2005年11月に大阪日台友好協会の一員として訪台し、11日台北市において前台湾総統李登輝閣下に謁見する機会を得た。
李登輝前総統は1923年台北に生まれ、台北高校卒業後、京都帝国大学農学部に入学。
学徒出陣で日本軍人として戦う。
台湾総統在任12年間で台湾を世界最高水準の民主主義経済大国に育て、中国共産党政府と矜持をもって対峙し続けている、20世紀もっとも偉大な政治家として尊敬している方だ。
約1時間ご講演いただき、その後質疑応答、対談となった。
講演の内容は国家のアイデンティティーについて。
台湾には祖国は台湾と言う人もいれば、中華人民共和国という人もいる。
台湾語を話す人もいれば北京語を話す人もいる。その点日本は幸せだよ。
日本では共産党の人でも祖国は日本と言うし、みんな日本語を話すだろ。
その日本も国家としてのアイデンティティ-が変節し非常に危機感を覚える。
アジアの安定には日本と台湾の友好こそがその要だ。
そのことを理解している日本人も台湾人も思いのほか少ない。
私は大阪日台友好協会の皆様がその礎になってくれるものと信じている。今後も日台の友好のために努力してもらいたい。
水ノ上:私は新渡戸稲造先生の「武士道」を座右の書としています。李閣下は「武士道解題」をお書きになっています。その理由をお聞かせください。
李登輝閣下:人類社会全体が危機的な状況にある中、2000年に渡って積み上げられてきた日本文化の輝かしい歴史と伝統が、人 類全体に対する強力なリーディング・ネーションとしての資質と実力を明確に証明しており、世界の人々から厚い尊敬と期待が集まっている。
しかし、戦後の日 本においては「大和魂」や「武士道」といった、日本人特有の指導理念や道徳規範が否定され足蹴にされ続けてきた。
私は日本人に期待するあまり、私自身が日 本人として教育を受けた中で「人間はいかに生きるべきか」という根本的な哲学や理念を身につけるうえでもっとも影響を受けた教え、私が敬愛する新渡戸稲造
先生の名著「武士道」を、日本人にとって真に偉大な財産であるこの書物を、現在の日本人に手にとってほしいために書いたのです。経済的な繁栄は国際的な信
用がなければ成り立たない。
ノーブレス・オブリージュという言葉を知っているでしょう。日本の「武士道」は天下無比のパワーを秘めています。
日本人は「武 士道精神」を持って、積極的に「国際的なリーダー」の役割を果たしてもらいたい。
水ノ上:李閣下は日本にいるまで剣道を熱心にされたと聞いていますが。
李登輝閣下:剣道は熱心どころか学生時代命がけでやったよ。
私は生まれつき自我が強く、その自我を抑えるためにずいぶん苦労し た。
剣道は本当に一生懸命やったよ。
そのおかげか、李登輝が政治的な駆け引きがうまいのは、剣道の駆け引きを学んだからだと言う人もあるぐらいだ。
日本の 剣道は今どうなっているか知らないけれど、あなたが剣道をしているのであれば、どんどん剣道を広めてほしいと思う。
光栄にも李登輝閣下に目の前で色紙に書をしたためて頂いた。
揮毫いただいたのは「我是不是我的我」(写真)。「我は我だけの我ではない」と読む。私が政治家だということで、公に奉じる精神を持ちなさい、人々のため国家のために尽くしなさいという意味をこめてお書きいただいたのだと思う。
私は李登輝閣下から頂いたこの言葉を座右の銘として政治家として励みたい。
当初1時間の予定の謁見だったが、李登輝閣下のご好意により2時間を越えた。李登輝閣下は今でも22歳まで日本人であったことを誇りに思うと胸をはって言
われる。李登輝閣下に接した2時間は、今後の私が政治の道を歩む上で大きな示唆を与えていただきました。心より感謝いたします。
尊敬する李登輝前総統を表敬訪問いたしました。
中台問題など難局を乗り越え台湾の繁栄を築いた李登輝前総統は20世紀を代表する政治家です。
李登輝前総統直々に色紙に政治家としての心得を書いて頂きました。
『我是不是我的我』という言葉を頂きました。この言葉を胸に秘め政治家としてがんばります。
『台湾人と日本精神(リップンチェンシン)日本人よ胸をはりなさい』著者蔡焜燦(さいこんさい)先生。
『日本人はとても素敵だった―忘れ去られようとしている日本国という名を持っていた台湾人の心象風景』著者楊
素秋(ようそしゅう)先生。
『母国は日本、祖国は台湾―或る日本語族台湾人の告白』著者柯徳三(かとくぞう)先生。
台湾政府外交部の羅坤燦執行長と会談いたしました。
台北市内の幼稚園雙連幼稚園を訪問しました。台湾の子供たちも元気一杯。我々を暖かく迎えてくれました。
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