ですから。そうやっていろんなやっぱり切り口というのがあると思うんですね。ただ単なる古墳で何世紀つくられました、階層性がある、そんなことよりも、こういう物語の中でいろんな興味を持ってもらう。そして、これは何度も言いますけれども、民のかまどの話もあります。そういうのに興味を持って、それ以外にもいろんな天皇の中でもいろんな逸話があります。そういうのを紹介をして、またそこに行ってもらって、その当時をしのんでもらうと、そういうことがガイダンス施設だけではなくて、まず仁徳天皇陵に来ていただいて、ガイダンス施設なり堺市博物館なりに来てもらって、そこでこういう知識を持ってもらって、そこからいろんなところに足を運んでいただく、ヤマトタケルノミコトもいろんな、一番、古事記、日本書紀の中で最大の英雄はヤマトタケルノミコトといっても過言ではないというぐらい、たくさんのエピソードがあるわけですから、それの直系が仁徳天皇、ひ孫が仁徳天皇に当たるわけですから、そういうことも含めて、そういう流れの中でこのガイダンス施設をやっていく、また博物館でも説明をしていく、そういうことが観光、または堺に来ていただいた方の興味を出していただいて、もう一度行こうとか、そういうふうになるんだろうというふうに思うんですね。 ただその中で、下の括弧で、四角で囲んである4人の天皇、これは雄略、清寧、仁賢、安閑は、残念ながら世界文化遺産の構成資産の中に入っていません。入っていません。それは学者の先生がどういう理由でこれを除いたか知りませんけどね。それを除いたということは、僕は大きなマイナスだと。これから来てもらう人にいろんな天皇のことを勉強していただいて、そこに行っていただこうというときに、何でこの4人の天皇が世界文化遺産に入っていないんだというふうになれば、説明のつけようがない。これは1つの大きな失敗かなと僕は思っているんですけどね、この世界文化遺産登録するに当たってね。 ですから、そういう周遊につながるという中で、やっぱりこういう点が、先ほどの説明の中でも欠落していると思うし、こういう点がなければこのガイダンス施設をつくっていくという積極的な意味もないのではないかなと以前から申し上げているとおりでございます。そういうところで、最後に、今申し上げたとおり、このような観点から、ガイダンス施設、いろんな日本書紀、古事記に書かれているいろんな逸話も含めて、このガイダンス施設に生かしていくべきだと僕は思います。ガイダンス施設を積極的に肯定しているわけじゃないんですけれども、ガイダンス施設をつくるに当たっては、そういう視点も必要かというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。 ◎勝真 世界文化遺産推進室次長 百舌鳥古墳群を身近に感じて興味を持っていただくためには、古墳築造当時の時代背景などを紹介することも効果的な手法の1つであるというふうに考えております。日本書紀や古事記に書かれている逸話の紹介などにより、古墳時代の様相を伝えることを通じて、古墳群に興味と関心を持っていただけると考えており、現在その方向で検討しておるところでございます。以上でございます。 ◆水ノ上 委員 それでは最後に、先ほど来、申し上げている堺市博物館とのかかわり、役割分担についてお聞きしたいというふうに思います。先ほどガイダンス施設に行かれた後、遺物などを実物をごらんになりたい方は博物館に行っていただいたらいいというような御答弁があったと思いますけれども、僕自身は、やっぱりこういうガイダンス施設も博物館と一体であるほうがいいというふうに思っています。そういう役割分担する必要はない。できることなら余裕があれば、堺市博物館の中にそういうガイダンス施設をつくった上で、一体として皆さんにごらんいただくという必要があろうかというふうに思いますが、最後の質問ですけれども、堺市博物館との役割分担、そしてこの一体性についてもお答えいただきたいというふうに思います。 ◎勝真 世界文化遺産推進室次長 先ほど御説明させていただきましたけども、堺市博物館は遺物展示などにより、古代から現代までの堺の通史を紹介する施設でございます。また、ガイダンス機能を付加するほど、現在、展示室等に余裕はございません。一方、ガイダンス施設は映像や模型の展示などにより百舌鳥古墳群の世界遺産としての価値をわかりやすく伝える施設です。また、展望デッキではここでしか見ることができない仁徳天皇陵古墳の雄大さを間近に見ていただきます。そして、古墳群の周遊を促す拠点や古墳群にかかわる人々の交流拠点として、古墳群の保護、継承に必要な施設でございます。このようにガイダンス施設は堺市博物館と異なる機能を担うものとして計画しておるところでございます。以上でございます。 ◆水ノ上 委員 1つは余裕がないと、展示室に余裕がないからガイダンス施設をつくるんだということと、仁徳天皇陵古墳の雄大さを間近に見ていただくから、これが必要だという2点かなというふうに思います。展示室に余裕がなければ、増築ができないのかと思いますし、また仁徳天皇陵古墳の雄大さは別の形で触れることができるのではないかなというふうにも思っています。 この点、また定例会が始まりますので、議論していく必要があろうかというふうに思いますが、きょう御説明いただいたガイダンス施設の説明だけでは、直ちに我々としてはこれが本当に必要かどうかということについては、まだまだクエスチョンだというふうに思っております。先ほどの展示の仕方、また周遊をするに当たっての方針、そういうことも含めて、やはり今後ともこれについてはしっかりと議論をしていく必要があるということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 |
Mail info@mizunoue.com
【水ノ上成彰 事務所】
〒592-8348
堺市西区浜寺諏訪森町中3丁272-2
TEL 072-263-0333
FAX 072-263-0334